かりおか8号(Low Temperature Stirling engine car)の続きです。
(2007年1月7日の記事参照)
写真は、かりおか8号のエンジンユニットです。
かりおか8号の製作にあたっては、メインとなるエンジンを大幅に見直すことになりました。
車の模型への応用となると、ディスプレーサーシリンダーへスマートに温度差を与えたり、車輪へ動力を伝える機構を考える必要があり、従来のよくある形状(大人の科学の付録やハンズで売られていた製品など)では、いわゆるカッコイイ作品の製作が難しいと考えたのです。
また、オリジナルの低温度差スターリングエンジンを製作するという、重要な目的もありました。
もちろん、このような形状のエンジンは見たこともありませんでしたし、動くかどうかはやってみるまでわかりませんでした。
実は、このエンジンに至るまでに、実験製作を行っていました。
このエンジンは、8号のエンジンよりサイズも大きく、温度差も40℃程度が必要でしたが、とりあえず、この形状にして初めて動いたものです。
このオリジナルエンジンの成功により、よりコンパクトで高性能なエンジンの製作へと進むことになったのでした。
さて、かりおか8号のエンジンですが、ディスプレーサーの運動方向と、パワーピストンの運動方向が互いに垂直の位置関係にあり、回転軸を支えるフレームもディスプレーサーシリンダーに直結という、とてもスタイリッシュな形をしています。
何ら突起物が無いディスプレーサーシリンダーの上部から、容易に熱を与えることができ、また、回転部分と下部に設けられる車輪との距離が近くなり、連動も容易になりました。
そして、この形状にすることによって生じた摩擦などのロスは、ベアリングやテグス(釣り糸)を用いたジョイントを用いることで極力抑え、20℃以下という低温度差での動作に成功したのでした。
この形状にして得られたもう一つの利点は、ディスプレーサーとパワーピストンの運動の間に必要な90度の位相差が自然に構成されたことです。これによって、機械クランクの作成が容易となりました。
←テグス(釣り糸)のジョイント
摩擦によるロスを防ぐために、ふと思いつき採用しました。
良いアイディアだと思っていましたが、りん青銅線、テグス、アルミ相互の接着が微妙な上、あとで取り外しができないのが難点となりました。
後の”かりおか9号”では、ベアリングを使ったジョイントに変更しています。
と言っても、私はスターリングエンジンは、見た事はあっても、作った事はないので詳しい事は知らないんですが、今は大きなエネルギーでしか動かないエンジンが主流ですが、これからは自然界にある僅かなエネルギーも無駄にしないで有効利用できる事が重要になる気がしています。
エネルギーの乏しい日本の未来は、いや、この地球の未来は、かりおかさんにかかっているんです。
あははっ。地球の未来・・・こりゃ責任重大になってきました(^_^;
熱源を問わないスターリングエンジンは、RLCさんがおっしゃるように、資源の有効活用を含め、クリーン、低騒音などの特徴から、エコの時代に再び注目されているようです。
開発競争のライバルは”NASA”です(笑)