戦後75年の「終戦の日」 政府が全国戦没者追悼式(2020年8月15日)
2020年8月15日、11時51分より全国戦没者追悼式が日本武道館で行われました。
厚生労働省は今年、初めて追悼式の模様をYoutubeでライブ配信されましたので
上記の通りGooにて共有させていただきました。
新型コロナウイルス感染症対策として例年の出席者の十分の一以下に抑えられ、
約550人程度となった。遺族代表では兵庫県を含む20府県が欠席した。
式次第は下記のとおりです。
■式次第(式典開始は午前11時51分。所要時間は約1時間)
開式
天皇皇后両陛下ご臨席
国歌斉唱 (演奏のみ)
式辞(内閣総理大臣)
黙とう (12:00)
天皇陛下のお言葉
追悼の辞(衆議院議長、参議院議長、最高裁判所長官、遺族代表)
天皇皇后両陛下ご退席
献花
閉式
NHK総合テレビでは11時50分から12時5分まで実況中継されました。
その様子を添付しました(下の4枚の写真)
安倍首相式辞全文
天皇皇后両陛下のご臨席を仰ぎ、戦没者のご遺族、各界代表のご列席を得て、
全国戦没者追悼式を、ここに挙行いたします。
あの苛烈を極めた先の大戦では、300万余の同胞の命が失われました。
祖国の行く末を案じ、家族の幸せを願いながら、戦陣に散った方々。
終戦後、遠い異郷の地にあって、亡くなられた方々。広島や長崎での原爆投下、
東京をはじめ各都市での爆撃、沖縄における地上戦などで、無残にも犠牲と
なられた方々。
今、全てのみ霊の御前にあって、み霊安かれと、心より、お祈り申し上げます。
今日、私たちが享受している平和と繁栄は、戦没者の皆さまの尊い犠牲の上に
築かれたものであることを、終戦から75年を迎えた今も、私たちは決して
忘れません。改めて、衷心より、敬意と感謝の念をささげます。
いまだ帰還を果たされていない多くのご遺骨のことも、決して忘れません。
一日も早くふるさとにお迎えできるよう、国の責務として全力を尽くしてまいります。
戦後75年、わが国は、一貫して、平和を重んじる国として、歩みを進めて
まいりました。世界をより良い場とするため、力の限りを尽くしてまいりました。
戦争の惨禍を、二度と繰り返さない。この決然たる誓いをこれからも貫いてまいります。
わが国は、積極的平和主義の旗の下、国際社会と手を携えながら、
世界が直面しているさまざまな課題の解決に、これまで以上に役割を果たす決意です。
現下の新型コロナウイルス感染症を乗り越え、今を生きる世代、明日を生きる
世代のために、この国の未来を切り開いてまいります。
終わりに、いま一度、戦没者のみ霊に平安を、ご遺族の皆さまにはご多幸を、
心よりお祈りし、式辞といたします。
陛下お言葉全文
本日、「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たり、全国戦没者追悼式に臨み、
さきの大戦において、かけがえのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い、
深い悲しみを新たにいたします。
終戦以来75年、人々のたゆみない努力により、今日の我が国の平和と繁栄が
築き上げられましたが、多くの苦難に満ちた国民の歩みを思うとき、
誠に感慨深いものがあります。
私たちは今、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、新たな苦難に直面
していますが、私たち皆が手を共に携えて、この困難な状況を乗り越え、
今後とも、人々の幸せと平和を希求し続けていくことを心から願います。
ここに、戦後の長きにわたる平和な歳月に思いを致しつつ、過去を顧み、
深い反省の上に立って、再び戦争の惨禍が繰り返されぬことを切に願い、
戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し、全国民と共に、心から追悼の意を表し、
世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。
フィリピン・ルソン島の戦いで父、甚作さん(当時31)を失った静岡市の
遺族代表・杉山英夫さん(82)の追悼の辞全文は次の通り。
本日ここに、天皇皇后両陛下のご臨席を仰ぎ、内閣総理大臣、三権の長をはじめ、
全国各地から遺族の代表が集い、全国戦没者追悼式が厳かに挙行されるに当たり、
戦没者遺族を代表し、謹んで追悼の言葉を申し上げます。
忘れることができない75年前の8月15日は、雲一つない快晴の暑い日でした。
昼夜を問わず鳴り響いた警戒警報、空襲警報発令のサイレンや、上空を飛ぶ
B29爆撃機の音が耳に残ります。私は8歳でした。
思えば戦没者諸霊はわが国の危急存亡の戦役に際し、わが身と最愛の家族を顧みず
ひたすら祖国の安泰と平和を願い、若くして健康な命を国のためにささげられました。
いかにか懐かしい故郷の山、川を思い、いとしい妻子、優しい家族を夢に見たことでしょうか。
ここに諸霊の御前にぬかずき往時をしのびますとき、今なお新たな悲しみと痛恨の情
を禁じ得ません。ひたすらご冥福をお祈り申し上げます。
私ども遺族は戦後の混乱の世相の中で、一同相寄り遺族会を結成し、戦没者の
慰霊顕彰と遺族の援護促進のために一致団結し、戦没者遺族として最愛の肉親を
失った悲しみに耐えて一心不乱にお互い助け合って懸命に生きてまいりました。
おかげさまで今日の物心ともに安定した生活を取り戻すことができましたのは、
周りの人々の温かい思いやりと諸霊のご加護によるものと衷心より感謝申し上げます。
戦争のない平和な時代として75年、二度とわれわれのような戦没者遺族を出さない
ために、大戦を知る遺族として、罪のない一般市民まで巻き込まれる戦争の悲惨さと
恐怖、平和の尊さありがたさを万世にわたり語り続け継承してまいらなければならないと思います。
恒久平和こそ人類の経済・文化発展の基礎であり、今日における平穏な生活が享受
できますことは戦没者諸霊の尊い犠牲の礎の上に築かれたものであることを忘れず
心に深く銘記し、改めてみ霊に尊崇の誠をささげ、み霊の常しえに安かれと
お祈り申し上げ追悼の言葉といたします。