日本の宇宙ベンチャー企業
アイスペース社(東京)が開発し、昨年12月に米国スペースX社の
ファルコン9ロケットで打ち上げられたアイスペース社の探査機が4月26日未明、
月面への着陸を試みたが、直後に通信が途絶えた。
ispace社の袴田武史社長は東京で記者会見し、着陸できない状況が確定したと説明した。
民間開発の探査機としては世界初となる月面着陸は失敗した。
さらに、着陸失敗の原因について次のように説明。月からの高度約100キロを周回していた
探査機は午前0時40分から降下態勢に入った。約1時間かけて減速し、同1時40分ごろ
着陸する予定で、約20分前に高度約20キロで最終噴射を開始した時点までは正常だった。
その後、探査機が認識する高度と、実際の高度にずれが発生。高度計の数値が0になっても
実際には着陸しておらず、逆噴射を続けたが燃料が尽きて一定の高度から落下、
月面に衝突したとみられるという。
ispace社は高度計などの機器やソフトウエアなどに問題があったとみて、
通信途絶までに探査機から送られてきたデータを詳しく解析する予定。
各報道機関機関で大きく報じられていますので気になったサイトにリンクさせていただきます。
上記サイトには探査機に搭載されていた宇宙航空研究開発機構(JAXA)とタカラトミー
などが開発した変形型月面ロボットや、アラブ首長国連邦(UAE)の探査車について記載あり。
ispace社のサイトに今回のミッションの概要が掲載されていますのでリンク。
上の写真は2023年4月27日Am4:10~4:20のNHK総合TV時論公論(再放送)で使用のパネルで
探査機、月面着陸失敗の過程を図示したものです。
また、このパネルでこれまでに成功しているのはロシア、米国、中国で
2019年にはインドとイスラエルが月面着陸に失敗したことも示されています。
2022年、日本が失敗した探査機は「OMOTENASHI 」で探査機の軌道修正をする
ガスジェット装置(米国製)のバルブに不具合があったことが原因とされています。
打ち上げ後の2022年11月22日、通信途絶などのため計画の断念を発表している。
ソ連:ルナ9号 1966年2月3日、世界初、軟着陸に成功
米国:アポロ11号(1969年7月20日)有人21時間滞在
中国:嫦娥(じょうが)5号 2020年12月1日、月の裏面に着陸
インターネットで調べていたら、月面着陸成功率は42%という事も判りました。
今回のアイスペース社の月面着陸のプロジェクトはHAKUTO(ハクト)-R計画の第1弾で、
2024年にはHAKUTO(ハクト)-Rの第2弾で月面着陸に再挑戦する計画で進められる見込み。
次回は今回の教訓を糧に是非成功させていただきたいと期待しています。
上の2枚の写真はセッション1 着陸シーケンス
出典:2023年4月25日、19:00からのNHK総合テレビ NHKNews
上の写真はアイスペース社の月面探査着陸船
出典:2023年4月25日、19:00からのNHK総合テレビ NHKNews
ispace HAKUTO-R Series 1 Lunar Lander Introduction
将来の宇宙ビジネス市場規模は150兆円
ispace社は今後約20年で150兆円近くの市場規模への急拡大が予測される
宇宙ビジネスの中で、需要増が見込まれる月への物資輸送サービスの一端を担う
ことをispace社は目標としており、今回のミッションはその技術の検証を目的としていた。
管制室は東京都江東区の日本科学未来館に設置されました。
アルテミス計画の概要
米国や日本、欧州各国などが参画し国際協力で月や火星への有人探査を目指す「アルテミス計画」が
進行中である。アルテミスは月の女神の名前です。2022年11月、アメリカ航空宇宙局(NASA)が
開発した大型ロケットと宇宙船オリオンで無人のテスト飛行を行い、宇宙船は
月の近くを回って同年12月に帰ってきました。
飛行士の滞在でよく話題になる国際宇宙ステーションは地球の400km上空です。
オリオンは、千倍も遠い43万km先まで行き、26日間に計230万km飛行しました。
今回のデータを調べ、人を乗せても大丈夫だと判断すれば、2024年に飛行士が月の上空と
地球を往復し、2025年には2人が月に着陸、その後もほぼ毎年、月に行く計画です。
アメリカは50年以上前にも、アポロ計画で飛行士を計12人、月に着陸させましたが、
月面を動き回ったのは数時間から1日ほどでした。アルテミス計画では、氷のある月の南極に、
人が長く滞在できる基地や発電所を造り、探査車で何日も走り回る予定で、
他の国や会社も参加します。日本は月の上空で飛行士たちが着陸船に乗りかえる基地
「ゲートウエー」への荷物運送などで協力します。日本の飛行士も月に行くかもしれません。
月に人類が移住する時代が2040年には達成されるとの予測もあります。
NHK総合TV時論公論での解説
2023年4月27日Am4:10~4:20のNHK総合TV時論公論(再放送)でispace社のことや
米中の覇権争い、宇宙ビジネスに関して平易に解説されていますので引用紹介します。
上の写真は月をめぐる米中の覇権争いを解説したパネル
日本においては月の水を電気分解して水素と酸素を取り出す技術を高砂熱学がノウハウを蓄積。
(上の2枚の写真)
上の写真は月の資源は誰のものに関する説明パネル(上の写真)
宇宙ビジネスを展開する民間企業
・宇宙旅行会社の米ヴァージンギャラクティック
・宇宙船開発の米ブルーオリジン
日本企業ではispace社以外に下記の企業があります。
・北海道大樹町のベンチャー、インターステラテクノロジズ
2019年5月、民間開発ロケットを日本で初めて宇宙空間に到達させた。
将来は有人ロケットを開発予定
・名古屋市のPDエアロスペースは、下地島空港(沖縄県宮古島市)を発着
する宇宙旅行を2025年にも開始する方向だ。
・衛星開発のアクセルスペース(東京)は、小型衛星から地球の画像を撮影
し、分析を加えて提供するサービスを始める。
・トヨタ自動車は、月面探査車「ルナ・クルーザー」の開発を開始。自動車製造で
鍛えたものづくりの知見を生かし、2029年の打ち上げを目指す。
・「ダイモン」が開発した月面探査車ヤオキは米国の探査機の搭載され活動予定。
両側が回転して移動する探査車です。
・タカラトミーの探査車は今回のispace社の探査機に搭載されていたが活動できず
アラブの産油国は原油依存の経済から脱却するために宇宙ビジネスへの参入に熱心です。
火星探索に関して、米ソに続き中国が2021年5月15日に「天間1号」が火星への軟着陸に成功した。
日本も2024年に火星への探査機の打ち上げが計画されています。