2月26日(木)早朝、防衛局は大浦湾に海底ボーリング調査のためのクレーン船と資材を積んだ台船を進入させた。この日は、県漁業調整規則に違反して岩礁破砕許可区域外に投入されたコンクリートブロックについて沖縄県が現地潜水調査を始めた日だ。今後、米軍の立入許可が出れば臨時制限水域内一帯でも県が潜水調査を始めるというのに、防衛局は露骨にも海底ボーリング調査を強行する準備を始めたのだ。県の調査とボーリング調査を同時に行うことは不可能だから、これは米軍に県の調査への立入許可を出させないということだろう。防衛局のあまりの傲慢さには呆れるほかない。
しかし、防衛局はこのまま海底ボーリング調査に入ることはできない。海底ボーリング調査についても、沖縄県に対して、沖縄県漁業調整規則にもとづく岩礁破砕の協議と、沖縄県国土交通省所管公共用財産管理規則にもとづく公共用財産使用許可の手続きを行う必要があるのだ。以下、この点について説明する。最後の表のまとめを参照してほしい。
これから予定されている海底ボーリング調査は2種類ある。一つは昨年夏から進められてきたボーリング調査で残っている9地点の調査(「シュワブ(H25)地質調査(その2)」(以下、「継続調査」))。そしてもう一つは今年1月に契約した3地点の調査(「シュワブ(H26)地質調査」(以下、「追加調査」))だ。
海底のボーリング調査を行うためには、沖縄県に対して2つの手続きを行う必要がある。まず、「沖縄県漁業調整規則」にもとづく岩礁破砕の協議が必要だ。防衛局は、「継続調査」ではその協議を行い、県が回答文書を出したが、それ以後、調査内容が変更されている。その場合は変更協議が必要となる。一方、「追加調査」については、防衛局はいっさい岩礁破砕の協議を行っておらず、県も我々の追求により調査内容について防衛局に照会しているところだ。
また、海底は県が管理しており、海底ボーリング調査を行うためには「沖縄県国土交通省所管公共用財産管理規則」にもとづき公共用財産使用許可を得なければならない。県は、埋立承認をした範囲については公共用財産使用許可手続きの必要はないとしているが、「追加調査」のように水深の深いところでのボーリング調査では、周囲に多数のアンカーを引っ張る工法もある。その場合は、埋立区域の護岸の外側、すなわち埋立承認をした範囲の外側の海底に多数のアンカーが固定される。それらのアンカーについては公共用財産使用許可の手続が必要となる。
いずれにしても、防衛局は海底ボーリング調査に入るためには、沖縄県に対してこれらの2つの手続きを済ます必要があり、このまま調査を始めることはできない。もし、このまま海底ボーリング調査が強行されれば、大型コンクリートブロック投入問題に続く違法行為となる。
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<別表>これから始まる2種類の海底ボーリング調査について
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シュワブ(H25)地質調査(その2) 「継続調査」 |
シュワブ(H26)地質調査 「追加調査」 |
・調査箇所 |
・当初契約は21地点(水深-3.0m以深) (現在、残っているのは9地点) |
・3地点(平均水深 -33.1m) |
・受注業者 |
・中央開発㈱ (一般競争入札) |
・受注業者は非公開 (一般競争入札) |
予・定価格・契約金額 |
・予定価格:455,984,834円 |
・予定価格:193,313,848円 |
・契約金額:442,800,000円 |
・契約金額:188,784,000円 |
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・調査方法 |
・スパッド台船 3隻 |
・大水深足場 2基 |
工期 |
・H26.5.31~H26.11.30(工期延期の手続き不明) |
・H27.1.7~H27.3.31 |
・岩礁破砕の協議 (沖縄県漁業調整規則第39条。海底ボーリング等、許可を要しない場合でも、事前協議が必要) |
・H26.7.11 防衛局が協議書提出 ・H26.7.17 県、「許可不要」と回答(作業期間はH26.11.30まで) ・H26.8.11 防衛局が変更協議書提出 (地点、足場種類、口径) ・H26.8.14 県が回答 ・その後の変更協議書は提出されているか? |
・防衛局からの事前協議なし ・H27.2.20、県民会議が県との交渉で追加発注されたボーリング調査について岩礁破砕の協議が必要と追求。県は、防衛局に追加のボーリング調査の内容について照会すると回答した。 |
・公共用財産使用許可の手続き (沖縄県国土交通省所管公共用財産管理規則。海底は公共用財産で国の所有だが県が管理している。) |
・前回の海上ボーリング調査に際しては、公共用財産使用の手続きが行なわれたが、今回は行っていない。 2003.11.17 防衛局からの申請、2004.4.7 県が同意。 ・H26.5.14 海岸防災課へ申入れ 県は、「埋立を承認したので国の公共用財産の使用許可は不要」という見解(正しいか?) ・県の説明を認めた場合でも、工法によってはアンカーが埋立区域の外に出されるので公共用財産使用許可の手続きが必要。 |
・工法によってはアンカーが埋立区域の外に出るので公共用財産使用許可の手続きが必要。 傾動自在型試錐工法---アンカー 固定ブイ櫓(10年前)---アンカーなし |