沖縄県政始まって以来の不祥事と言われた識名トンネル事件。大成建設JVと仲井眞県政時代の土建部幹部らの虚偽契約書作成によって、沖縄県は5億8千万円もの国庫補助金の返還を命じられた。仲井眞知事は、それを県の一般財源から返還、すなわち県民の負担としてしまったのである。
県議会には百条委員会が設置され、沖縄県警も県庁等を家宅捜査し多くの県職員を取り調べるという前代未聞の事態となった。
私たちは、2012年12月に利子分7178万円の賠償を求めて住民訴訟を提訴。那覇地裁は、2017年7月、当時の土建部長と南部土木事務所長の重過失を認め、2人が連帯して7178万円を賠償するよう命じる画期的な判決を言い渡した。被告は控訴したが、福岡高裁の控訴審でも私たちが勝訴、そして2018年9月には最高裁が上告不受理決定し、我々の勝訴が確定した。仲井眞知事や大成建設の責任を問うことができなかったのは残念だが、沖縄県民が被った損害の一部が補填されることとなったのだ。
8年近くにも及ぶきわめて難しい裁判で、34回もの口頭弁論や進行協議が行われた。原告が提出した書面だけでも30通にもなる。4名の弁護士さんらの奮闘には心から感謝している。
住民訴訟で住民側が勝訴すると、地方自治法に基づき、弁護士費用が請求できる。弁護士費用請求についても県との裁判となったが、那覇地裁が和解を提案、県議会でも全会派が一致して和解案を承認し、8月26日には和解が成立した。そして9月末、沖縄県から弁護士費用が支払われた。長く続いた識名トンネル事件の争いがこれで一件落着したのだ。
10月30日(金)、最後の弁護団・原告団会議を開催した。8年間の訴訟を振り返り、弁護士の方々に心からのお礼をさせていただいた。
(奮闘していただいた弁護団にお礼)