2016年夏、政府は北部訓練場のヘリパッド工事を強行するために全国から機動隊を沖縄に派遣し、反対する県民らへの大弾圧を続けた。県外から沖縄に派遣された機動隊は約500人と言われている。
私たちは、県外からの警察車両の燃料費等約900万円を県費から支払ったのは違法な公金支出だとして住民訴訟を提訴した。東京、名古屋、福岡の市民らも、地元の警察職員を沖縄に派遣したのは違法としてそれぞれ住民訴訟を起こしている。
今日(11月22日)、那覇地裁で私たちの住民訴訟の進行協議が行なわれた。双方の主張がほぼ終り、今、裁判所の方で争点整理の作業が続いている。次々回あたりには、証人申請という段階に入っていく。
(2016年7月、高江に現れた県外からの警察車両。写真は千葉県警)
私たちがこの公金支出を違法としたのはいくつもの理由があるが、その一つが警察法60条違反ということだ。これは、他府県の警察の援助要求をするためには、公安委員会の議決が必要と定められている。これは、警察の民主的管理と政治的中立性を確保するために設けられた公安委員会制度の趣旨に基づいたものだ。
本件の場合、沖縄県公安委員会が援助要求を行なうことを決めたのは、2018年7月12日だった。ところがその前日には、警察庁から各県警本部に、「沖縄県公安委員会から援助の要請が行なわれるので、派遣態勢に誤りなきを期されたい」という通知が出されている。
これだけでも違法性は明かであるが、その後、さらに多くの事実が明かになった。
一つは、2016年7月1日には、すでに沖縄県警内部では、「北部訓練場地区の警備に伴い、福岡県警察から支援に来る特別派遣部隊の車両の燃料費を沖縄県警察が負担するため」の費用の予算執行伺が起案され、6日に決裁を終えていることが判明した。業者からの見積書は6月29日に県警に出されているから、準備作業はそのかなり前から始まっていることになる。
さらに東京都公安委員会の7月8日の議事録には、「当面の特別派遣について」として、「沖縄県公安委員会等から東京都公安委員会になされる援助の要求に関し、当面の特別派遣について報告があった」という記載があることも分かった。
沖縄県公安委員会が援助要求を決定する以前に、警察は沖縄への警察職員派遣のための準備をどんどん進めていたのだ。公安委員会制度をないがしろにしたとんでもない違法行為と言わざるを得ない。
今日の進行協議で裁判官は、沖縄県警に対して、上記の予算執行伺、そして東京都公安委員会の議事録について文書で釈明するよう指示した。次回の法廷は、1月23日午後1:30から開催される。
いよいよ重大な局面を迎えようとしている辺野古新基地建設に、再び、県外からの機動隊を派遣させないためにも、この住民訴訟を頑張っていきたい。