11月9日(木)、Nさんたちと「ブルーの船」で海に出た。今日は抗議船3隻、カヌーは12艇。
N5護岸の現場では今日も捨石の投下作業が始まっている。やってきたカヌーメンバーらは、そのまますぐにフロート内に突入した。何人かは海保の規制をくぐり抜け、工事現場近くまで到達した。船からシュノーケルをつけ、カヌーを降ろして中に入った仲間もいる。皆、なんとしても工事を阻止しようと必死だ。
私は所要があり、午前10時過ぎに船を降り、ゲート前の集会に向かった。マイクを回されたので、今日の新聞に大きく載った、会計検査院が海上警備業務の過大積算を指摘したこと、違法ダンプの問題、石材の海上搬送の問題等について説明させてもらった。
そして本部町役場へ向かった。昨夕、県・港湾課長を訪ねた際、辺野古への石材の海上搬送は、県が許可をしたヤンバル・奥の港だけではなく、本部港も使用されることが明らかになった。そのため、急遽、本部町島ぐるみ会議の皆さんと、本部町の建設課長、港湾管理事務所長らとの話し合いをもった。急な連絡だったが、本部町島ぐるみ会議の皆さんは、20名ほども集まった。
(本部町建設課長らとの話し合い)
次のような事実が明らかになった。
本部港は、本部地区、渡久地地区、浜崎地区、旧塩川地区等からなるが、いずれも沖縄県が管理する港である。ただ、港湾施設の使用許可等の事務は県の港湾管理条例に基づき、本部町が処理するとされている(奥港は県の直接管理)。
今回、辺野古への石材を搬入する手続が始まったのは本部港の旧塩川地区である。この港は、本部の採石場(琉球セメント安和鉱山)のすぐ前にあり、従来から石材の搬出港として使用されてきた。今も、那覇空港第2滑走路埋立事業のための石材・岩ズリの搬出がひっきりなしに続いている。
港での石材の積み卸しのための「荷さばき地使用許可申請」は、本年10月12日に本部町に提出された。面積6880㎡、使用目的は「那覇空港及びシュワブの護岸工事のため」とされていたという。辺野古関連ということで、本部町は沖縄県港湾課にも連絡をしたが、結局、10月17日には許可を出した。
なお、奥港の場合は、「荷さばき地使用許可」ではなく、「港湾施設用地使用許可」が出されている。「荷さばき地使用許可」の場合は、石材の仮置きはできない。
問題は、岸壁使用許可である。沖縄県港湾管理条例第7条では、港湾施設用地使用も岸壁使用も「知事の許可を受けなければならない」とされている。ところが驚いたことに本部町は、「旧塩川地区の岸壁については従来から岸壁使用許可申請は出させていない」というのだ。今回についても、業者からは岸壁使用許可申請書が出されたが、本部町は、業者に「申請の必要はない」と伝えたという。その申請書はまだ本部町が預かったままであり、「いずれ返却する」とのことだった。(なお、この申請書には、「仕向港」として「辺野古」と明記されている)
奥港では当然、岸壁使用許可の手続が行われている。本部町の運用方法は明らかに港湾管理条例、同施行規則に抵触する。本部町との話し合いの後、すぐに沖縄県港湾課にも連絡したが、課長も驚いた様子で、「ともかく事実確認させてください」とのことだった。
少なくとも、現在、辺野古への石材の海上搬送のための岸壁使用許可は出されていないことは明らかである。現状では防衛局は、本部港旧塩川地区の岸壁を辺野古への石材搬送のために使用することはできない。
島ぐるみ会議の皆さんも、町が辺野古埋立に協力することは絶対に止めてくださいと強く訴えた。 その他にも、琉球セメントとの関係などいろいろ不可解な点があり、本部町とは来週、再度の話し合いを持つことを約束して今日の話し合いを終えた。
本部港旧塩川地区。現在、那覇空港第2滑走路造成のための石材搬出が続いている。ひっきりなしにダンプが疾走し、粉塵が凄まじい。
ランプウェイ台船。辺野古の石材海上搬送でもこのタイプの台船が使われるのだろう。台船の上でユンボが動き、大型ダンプトラックが台船に乗り込んで石材の積み降ろしを行っている。
台船と引き船でセットになって搬送が行われる。
本部地区には、巨大な採石場が続いている。
なお、県の港湾課は、11月7日付で「港湾施設使用許可に係わる審査基準等」をホームページに掲載した。奥の港の使用許可についての話し合いで、審査基準や標準処理期間が定められていないことが問題となり、大慌てで作成したようだ。
この審査基準の一つに、「環境を悪化させるおそれがないこと」と定めている。ヤンバル・奥の港に大量のダンプトラックを集中させることも、また、本部港塩川地区のあの大量のダンプトラックの集中による粉塵等も、周辺の「環境を悪化」させていることは明らかである。
県は、奥港の使用許可を出したことについて、「現在の港湾管理条例から仕方がなかった」と弁明しているが、この審査基準を盾に許可を出すべきではなかった。本部町も許可をしてはならない。