5月1日(金)正午から那覇新港にある第11管区海上保安本部に、28日の「ラブ子」の転覆事件についての抗議行動を行った(県民会議主催)。約150名ほどが参加。私も、当日、海に出ていた船長の一人として事件の状況を報告した。特に、当日の海保の指揮官の「死んだら連絡する」発言の報告には皆の怒りの声がまき上がった。抗議文を手渡そうとしたが、海保は、玄関のドアを固く閉じ、誰も出てこない。怒りのシュプレヒコールをくり返し、また抗議に来ると通告して集会を終えた。(午後には、辺野古新基地建設取消訴訟の弁護団が記者会見を行い、抗議声明を発表している。5月7日には艦船転覆罪で海上保安庁を告訴する。)
午後は、県民会議の沖縄県への要請行動に参加した。県民会議のメンバーだけではなく、与党の県議さんらも6名が参加された。4月に着任したばかりの伊禮土木建築部統括監、玉城農林水産部統括監らとは初めての顔合わせ。コンクリートブロック投下問題、「仮設岸壁」問題、仲井真前知事が承認した設計概要の変更申請の取消問題、そして大浦湾に何の手続もなしに張り巡らせたフロートやオイルフェンスの撤去問題等について追求した。
(要請文を県当局に手交)
県に、いくつかの点で具体的な取り組みを確認させることが出来、成果の多い要請行動だった。今夜は時間がなく、詳しい内容は明日、報告するが1点だけお知らせしたい。
現在、防衛局は大浦湾に一面にフロートやオイルフェンスを張り巡らせている。末尾の要請文にもあるように、これらは埋立承認願書にもない違法な構造物だ。我々は県に対して、これらのフロート等を撤去させ、もし防衛局が設置したい場合は、「設計概要の変更申請」の手続をさせよと追求した。この点について伊禮土木建築部統括監は、「防衛局はこれらのフロート等は海上ボーリング調査のためのものだと説明している。」と答えたが、我々の追求に対して、「ボーリング調査が終わった段階で当然、これらのフロート等は撤去されるものと考えています。」と明言したのだ。ボーリング調査が終わった後、本工事に入る際にフロート等を張り巡らせたいという場合は、当然、設計概要の変更申請が必要となることも統括監は認めた。これはとても大きな確認事項だといえる。
(正午から始まった第11管区海上保安本部への抗議行動)
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<参考資料>
沖縄県知事 翁長雄志 様 2015年5月1日
要 請 書
基地の県内移設に反対する県民会議
翁長知事が、公約として掲げられた辺野古新基地建設を中止させるための具体的な取組みを着実に進められておられることに敬意を表します。
しかし、沖縄防衛局は、県の再三の指示・要請にもかかわらず、大浦湾での海上ボーリング調査を続けています。県として、こうした防衛局の作業強行を許さないためにも、あらゆる手法を駆使して対応する必要があります。私たちも、辺野古新基地建設中止を求める県政を全力をあげて支援させていただきます。
このような立場から、県が取り組むべき緊急の課題として下記のとおり要請します。
記
1.埋立本体部分の岩礁破砕許可をただちに取り消し、防衛局に対して投下されたコンクリートブロックの撤去を指示すること
県は、防衛局が岩礁破砕許可の範囲外で巨大なコンクリートブロックを多数、投入したことは県漁業調整規則に違反するとして、3月23日、作業の一時停止を指示しました。しかし、政府は、3月30日、県の指示の効力を一時的に差し止めることを決定し、海上ボーリング調査を続行している。「国民の権利利益の救済」を目的とした行政不服審査法の趣旨を逸脱したものでとても認めることはできない。
その後、第4回環境監視等委員会に提出された資料で、防衛局が投下したコンクリートブロックにより94群体のサンゴが損傷し、しかもその9割を越える89群体が県の岩礁破砕許可区域外であることが判明した。
県は、昨年8月28日の埋立本体部分の岩礁破砕を許可した際、「本申請外の行為をし、又は付した条件に違反した場合は、許可を取り消すことがある。」という許可条件を付している。防衛局の行為は、この許可条件に違反しており、県は早急に埋立本体部分の岩礁破砕許可を取り消すべきである。また、『岩礁破砕等の許可に関する取扱方針』第11にもとづき、防衛局に対して無許可で投下されたコンクリートブロックを全て撤去するよう命じるべきである。
2.「仮設岸壁」(仮設桟橋)造成について、防衛局に対して、公有水面埋立法にもとづく「設計概要の変更申請」を行うよう指示すること。また、それまでの工事着手を絶対に許さないこと
防衛局は現在、大浦湾に「仮設岸壁」を造成する準備を進めている。この「仮設岸壁」は、長さ:約300m、幅:17~25m、埋立(石材)量:20,300㎥(大型ダンプで5000台以上)という巨大なもので、実質的な埋立の開始と言わざるを得ない。公有水面埋立法第13条に基づく、「設計概要の変更申請」を行わせることが必要である。
県は、私たちの要請を受け、1月16日、防衛局に「『設計ノ概要ノ変更』に該当する行為であるかどうかを確認するため」に文書照会をした。現在、防衛局の回答を受け、「公有水面埋立法に基づく手続の必要性について、確認作業を行っている」というが、このままでは防衛局は何時、工事を強行するか分からず、一刻の猶予もできない。
この点について、政府は、「仮設桟橋については海上ボーリング調査に必要なもの。調査が終われば撤去する。本体工事には使用しない。」と説明している。しかし、すでに大浦湾ではスパッド台船で2ケ所、大型作業船で1ケ所の海上ボーリング調査が続いており、海上ボーリング調査には「仮設岸壁」が必要ないことを示している。また、今から「仮設岸壁」を造成しても、完成時には海上ボーリング調査は全て終了しているはずであり、防衛局の説明は通用しない。
県は、防衛局に対して、「仮設岸壁」造成について、ただちに、①「設計概要の変更申請」を行うこと、②それまでは工事に絶対に着手しないことの2点を指示すべきである。
3.前知事の昨年12月5日の設計概要変更(「工事用仮設道路の追加」)の承認を取り消すこと
仲井真前知事は、任期切れ直前の昨年12月5日、防衛局から出されていた「工事用仮設道路の追加」の設計概要変更申請を承認した。この工事用仮設道路のうち「仮設道路①」は、同時に出されていた「埋立土砂運搬方法の一部変更」(埋立土砂発生区域のBブロック及びCブロックの土砂を、辺野古ダム湖面に設置したベルトコンベアでAブロックに運ぶのではなく、Bブロックから国道329号を経由してAブロックにダンプトラックで運搬する方法に変更する)に伴い、工事用仮設道路を「国道329号のシュワブ基地第2ゲート前からAブロック内をまわって国道を高架道路で渡り、大浦湾の埋立区域に繋げるように設置する」としたものである。
ところが、防衛局は本年1月15日、この「埋立土砂運搬方法の一部変更」の申請を取り下げてしまった。そのため、全ての土砂はベルトコンベアで運搬するという当初の計画に戻ることとなり、昨年12月5日の「工事用仮設道路の追加」の承認は、その前提が消滅し辻褄のあわないものとなってしまった。
また、「仮設道路①、②」は、同時に変更申請された「美謝川の切り替えルート」とも交差しているが、この「美謝川の切り替えルートの変更」は、昨年11月27日に取り下げられている。「美謝川の切り替えルート」が決まらないと、それに交差する「仮設道路」の位置や構造が決定できない。それにもかかわらず「仮設道路①、②」の追加を承認したことは不適切であった。
したがって、知事は、昨年12月5日の「工事用仮設道路の追加」の承認をただちに取り消すべきである。
4.設計概要変更申請の手続なしに大浦湾に張り巡らされているフロート、オイルフェンス等をただちに撤去させること
現在、大浦湾には一面にオイルフェンスとフロートが張り巡らされている。防衛局は「工事の施行区域を示すため」に設置したというが、実際には、施行区域とは全く関係のないところにもオイルフェンスやフロートが張り巡らされている。また、大浦湾には20ケ近い大型の浮標灯も設置されている。
ところが、防衛局が県に提出した埋立承認願書の設計概要説明書では、「本埋立工事を施行するに当り、埋立工事期間中の海水の濁り拡散防止を目的とした汚濁防止膜を展張し、工事の施行区域を明示するため浮標灯を設置する。」(P60、3. 3.1 (2)「埋立に関する工事の施行順序」P60)とされていた(汚濁防止膜については、さらに同説明書の「付帯工事の施行方法」P70にも記載されている)。防衛局が実際に張り巡らしているオイルフェンスとフロートは、当初の設計概要説明書には全く記載されていなかったものである。
当初の設計概要に記載した工事の施行順序や施行方法等を変更する場合は、県に対して設計概要変更申請の手続を行う必要がある。しかし、防衛局はこれらのオイルフェンスとフロートについて変更の手続を行っていない。
したがって、県は防衛局に対して、これらのオイルフェンスとフロートをただちに撤去するよう指示すべきである。防衛局が改めてオイルフェンスとフロートを張り巡らそうとする場合は、県に対して設計概要の変更申請を行わなければならない。
(以上)