なんとなくクラシテル

獣医という仕事をしている人間の生活の例の一。
ほとんどが(多分)しょーもない話。

開院

2019年05月28日 | 仕事
してから、20年経過したんですよ。今月で。よくもまあ、続いたものだと思う。で、これからも続けていかなくちゃならない。潰しのきかない仕事だなあと思うが。

 で、最近、というか、時々患者さんから「起業」について、または「自営業」という業務実態について質問されることがある。患者さんの中に、いっちょ起業してみるか、とか、副業をやってみようか、というような人がじりじり増えている、ということか。

 自分は別に税理士さんみたいに税務のプロというわけでもないし、単に自営業を続けてきました、というだけなんだけども、世のいわゆる「起業本」についてはちょっと違うな、と思うことが多い。税務の本も、これは違うだろ、ということも。

 ということで、しばらく自営業という業種について、連載してみようかと思います。

 但し、獣医というか、小動物臨床という業種は、自営業としてはかなり特殊な分野ではあると思う。仕事内容についてではなく、「起業するにあたって破格に金がかかる」という点について。しかも、減価償却費が断然多くなってしまう、というヘンな業種なのだ。

 小動物臨床という業種の特殊性は色々あるんだけど、

1)初期の設備投資がやたらかかる。その更新もしなければならない、場合が多い。
2)レントゲン装置やCT等を置くと、遮蔽設備を要する。これも高い。
3)人件費が、場合によっては最初からかかる。
5)実は、維持経費が結構かかる。
6)こうした経費の全てを、患者さんから頂く治療費で賄わなければならない(医療保険等々から入る金は、ない)。
4)にもかかわらず、儲けてるに違いない、と勝手に思われがちである。

 でしょうか?検査機器なんぞをそれなりに揃えようとすると、あっという間に千万単位の金が必要になってしまう。臨床獣医としての勉強は、よその病院で仕事をして覚えるのが、多分今もほぼ100%なのだと思う(それを代診という。この言葉、未だに意味がよく分からないんだけど。スタッフでしょうに)が、その病院に検査機器がごろごろあると、自分が開院するにあたってやっぱり揃えないとまずいかなあ、という気分にさせられたりする(自信が持てないし)ところへ、色々検査機器屋さんが言うもんだから、ついつい買い込んじゃって、開院した途端に経理が火の車、となるケースが多いのではないか。

 で、最近流行りの「動物健保」ですが。これは民間の保険で、保険のやり取りは飼い主保険会社という契約、獣医は介在しない。従って、人間の医者のように、診察すれば、保険点数とやらでお金が自動的に降ってくる、という仕組みはないわけ。



 

 
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