THE SAPPORO TRANSIT AUTHORITY (S.T.A)

札幌で活動しているブラスロックバンド、STA(The Sapporo Transit Authority)です。

THE MOOG COOKBOOK PLAY THE CLASSIC ROCK HITS

2014-05-05 21:53:01 | CHICAGO

1970年を目前にした頃、楽器業界に革新的な電子鍵盤が登場しました。ロバート・モーグ博士が開発したその名も「MOOG」

日本やアメリカの当時の若者の間では「ムーグ」と呼ばれていますが、正しくは「モーグ」と発音します。

それをきっかけに次々と多種多様なシンセサイザーが発売され、ナイスやEL&Pのキース・エマーソンを筆頭に数多くのミュージシャン達がこぞって己の音楽に積極的に導入したのです。

初期段階ではコスト面においても運搬面、操作面、技術的にもまだまだ問題点が山積みでしたが、現在では驚くほど軽量かつコンパクト、耐久性も抜群、誰でもお手軽に楽器を入手して演奏を楽しむことができるようになりました。

でも、その誕生したばかりのシンセサイザー群にしか出せない独特のサウンドは今でもコレクターの間では重宝されています。

ここに紹介する「ムーグ・クックブック」というバンドは元ジェリー・フィッシュ、インペリアル・ドラッグのキーボーディスト、ロジャー・マニング、ヴィンテージ・キーボード・スタジオ「オーディティーズ」の経営者ブライアン・キーヒューからなるユニット。

マニアック・シンセ・ミュージックを愛し、ビンテージ・シンセを数十台も所持するオタクの2人があるレアものシンセ・オークションで知り合った事をきっかけに意気投合、このユニット結成となったわけです。

ジャケットのような宇宙服姿でオルタナ系サウンドをシンセ・カバーしたアルバムでデビュー。

そして本作「YE OLDE SPACE BANDE(宇宙バンドのクラシック・ロック)」を引き続き1998年にリリースしました。

タイトルからもわかるとおり1970年代の代表的洋楽ロックをあらゆるシンセを駆使してカバーしています。

もう本人達は仕事感覚抜き、大喜びでこのレコーディングを楽しんだのでしょうね。

全11曲(1曲は日本のみのボーナス・トラック)

オマージュ、リスペクトを織り交ぜ遊び心をまぶしつつも愉快な電子音楽ワールドを展開。

内容はステッペン・ウルフ「ボーン・トウ・ビー・ワイルド」、テッド・ニュージェント、レイナード・スキナード「スィート・ホーム・アラバマ」、ボストン「モア・ザン・ア・フィーリング」、ヴァン・ヘイレン「叶わぬ賭け」、レッド・ツェッペリン「胸いっぱいの愛を」、デヴィッド・ボウイ「ジギー・スターダスト」、イーグルス「ホテル・カリフォルニア」、キッス「ロックンロール・オールナイト」、そして最後はボートラでチープ・トリック「サレンダー」

ゲストにディーヴォ、MC5のメンバーらが参加。

そしてなんとシカゴの「長い夜」も8曲目に収録されています!

皆さんの想像通りの音です(笑)

ピコピコ、ピヨピヨ、キュィーン、ポコポコ・・・・とYMOとラテンとがドッキングしたようなアレンジ。ギター・ソロにはレッド・ツェッぺリンのソロ・パートをちゃっかり拝借しています。

この種の音楽ともなるとマニア寄りなイメージを持たれがちですが、曲目が誰でも知っている有名曲ばかりで、演奏も一切の打ち込みを排除して演奏、とてもわかりやすい音源となっています。私個人としましては、このような音で顔をヘルメットで隠しビジュアル面でもかなりの演出を駆使しているのを見るにつけ、あの伝説のバンド、レジデンスを彷彿とします。あちらは超難解極まりないですが・・・。

目玉にタキシード、山高帽姿という謎の集団(1人のメンバーの目玉が盗難にあったために単独どくろマスクを被っています)

ムーグ・クックは1996年にインペリアル・ドラッグのオープニング・アクトとして来日、30分のライブを展開したそうです。

毎日、四六時中この盤を聞くにはちょっと辛いものがありますが(YMOほどポップでキャッチーではないので)、たまにはこういうアルバムを手にして無の境地に陥ると新たなインスピレーションが湧き立つかもです。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

JUKEBOX HIT HIT!(25OR6TO4)

2014-05-03 01:07:19 | CHICAGO

またまた激レア珍音源の発掘です。

写真は「う~~ん・・・マンダム!」の男性化粧品におけるコピーのセリフでいきなり日本はもとより世界中で人気爆発した肉体派、男の体臭、髭が渋いチャールズ・ブロンソン。

このジャケットを見たら映画音楽コンピレーションLPかと思われがちですが、純粋な映画音楽は全14曲中2曲のみ。

他は洋楽ヒット曲ばかりです。定価が1500円!!

でも当時はブロンソンのアップを載せた方が絶対的に受けがいいとレコード会社もふんだのでしょう。そのくらいにブロンソン映画は次々とヒットしました。

内容は全編インストウルメンタルで稲垣次郎とオール・スターズというサックスを中心としたバンドが演奏しています。タイトルが示している通り「ジューク・ボックス」の人気曲からセレクト。

さて、曲目に目をうつしますと、このレコード発売年月が1971.2と記載されているので、大体の察しはつくでしょう。

この頃、ビートルズは解散状態なので彼らの曲は収録されていませんが、4曲目にポール・マッカートニーがアレンジしてメリー・ホプキンが歌った「ケ・セラ・セラ」を聞くことができます。オリジナルはサスペンス映画の巨匠アルフレッド・ヒッチコック監督作「知りすぎていた男」の主題歌としてドリス・ディが歌っています。

紹介が逆になりましたが1曲目はそのブロンソンのCMソングとして(本来はそれ用の曲ではありませんでしたが映像とピッタリ・フィットしていました)その年のトップ・ヒットに君臨したジェリー・ウォレス歌唱の「男の世界」。もちろん男性化粧品も会社名までをも変更したのが功を奏して大ヒット。私も学生時代に買っていました(グッズ目的もありましたが)。

A面5曲目はショッキング・ブルー「悲しき鉄道員」、次いで先日夫婦揃って逮捕されたポール・サイモンがアート・ガーファンクルと組んでいた史上最高のフォーク・デュオS&G「コンドルは飛んで行く」、この面最後はクリステー「イエロー・リバー」

B面に裏返してオリジナル・キャスト「ミスター・マンディ」、ジリオラ・チンクエッティと続いてジョニ・ミッチェル「ウッド・ストック」、レイモンド・ラブロック主演映画「ガラスの部屋」(これはあのお笑いピン芸人ひろしが「ひろしです・・・」のBGMに使用していたもの)、後半はトム・ジョーンズ、マンゴ・ジェリーで締めくくり。

ブラスを中心としただけあって当然のごとくシカゴ「長い夜」も収められています(A-3)。

決してヘビーなサウンドではありませんがメインのブラス・リフはそのままに、なんとボーカル・ラインまでホーン・セクションが吹きまくっています。ギターも頑張って絡みつきで弾きまくり。2番の歌はカット、ファズの効いたギター・ソロはすぐ終わってしまいますがエンディングも忠実に再現しています。このアルバム中、一番ハードなナンバー。

このグループは他にもいろいろとアルバムをこれまでにも発表。日比谷野外音楽堂でのライブ作もあります。ディスコ・グラフィーの紹介タイトルが「稲垣次郎のグーなレコード」というのもほほ笑ましい。この頃、なんでも「グー」というのが流行していたのです。

他に曲紹介文でも時代を反映したような言葉があちこちに見受けられます。

「なかなかパンチのきいた・・・」「「演奏もイイセンをいってる」等・・・。

これに限らず古いレコードや音楽雑誌等の解説文を読むとけっこう笑っちゃう表現を発見することができますね。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

MAKE ME SMILE(COVER)

2014-05-02 21:07:42 | CHICAGO

前回、「長い夜」を演奏している国内バンドのテイクを収録している非売品LPを紹介しましたが、今回も珍レア音源を。

アメリカ盤のカバー・アルバム。

全10曲収録。演奏者が不明。タイトルは「POP SERIES   TOP CHART HITS OF TODAY VOL,5」

ということはシリーズ物ですね。でも他の盤は一度も見たことがありません・・・。

曲目を見ていただければおわかりのとおり、1970年前後の洋楽が中心です。

バッド・フィンガー、S&G、CCR,BTO、そしてアイズ・オブ・マーチのヴィークル他・・・。

忠実にオリジナルのアレンジにそって演奏しています。

シカゴもA面最後の5曲目に「僕らに微笑みを」が収められています。

この曲を選曲するということも驚きですが、もっと注目すべき点は「僕らに微笑みを」をオリジナルのスタジオ・テイクではなく、最初にシングル・カットした際に、編集されたあのいわくつきバージョンでプレイされていることです!

いきなりブレイクするバッキングに切り込むようにダニーのドラム・フィルが叩きだされてすぐボーカルに突入するという短いイントロ。

もちろんエンディングもバレー・フォー・ア・ガール・イン・ブキャノン組曲第7最終楽章の「愛は限りなく」で締めくくられます。

とてもマニアックな音源と思われますが、案外このレコードが録音された当時、まだシカゴのシングルも「長い夜」が出る前のデビューほやほや時代だったような気がします。

つまりビッグ・ネーム前夜ということですね。このシリーズは少なくとも5種類は出ているわけですから、もしかしたら他の盤でもシカゴをカバーしている可能性が大きいかも!?

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする