【現代思想とジャーナリスト精神】

価値判断の基軸は自らが判断し思考し実践することの主体であるか否かであると考えております。

戦後精神の再生を探る鈴木正氏の労作 櫻井 智志

2018-12-02 21:03:24 | 社会・政治思想・歴史
2012年4月15日

『戦後精神の探訪―日本が凝り固まらないために』
 本書は歴史、人物、思想の三章から成立している。そのいずれも独創的な着眼点から思想を見つめ、堅苦しくない語り口の文体で、新鮮な思想史学を読者に提供している。中でも私には、第二章の「人物」編が強く印象に残った。

 梅本克己、芝田進午、古在由重、尾崎秀實、小林トミ、中江兆民研究者、安藤昌益研究者、白鳥邦夫、栗木安延、石堂清倫、家永三郎、藤田省三、土方和雄、江口圭一、高畠通敏などの広範で多岐にわたる人物についての叙述は、鈴木正ならではのものである。

 古在由重は、核廃絶問題に取り組み、原水禁と原水協との統一行動における大衆運動の実践をめぐり、日本共産党と対立した結果、除籍された。芝田進午は、胆管がんでご逝去されて偲ぶ会の席上、友人代表として挨拶に立った上田耕一郎から永年党員と賞賛された。日本共産党からすれば、一方は好ましい存在として、他方は党の方針と異なる行動をとった存在として、両者は百八十度異なる価値付けをされるかも知れない。

 だが、芝田は古在由重を戸坂潤とともに、戦前に独創的な世界レベルの唯物論哲学を築き上げた実践的唯物論者として尊敬していた。

 鈴木正は、古在由重が戦時中に日本共産党員がすべて獄中につながれ、党が壊滅した後で、京浜地域の工場労働者たちの秘密学習会のチューターとして、実質的な党活動を行ったことを紹介している。同時に、中国共産党が日本からの侵略下で、激しい弾圧に対して「偽装転向」として転向上申書を書いて獄中から出て、即刻反戦活動を行ったことを述べている。その偽装転向は、中国共産党の政治的高等戦略として、中央指導部からだされた極秘方針として広く浸透していった。古在由重は、二度転向の上申書を提出している。ところが獄から出て、古在は即刻コミンテルンのスパイとして逮捕されていた尾崎秀實を釈放するために、弁護士を探すことに奔走し、弁護士を探し出すことに成功した。結果は、尾崎秀實は釈放されることはあたわずに、日本人共産主義者として唯一死刑に処された。鈴木正は、古在の実質的な抵抗としての反戦党活動の意義を、戦時下の中国共産党の戦略と照らし合わせて意義を讃えている。

 梅本克己は主体的唯物論として、石堂清倫は構造改革派として、藤田省三も政治思想的問題でそれぞれ日本共産党からは除名や除籍されている。鈴木正は、この三者をレッテル貼りで済ますようなことはしない。とくに石堂清倫は、グラムシを日本に紹介した先駆者である。いわゆる運動戦に対置して陣地戦をグラムシは提起して、先進的資本主義国での革命の論理を提起した石堂の卓越さを、惜しむことなく讃える。そして、石堂清倫と同郷で先輩の中野重治をも視野に入れて論じている。藤田省三についても、丸山眞男の政治学を継承した政治思想史の碩学として、藤田の学問的人間的豊かさを描き出している。 

 「アテルイを知っていますか」という第一章の節では、桓武天皇の命を承けて東北地域「制圧」のために派遣された坂上田村麻呂によって滅ぼされた側の蝦夷の大将アテルイについて言い及んでいる。この節を読むと、歴史をどう見るかということを単眼でなく、複眼で見ることの鈴木の視座が明晰に伝わってくる。この見識も、2000年に京都清水寺の境内の墓碑の発見から始まっている。何気ない事物を虚心坦懐に見つめ、そこから思想史学を構築してきた鈴木の学問的方法論に、氏が青年の頃から学んできた思想の科学研究会での新たな学問的アプローチが体現されている。限られた紙数では語り尽くせない氏の、戦後史に題材をとった豊かな学問的発掘が本書には展開されている。

 鈴木は、こうも述べている。

「メールをすぐ送るとか、ワープロで打った習作か草稿程度の文章を他人(ひと)に見せるとか、近ごろははき出すことが多すぎてどうも念慮が足りない。どうせ大した調査研究でないから、あとで盗作や剽窃といった心配も一向にないらしい。じっと息を懲らさないと表現は彫?できないのに。携帯電話も同じで、ゆっくりする時間を奪う。ある友人は、恋人の間ではケイタイは監視機能を果たす凶器だ、とくさしていた」。

 この文章には、じっくりと考え、思想を熟成するような営みを軽んじて、電脳「文化」によって文化がculture「耕される」ものではなく、多機能映像機器の駆使としてしか扱われていない文明論的危機の表明が提起されている。インターネットと言語、思考、表現の根本的な問題の所在を現代人に明らかにしている。

広原盛明氏の的確な評論への小生の共感の後説

2016-04-04 03:22:33 | 社会・政治思想・歴史
広原盛明氏の的確な評論への小生の共感の後説

                        櫻井 智志




【広原盛明のつれづれ日記】
2016-03-31
参院選では「野党共闘」の顔、衆院選では「単独路線」の顔、民進党はいったいどちらの顔が本当なのか、「ジキルとハイド」を演じる二重人格的な党運営は自己破綻をきたして身を亡ぼす、2016年参院選(衆参ダブル選)を迎えて(その18)Add Star
06:34
 前回の拙ブログで、民進党が国民から期待されないのは、野党共闘に対する民進党の「やる気」のなさにあると書いた。しかし参院選だけを見ると、3月25日の野党幹事長・書記局長会談で32の1人区のうち7選挙区で野党統一候補が決まったことが確認され、さらにその後1選挙区が追加されて、野党共闘成立は現在8選挙区(青森、宮城、栃木、長野、徳島・高知、熊本、宮崎、沖縄)になった。他の18選挙区でも候補者一本化に向けた協議が進んでおり、残る6選挙区は調整中といわれる(朝日新聞、2016年3月28日)。
 民進党以外の共産、社民、生活の3党では、参院選の共通政策づくりと衆参同日選も想定した衆院選協力が議題に上っており、安保法制廃止に加えて来年4月の消費増税中止、原発ゼロの日本をめざす、などの共通政策のたたき台が目下検討中だ。だが民進党内では、衆院選は「政権選択選挙」であり、基本政策の異なる野党(とりわけ共産党)と協力することには否定的な声が強く、野党共闘のこれ以上の進展には消極的だとされている。枝野幹事長も「衆院選は参院選とは異なる。衆院選は〝政権選択選挙″だから野党共闘はしない」と繰り返し言明している。
 このように民進党は、次の衆院選は参院選とは異なる「政権選択選挙」だから野党共闘はしないという(屁)理屈で選挙協力を拒んでいるが、私にはこの(屁)理屈がまったく理解できない。だいたい政党支持率10%程度の民進党が40%もの支持率を維持している自民党を破って「政権政党」になる可能性など100%ないと言ってもいいし、また国民の誰もそんなことを思っていない。馬鹿もほどほどにしてほしいが、誰が考えても次の衆院選が民進党の「政権選択選挙」などになりようがないのである。
 それに安保法制廃止が野党共闘の柱であり、そのためには安倍改憲政権を打倒することが政治目標なのだから、当面の目標としては改憲勢力が衆参両院で3分の2議席を占めることを阻止することが野党共闘の中心課題にならなければおかしい。衆参両院の3分の1以上の議席を獲得することが野党共闘の政治目標である以上、この点では参院選も衆院選も性格が全く同じで何ら変わることがないのである。まして、改憲勢力が3分の2議席を持っていない参院選で野党共闘するのだから、改憲勢力がすでに3分の2議席を確保している衆院選ではなおさら野党共闘が必要になる。参院選では野党共闘するが、衆院選では野党共闘しないということになれば、衆院で改憲勢力が3分の2議席を占めている現状を変えることはできないし、「そのままでいい」ということになりかねない。
 私は衆院京都3区の有権者だから、民進党の「タテマエ」と「ホンネ」がよく分かる。民進党京都府連は前原氏(民主党元代表)の強い影響下になり、衆院4月補選に関しても3月の党定期大会で「いずれの選挙でも共産党と共闘しない」との大会決議を採択した。京都の民進党は「野党共闘しない=自公政権と協調する」ことが彼らの「ホンネ」なのであり、前原氏らは「タテマエ」として安倍政権打倒の旗印を掲げてはいるが、その意図は安倍政権の安保政策に反対するからではなく、安倍政権に代わって政権の座に着きたいだけのことなのである。
 民進党全体がそうだとは言わないが、衆院選で民進党があくまで野党共闘を拒否するのは、前原氏に代表されるようなグループが「隠れ自民党」として民進党内で大きな影響力を維持しているからだろう。彼らにとっては日米軍事同盟下で安保政策を強力に推進することこそが使命であって、この点では自民党国防族と何ら変わることがない(むしろそれ以上だ)。前原氏らが民進党を離党しないで党内にとどまっているのは民進党全体を与党化し、「中身は同じだが形の違うボトル」をつくって政権交代を目指すことなのである。
 なかなか進展しない衆院選での野党共闘にしびれを切らしたのか(見切りをつけたのか)、共産党の山下書記局長は3月28日、記者会見で「衆院小選挙区で選挙協力を追求しつつ、候補者擁立をすすめる」方針を発表した。理由は以下の通りである(しんぶん赤旗、2016年3月29日)。
―3月23日の共産、維新、社民、生活の4党の党首会談での合意、「5野党間で速やかに衆院小選挙区での選挙協力のための協議に入るべきである」という合意を踏まえて、3月25日の5野党書記局長・幹事長会談で、私は衆院小選挙区での選挙協力について5野党党首間で確認されたことであり、衆参ダブル選挙の可能性もあるもとで速やかに協議に入るべきだと改めて提起しました。それに対し、民主党の枝野幸男幹事長は「難しい」「協議には入れない」と繰り返し表明しました。枝野氏が「協議に入れない」理由としてあげたのは主に「党内を説得できない」「既に立候補している人を降ろせない」というものでした。一方、同党の玄葉光一郎選対委員長は、民進党として「単独過半数238は立てる」と述べ、既に200人近くを擁立しています。自らは候補者を擁立しながら「立てたら降ろせない」、選挙協力の協議に入ることさえ拒否するというのは、5党首合意を誠実に履行する態度とは言えません。民進党がこうした態度をとるもとで、わが党として総選挙をたたかう独自の準備を急ぐ必要があります。そのことが、結果として、民進党を含む野党間の衆院小選挙区での選挙協力を前に進める力にもなると考えます。以上の理由から、わが党として衆院小選挙区の候補者の擁立を進める方針を確認しました。
 民進党が衆院選での野党共闘を拒否している状況は、安倍政権にとっては衆参同日選挙を実施する「またとない機会」を与えるだろう。たとえ参院選で部分的に野党共闘が実現しても、衆院選で野党各党がバラバラで戦う状況が生まれれば、選挙戦全体としては衆院選に比重がかかり、参院選での野党共闘の影が薄くなるからだ。このことが延いては参院選でも野党統一候補に不利な情勢をもたらし、衆参両院で安倍政権が3分の2議席をとる可能性を広げることにもなりかねない。いずれにしても由々しき事態だと言わなければならない。
 民進党にこの際はっきりと言いたい。岡田氏に「ジキル」を、前原氏に「ハイド」の役を演じさせるような二重人格的な党運営を止めてほしいということだ。岡田氏も枝野氏も衆院補選が行われる北海道5区と京都3区を同一視し、「両補選で勝利して参院選の弾みにしたい」などといったノーテンキなことを言っているが、北海道5区は「ジキル」方式で、京都3区は「ハイド」方式でやるというのでは、民進党はもはや同一政党とは言えないだろう。両補選の選挙結果次第では、参院選あるいは衆参同日選の前に民進党の二重人格的行動の矛盾があらわになり、自己破綻状況が明白になって「身を亡ぼす」前兆になるかもしれないのである。
3月27日の民進党結党大会に来賓として招かれた安保法制に反対する学生グループ(SEALDs)の奥田愛基氏は、「民進党が、民と、国民とともに進むというスローガンがウソじゃなくて、本気で言ってほしいなと思います。僕らはアホじゃない。僕らはバカじゃない。この政治家がウソをついているか、本当のことを言っているか、なんとなくしゃべっているのを聞いたら分かります。だって、それがみんなだまされているんだったら、戦後最低の投票率にならない。僕たちは政治家の人たちに対して、ありがとうと言ってみたいです。単純に応援したり、がんばってくださいと言ってみたいです。そして僕たちもがんばります。よろしくお願いします」と挨拶をした(産経ニュース、2016年月27日)。
 この奥田氏の言葉に込められた真意をどれだけ多くの大会参加者が受け止めたか、私は知らない。しかし、今からでも遅くはない。民進党は衆院での野党共闘に踏み切るべきだと思う。そのためにはまず衆院京都3区補選では民主党京都府連の大会決議を撤回し、本格的な野党共闘体制を再構築しなければならない。でもそうではなくて、これまでの京都の民主党のように民進党がすべてに頬被りして「ジキルとハイド」を演じ続けるのか、いま民進党は野党共闘への「やる気」を通り越して政党自体のアイデンティティ(存在証明)が問われている。(つづく)

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後説

*写真はかつて広原盛明先生が、住民運動の事務局長をなさっていて、誰も立候補しないので、候補を決める責任者の自覚から京都市長選に立候補し、小生がネットを通して「勝手連」を展開していた前後のお顔です。それから十年以上経ちましたが、広原先生の「持続する志」はいささかも変わらず、西川卯三京都大研究室に学ばれたころのまま、いまも 貢献してくださっています。
 小生は、日本共産党の外から応援団を務めておりますから、敬愛する古在由重氏も石堂清倫氏もその学問への敬意は変わりません。
 そして、現在の日本共産党が厳しい実践にとり組んできた国政選挙の候補者をおろしてでも、日本国を戦争と国際紛争の渦中から救うために、真剣に国政選挙での野党勢力を増やし憲法改悪を阻止し、戦争立法を廃案にするために全党が一丸となってその実践のために奮闘なさっている姿に、感銘と感動をおぼえます。
 今の日本共産党こそ、「救国と平和の護民官」としての実体を堅持しています。
 およばずながら、これからも無党派民主主義の限界は在りますが、国民的な規模で反戦反核の統一と協同の論理にたつ広場を形成して、平和を希求する国民と亡くなっていった過去の死者と、国外の平和主義にたつ民衆との、地球規模・人類史規模の新たな統一の戦線を生成、発展させるために、日本共産党の勇気と展望にまなびたいと考えています。
2016/04/04

なぜ安倍政権とアメリカ政府は「辺野古」にこれほどこだわるのか

2015-12-12 19:23:04 | 社会・政治思想・歴史
「辺野古」と核兵器密約

                櫻井智志



報道番組で重要な事実を知った。

佐藤総理がニクソン大統領と交わした密約に、「辺野古など四箇所に核持ち込み」の記載がある。

このことを政府高官若泉敬氏がご著作に明記している。若泉氏はこの著作が周囲から黙殺され宙に浮いた状態の末に青酸カリで自死をとげた。

政府の異様な辺野古へのこだわりは、核兵器密約との関連がある。

事実であるなら、課題は沖縄県を生け贄にせず日本国民全体の反対運動の高まりを必須としている。

異様なテレビ放送番組批判の一斉攻撃意見広告を批判する

2015-11-25 18:50:47 | 社会・政治思想・歴史

                      櫻井 智志


【1】なにが起こっているか
 東京 新聞11月25日朝刊を見て驚いた。
産経新聞11月14日朝刊に、読売新聞11月15日朝刊に、「放送法遵守を求める視聴者の会」を名乗る団体が一ページ全面に意見広告が出され、安保関連法成立に至る国民的反対運動について取材し、放送したことを非難している。以前テレビ朝日の「報道ステーション」が集中的批判を浴びたことがあるが、今度はTBSテレビの「TBS23」とそのアンカー岸井成格氏を名指して、非難した。
 この視聴者の会の呼びかけ人すぎやまこういち、ケント・ギルバード、小川榮太、上念司諸氏の発言を下記に記したが、内容は極めて極端で偏った
発言に終始している。テレビで安保法案についての賛成と反対の放送時間をはかってみたら、著しく反対に放送時間を割いている番組がかなりあって、それは新聞雑誌と異なり公共電波を認可された団体しか使えないので、「放送法」にもとづいて偏った報道である、およそそのような視点から、運動を進めているという。そして、産経と読売への意見広告では、TBSテレビの「TBS23」とそのアンカー岸井成格氏に集中攻撃を行っている。



【2】「放送法遵守を求める視聴者の会」の主張
 インターネット で検索すると、動画サイトで以下の呼び掛けが流されている。長いもので5分間、短いもので1分台である。
 
【視聴者の会】呼びかけ人メッセージ 上念司
https://www.youtube.com/watch?v=g3DMYBwk30k

【視聴者の会】呼びかけ人メッセージ ケント・ギルバート
https://www.youtube.com/watch?v=xogb6elit7c

【視聴者の会】代表呼びかけ人 すぎやまこういち
https://www.youtube.com/watch?v=XauZrapl8Mk

【視聴者の会】呼びかけ人メッセージ 小川榮太郎
https://www.youtube.com/watch?v=4anUaHUTxEM

 放送法遵守を求める視聴者の会は、以下のような主張もネットで述べている。
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 放送法遵守を求める視聴者の会
この度、憂いを同じくする民間人7名が呼びかけ人となり、「放送法遵守を求める視聴者の会」(以下「視聴者の会」)を発足し、本日11月14日付産経
新聞に、15日、読売新聞に一面全面広告を掲載。
http://housouhou.wix.com/tvwatch
同広告ではTBSニュース23のメインキャスター岸井成格氏の放送法違反である疑いの非常に濃厚な発言を明確、詳細に批判し、国民に違法な報道への注
意を喚起しました。また、視聴者の会では、TBS、岸井氏宛公開質問状を近く正式に投函する予定。
〇報道番組の現状:当会の調査によると、安保法制成立直前1週間の各局報道番組の法案への賛否の放送時間比較は、NHKニュースウォッチ32%:68
%(賛成:反対、以下同)、日本テレビNEWS ZERO10%:90%、テレビ朝日報道ステーション5%:95%、TBS NEWS23 7%:93%、フジテレビあしたのニュース22%:78%など、常軌を逸した偏向報道となっています。特定秘密保護法、集団的自衛権の閣議決定など重大なトピックではほぼ同じ極端な偏が繰り返されてきました。この現状を短期間に是正しない限り、国民が正しい政治判断を下すことは不可能です。
そこで視聴者の会では、以下の目標を実現するまで活動の手を絶対に休めません。
〇目標:テレビ事業者は放送法の規制下にあります。放送法第4条は以下の4項目を放送事業者に遵守するよう求めています。私達は、放送事業者が、こ
の第4条を遵守し、重大な政治的争点で公正な放送時間配分(概算で4:6程度までの範囲内)を守らざるを得ない国民的な強い思潮を早期に作りだすこ
とを唯一最大の目標とします。
放送法第4条
一 公安及び善良な風俗を害しないこと。
二 政治的に公平であること。
三 報道は事実をまげないですること。
四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。
〇行動方針:
①視聴者の会は、例えば「放送法に罰則規定を設ける」「放送局の解体」などの激しい争点になる主張を行わず、現行の放送法4条の遵守のみを求めてゆきます。
②当会は、会として特定の政治的立場や主張を持ちません。特定の政治的主張を通したくてこの運動をしているのではありません。視聴者の会のキーワードは「国民の知る権利」です。偏向報道はまさしく「知る権利」の重大な侵害に他なりません。当会は「知る権利」を守ることに活動を特化します。
③当会は新聞メディアは対象としません。新聞には完全な言論の自由が保障されています。今回の我々の会が問題にするのは放送法に規制された放送局のみです。
④政治家の関与・賛同は厳に御断りし、一般国民の声のみを結集します。
〇今後の活動:本日の新聞広告掲載に続き、矢継ぎ早に各種広報を始めキャンペーンを展開します。違法性ある報道を国民の皆様に知らせ続けるホームページの更新、各界有識者の賛同者の募集、大規模な署名活動を展開してまいります。
報道番組の公平化が早期に達成されるまで、皆様の力強い御賛同、御支援をお願いいたします。
すぎやまこういち(代表/作曲家)
渡部昇一(上智大学名誉教授)
渡辺利夫(拓殖大学総長)
鍵山秀三郎(株式会社イエローハット創業者)
ケント・ギルバート(カリォルニア州弁護士・タレント)
上念司(経済評論家)
小川榮太郎(事務局長/文藝評論家)順不同
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なお、この会はインターネットメディアに次のサイトをあいついでひらき、今後運動を次々に拡大し、テレビ報道監視・批判・提言などから国民に浸透をはかっているものと予想される。
■放送法遵守を求める視聴者の会 - Facebook
https://www.facebook.com/housouhou/
放送法遵守を求める視聴者の会, 東京都千代田区三崎町2-13-5影山ビル501. 576 likes. 当会は、国民主権に基づく民主主義のもと、政治について国民が正しく判断できるよう、公平公正な報道を放送局に対して求め、国民の「知る権利」を守る活動を行う任意 ...
■放送法遵守を求める視聴者の会 (@housouhou) | Twitter
https://twitter.com/housouhou

The latest Tweets from 放送法遵守を求める視聴者の会 (@housouhou). 私達は放送事業者に対し、放送法の遵守を求めます。



【3】国民はどう考えているか
 賢明な良識をもつと思われる次の知識人のかたはブログにて、公正で冷静なご見解を示されている。
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wakaben6888のブログ
憲法を大事にし、音楽を愛し、原発を無くしたいと願う多くの人と繋がれるブログを目指します
2015-11-16
「報道の自由」にとっての最高度の危機~「放送法の遵守を求める視聴者の会」からの攻撃について
報道 憲法
 今晩(2015年11月16日)配信した「メルマガ金原No.2276」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
「報道の自由」にとっての最高度の危機~「放送法の遵守を求める視聴者の会」からの攻撃について
 今日の昼休み、事務所のパソコンでFacebookに流れる情報を拾い読みしていたところ、和歌山県かつらぎ町の町会議員、東芝弘明(本名:ひがししばひろあき、議員名:とうしばひろあき)さんが昨日書かれたブログをシェアしている人が複数いて、ふと読んでみる気になりました。
東芝弘明の日々雑感 2015年11月15日
違法な報道?、全面広告にびっくり
 すると、昨日(11月15日)の讀賣新聞に、「「News23」の岸井成格氏を名指しで批判する」全面意見広告が掲載されたというではありませんか。
 そこに掲載された広告を一瞥したところ、
  私達は、違法な報道を見逃しません。
  私達の「知る権利」はどこへ?
という文字が躍っており、「放送法の遵守を求める視聴者の会」なる組織が出稿者のようです。
 東芝さんの書かれていることは至極もっともと思えましたが、とりあえず裏をとらねばということで、「放送法の遵守を求める視聴者の会」のホームページにあたってみることにしました。
 その結果、同会ホームページはすぐに見つかったものの、このサイトがいつ立ち上げられたのかについては、よく分かりませんでした。
 ただ、共同呼びかけ人(7人)の1人であり、事務局長とされる小川榮太郎氏(文藝評論家)のFacebookでは、産経新聞に全面広告を掲載した一昨日
(11月14日)、「超拡散希望 御報告」と題して、「この度、憂いを同じくする民間人7名が呼びかけ人となり、「放送法遵守を求める視聴者の会」(以下「視聴者の会」)を発足し、本日11月14日付産経新聞朝刊に一面全面広告を掲載いたしました。同広告ではTBSニュース23のメインキャスター岸井成格氏の放送法違反である疑いの非常に濃厚な発言を明確、詳細に批判し、国民に違法な報道への注意を喚起しました。また、視聴者の会では、TBS、岸井氏宛公開質問状を近く正式に投函する予定です。」以下の文章を公表していますので、同会ホームページの公開も、それほど以前のことではなさそうです。
 なお、「放送法遵守を求める視聴者の会」の7人の呼びかけ人は以下の方々です。いずれも、特定の方面でよくお見かけする名前ですね。
  すぎやまこういち氏(代表/作曲家)
  渡部昇一氏(上智大学名誉教授)
  渡辺利夫氏(拓殖大学総長)
  鍵山秀三郎氏(株式会社イエローハット創業者)
  ケント・ギルバート氏(カリォルニア州弁護士・タレント)
  上念司氏(経済評論家)
  小川榮太郎氏(事務局長/文藝評論家)順不同
 「放送法の遵守を求める視聴者の会」の主張がいかにおかしいか、個別に検討すべきことはいくつもありますが、今日のところは詳しく検討して論じるだけの時間的余裕がないため、とりあえず、「表現の自由」「言論の自由」「報道の自由」に対する介入・攻撃は、このような形態、すなわち権力そのものではなく、「市民」を装った形によってもなされるのだということに注意を喚起したいと思います。
 前掲の小川榮太郎事務局長の文章によれば、「行動方針」として、「当会は新聞メディアは対象としません。新聞には完全な言論の自由が保障されています。今回の我々の会が問題にするのは放送法に規制された放送局のみです。」とした上で、さらに「今後の活動」として、「本日の新聞広告掲載に続き、矢継ぎ早に各種広報を始めキャンペーンを展開します。違法性ある報道を国民の皆様に知らせ続けるホームページの更新、各界有識者の賛同者の募集、大規模な署名活動を展開してまいります。報道番組の公平化が早期に達成されるまで、皆様の力強い御賛同、御支援をお願いいたします。」という闘争宣言で締めくくられています。
 とりあえず、14日には産経新聞に、15日には讀賣新聞に、それぞれ全面意見広告を出稿した「放送法の遵守を求める視聴者の会」ですが、それだけで終わるつもりがないことは、小川事務局長の文章でも明らかです。
 そのことを如実に示すのは、同会ホームページの中の以下の箇所です。
(引用開始)
スポンサー各位殿への公開質問状
・今回明らかにした通り、TBSの報道番組NEWS23は放送法第4条を無視していると受け止めざるを得ない報道姿勢をとっています。スポンサー各位は、今後もこの方針を容認した上で番組スポンサーを務め続けるつもりですか?
・または、番組制作者に対し、放送法を遵守するよう番組編集の改善を求めるお考えはありますか?
・番組制作者に対し放送法遵守を求める場合、もしも番組制作者がその求めに応じない場合は、スポンサーを降板することも視野に入れ検討されますか?
お問い合わせガイド
 ※視聴者から各スポンサーへの問い合わせは、節度をもって行いましょう※
この件に関すると思われる番号の公開が無いスポンサーに関しては、本社番号が記載してあります。番組スポンサーの件に関する問い合わせである旨を伝えたうえで、関連部署へ問い合わせを行ないましょう。
(略)
まず最初に「NEWS23の番組スポンサーに関する問い合わせです」との旨を伝えましょう。
《全国ネット共通スポンサー》(2015.04~09)
(略)
《ローカル局ごとのスポンサー》(2013.04~)
(略)
(引用終わり)
 これだけの番組スポンサーを調べ上げているのですから、それなりの情報提供ソースの存在が推測されるところですが、何よりも、「節度をもって行いましょう」と言いながら、スポンサーに対する組織的な圧力行動を呼びかけていることを看過することはできません。
 自民党「文化芸術懇話会」での「スポンサーに圧力を」「経団連にお願いしよう」という暴言を思い出すまでもなく、民間放送局を締め上げるには糧道を断つのが一番ということで、政府や自民党ではやりにくいのなら、私たちがやりましょう、ということでしょう。
 全ての良識ある人々に対し、最高度の危機意識を持つべき事態が起こっていると訴えたいと思います。
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 まなぶことが多い見解の代表と思う。




【4】私はどう対応するか
 私はこの数年間、TBSの「TBSNEWS」を視聴し、アンカー岸井成格さんのご発言や言論人としての態度にふれてきた。TBSテレビの番組サイトには、岸井さんのひととなりが紹介されている。http://www.tbs.co.jp/news23/caster/
毎日新聞社でワシントン特派員、政治部長、論説委員長、主筆も歴任されたトップクラスの言論人である。TBS、JNN系列の「サンデーモーニング」各ニュース番組、選挙特別番組などテレビでも活躍され、日本の報道界の代表的知識人のひとりでもある。
 かつて安倍晋三総理が番組に特別出演した時にも、どこかの放送局のようなおべっかと迎合に終始するようなことはなく、国民から寄せられた質問や感想を生かして、丁寧かつ率直に総理に質問して、安倍総理の見解も視聴者にはわかるように進行に留意していた。岸井成格氏は困難な国内外の難問について、偏った排外主義でもないし、いわゆる左翼的進歩派文化人とも異なる。広範な立場を理解し判断している。日本国内の歪んだ偏向報道に流されることなく、海外にも取材記者をつとめた経験を生かし、国際感覚に基づく広範な見解をもっている。
 私は教科書問題を連想する。一部の民族主義知識人にもとづいて歴史教科書の編集や採択にと燎原の火が草原を焼き尽くすように、次々に燃え広がった。将来の教育と対外諸国との外交問題にまで拡大している。
 今回の民間団体が立ち上げた報道チェックは、国内のテレビ放送局の自主規制から日本国内にしか通用しない政治・外交の歪んだレンズで見た報道が流されて、国民の社会認識を戦前戦時中のような統制報道へと道を開くことになりはしないと断言できようか?
 安倍政権などの行政権力側からの干渉では、国民から批判がまきおこるような問題を、わけのわからない匿名市民団体が政府の意向を体して騒動にもちこむ典型的な事例である。「放送法四条規定の政治的公平」で非難が集中しているが、日本の憲法や法体系全般を転覆するような安倍晋三政権の政治批判に目も向けない「偏向優等生」タイプが重箱の隅をつついて騒ぎ立てるような論潮が世間で取り上げられ、日本の進路に関わる外交・防衛・国政の根本的な論議を覆い隠して、憲法規定の臨時国会さえ開かないで閉会中のわずかの委員会審議でごまかすような憲法違反を、もっと論じる社会状況ではあるまいか。



*写真は「関口宏のサンデーモーニング」出演の岸井成格さん

再説・日本共産党が反安倍自公政権勢力の一翼となるために

2015-11-21 20:03:33 | 社会・政治思想・歴史
再説・日本共産党が反安倍自公政権勢力の一翼となるために
                  櫻井 智志




【前説】
現在の日本共産党は一年前に私が書いた文章を見事にクリアしている。それだけの見識のある指導部と日本共産党員に敬意を表したい。




【資料】
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日本共産党が反安倍自公政権勢力の一翼となるために
2014/5/17 櫻井智志
 日本共産党は、「軍国主義復活めざす“安倍暴走”と対決 開拓者の精神で強大な党を」と党幹部会が躍進月間を呼びかけた。
 そのよびかけは、以下のとおりである。
-----------------------------日本共産党は15日午前、党本部で幹部会を開き、同日から7月31日までを期限として「党創立92周年・いっせい地方選挙勝利をめざす躍進月間」をよびかける決議を全会一致で採択しました。午後には、「躍進月間」成功に向け都道府県委員長会議を開き、志位和夫委員長が幹部会を代表して決議の内容を報告しました。
 決議は、安倍政権の暴走の一歩一歩が矛盾を大きく広げ、とくに解釈改憲で集団的自衛権の行使容認をたくらむなど、「海外で戦争する国」づくりへの暴走は、「あからさまな軍国主義復活への暴走」にほかならず、保守の人々も含めた国民との矛盾、世界との矛盾を激化させていると指摘。この暴走と正面から対決して奮闘する決意を表明しています。
 政党状況をみると、かつての日本軍国主義による侵略戦争が、日本共産党以外のすべての政党が「大政翼賛会」に合流して進められたように、国会の「翼賛化」ともいうべき事態が深刻になり、「自共対決」の政党地図が鮮明になっています。このなか、多くの国民が安倍政権の暴走に危機感、不安感を募らせ、そうした気持ちを託せる政党を模索していますが、これにこたえられるのは日本共産党をおいてほかにありません。決議は、情勢は党の躍進を強く求めているとし、今こそ開拓者精神を発揮し、国民の中に広く打ってでて、強く大きな党をつくろうとよびかけています。
 「躍進月間」の課題と目標は、(1)党大会決定の「3文献」の全党員読了をめざしつつ、少なくとも党費納入党員を超える党員の読了をやりとげる(2)すべての支部が、党大会決定にもとづき、「政策と計画」を具体化し、「車の両輪」の活動(国民運動と党建設の活動)に踏み出す(3)党員拡大を根幹にすえた党勢拡大を安定的前進の軌道にのせる―の3点です。
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 安倍政権が自民党現役幹部からさえも、そして国中から批判されるようないい加減な行政を強権的に進めている。それに自覚的に対して躍進をめざすことは、抵抗政党でもあり、国民的政党でもあり、労働者と勤労国民のための労働者政党である日本共産党にとって、当然の自覚的営為であると考える。
 党員の質量ともに実力をつけて、日本共産党が開拓者精神を発揮して「強く大きな党をつくる」ことには、異論どころか応援のエールを送りたい。私にとり気がかりなのは、日本共産党が今以上に、せめて1960~1980年代の国会議席や首長選挙の成果を獲得することは、現実的に政治変革の実効力を発揮するだろう。
 しかし、私は考える。日本共産党の実力が現在の勢力であっても、市民運動と連携して、大衆運動から尊敬を集め、「共産党がそう言うなら」と国内の政治団体や政党に影響力を与えるような視点は考えられないものだろうか。候補者ご本人は限界を超えた選挙運動に取り組んだ京都府と石川県の知事選挙を例にとろう。
 京都府も石川県も、相手候補は、自民公明民主などほぼ主要政党の連携だった。一方日本共産党が推薦する候補は、政党としては単独であった。この選挙で棄権者は、60%、70%台にも及ぶ。大雪の中の激戦となった東京都知事選は、46%の投票率だから、棄権者は54%前後である。日本共産党が強大になれば、投票率も増えるだろう。だが、なぜ多数の与党系政党VS日本共産党の構図の選挙で、多くの棄権者が多いのか。政策の協定もおろそかな政党の野合に、国民が幻滅感をもっている。
 私が強調したいのは、日本共産党の発言や政策が、多くの日本国民に届き、無党派民主主義の市民たちが、勝手連的に共産党を支持して、大きなうねりになぜならないのか。そこにある問題が解決されていかなければ、暴走する安倍政権の今後も続く無軌道な日本国憲法破壊政治にストップをかけるブレーキは結果として役には立たない。もしも簡潔に言うなら、それは「統一戦線をどうめざすか」という課題となろう。
 日本共産党第26回党大会決議において、明確にこう示されている。
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第3章 自民党政権の反動的暴走と対決し、新しい日本をめざす
(20)統一戦線の現状と展望について
 前大会以降の顕著な特徴は、この数年来、原発、TPP、消費税、憲法、米軍基地など、国政の根幹にかかわる問題で、一致点にもとづく共同――「一点共闘」が大きな広がりをもって発展していることにある。広大な無党派の人々、従来の保守といわれてきた人々との共同が各分野で大きく広がっている。文化人、知識人、宗教者が新たに共同に参加する動きも広がっている。これは未来ある画期的な動きである。
 この動きを発展させ、日本を変える統一戦線をつくりあげていくうえで、次の諸点に留意して奮闘する。
 ――わが党は、どの分野でも、一致点を大切にして「一点共闘」の発展のために誠実に力をつくすとともに、必要なときには縁の下の力持ちとして粘り強い努力を重ねてきた。この姿勢を今後も堅持することが何よりも大切である。
 ――同時に、どんな問題でも、根本的打開をはかろうとすれば、綱領が示した国政の民主的改革が必要になることを、太く明らかにする独自の活動に取り組むことが大切になってくる。この点で、革新懇運動が、草の根から国民の要求にもとづく多彩な共同の取り組みをすすめるとともに、自民党政治を根本から変える「三つの共同目標」(①日本の経済を国民本位に転換し、暮らしが豊かになる日本をめざす、②日本国憲法を生かし、自由と人権、民主主義が発展する日本をめざす、③日米安保条約をなくし、非核・非同盟・中立の平和な日本をめざす)を掲げて国民多数の合意をつくるために奮闘していることはきわめて重要であり、この運動が情勢にふさわしく大きく発展するよう力をそそぐ。革新懇 運動を支える自覚的な民主勢力が、広大な国民と結びつき、その活動と組織を前進させることが、強く期待される。
 ――統一戦線をつくるうえで、労働運動が果たすべき役割はきわめて大きい。この点で、連合指導部の特定政党支持路線と労資協調主義路線という二つの重大な問題点が、深刻な矛盾にぶつかり、変化が起こっていることは注目すべきである。消費税増税、原発推進、公務員賃金削減など悪政を推進した民主党に対する労働者の怒りが広がり、連合系労組で特定政党支持の締め付けがきかなくなりつつあり、民主党一党支持を正面から掲げられなくなった有力単産も生まれた。職場からナショナルセンターの違いを超えて要求にもとづく共同を強め、特定政党支持を打ち破り、労資協調主義を克服するたたかいをすすめる。労働組合への組織率が、労働者全体の18%まで落ち込んだ事態を重視し、党と階級 的・民主的労働運動が協力して、広大な未組織労働者の組織化に取り組む。労働者の要求にもとづく共同行動を発展させるうえで、全労連の果たす役割はいよいよ大きくなっており、その発展が強く期待される。
 ――日本共産党は、単独政権でなく、民主連合政府という連合政権をめざしている。その場合の連合の相手はどこから出てくるか。革新懇型の共同――日本共産党と無党派の人々との共同が、いよいよ本流になってくるだろう。同時に、いま「一点共闘」をともにたたかっている人々のなかからも連合の相手が生まれてくるだろう。
 そして、そうした動きともあいまって、政党戦線においても、日本共産党との連合の相手が必ず出てくると、私たちは確信するものである。そのさい、私たちの連合の対象となる相手が、従来の保守の流れも含む修正資本主義の潮流であることも、大いにありうることである。日本共産党は、社会主義・共産主義の日本を展望する党だが、当面する変革の課題は、資本主義の枠内で「二つの異常」を正し、「国民が主人公」の日本への変革をはかることにあると考えている。将来的な展望の違いがあっても、「二つの異常」を正すという当面する課題での一致がえられるならば、統一戦線をともにつくりあげることは可能であり、共同のために努力する。
 日本共産党が、あらゆる分野で国民と深く結びつき、強大な組織力をもって発展することは、新しい政治への国民的共同と統一戦線を発展させるための決定的な条件となる。そこにこそ新しい日本への扉を開く保障があることを銘記して奮闘しよう。
-----------------------------
 以上の叙述は、私には極めて共感を覚えるし、「一点共闘」、「縁の下の力持ちとしての粘り強い努力」、「無党派の人々との共同」、「従来の保守の流れも含む修正資本主義の潮流との連合であることもありうる」などの指摘に、賛意を表する。
 問題はこのような統一戦線の展望の中にあるわけではない。これほど明確な統一戦線の展望をもっている日本共産党が、なぜ支配体制と闘う国民各階層から共闘の支持を得ることがやや弱いのかということにある。
 日本の反動的政治風土は、日本的反共主義を根深くもっていることは、間違いあるまい。日本的反共風土とそれを悪用した反共デマゴギーは、解決すべきひとつの大きな課題である。しかし、日本共産党はどのようにすれば根深い日本的風土に根ざして反共風土を克服して、国民的な統一と協同の事業を成就しうるか。
 最初に紹介した「軍国主義復活を阻止する強大な共産党建設」は、「あらゆる分野で国民と深く結びつき、新しい政治への国民的共同と統一戦線を発展させること」と相俟ってこそ、ともに実現しうるのだと考える。このような2つの大きな戦略的課題をどのようにして両輪として機能させていくか。
 唯一の国民的規模の抵抗政党である日本共産党が、自らの政策を実現する上で、そのことは運動の過程において絶えず振り返りを求められていよう。そのような政治的運動こそ、日本共産党が国民から道義的政治道徳的にも尊敬を得る要点ではあるまいか。(2014年5月17日未明)
=====資料・引用終了=========





【総括】
現在、おのが党の得票率や議席にこだわる以上に、反ファシズム勢力=安倍・橋下同盟に、大阪で「大阪自民党」から共産党まで「オール日本」として闘っている日本共産党は、以前は自ら呼んだことがあるが、こだわりなく私は「護民官」「救国と革新の政党」として、日本共産党を讃えたい。
民族の良き伝統を継承して、おきなわから北海道まで、「オール日本」の取り組みは、私のめざしてきた「国民的統一戦線」にきわめて近似した実践的集団的主体の現実態であると言えよう。
(2015/11/21)

政治家の信義と真偽~大阪で勝つ~

2015-11-19 15:48:07 | 社会・政治思想・歴史

          櫻井 智志


 11月22日の大阪府知事選挙・大阪市長選挙は、投票率や終盤の出来事で影響され、きわめて厳しい選挙戦と伝えられています。

 そんな中で、おおさか維新と橋下徹氏は、「批判ばかりしている共産党が自民党とくむのはおかしい」と非難しています。
 確かに自民党は大元の本部で安倍政権の言うがままに動く状態です。しかし、日本共産党の人々は懸命に応援しています。しんぶん赤旗を観ても、共産党が自民党を応援しているとは思えないほど、わが党のように誠心誠意応援し続けています。

 ここが重大なポイントです。日本共産党が大阪自民党と他党と強力して、全力をあげて闘い住民投票で大阪都構想を阻止しました。それでも開票結果はほんとうにわずかの薄氷を踏む接戦でした。けれど、共産党と支持者たちが全力を尽くして闘ったから、僅少差でも住民投票で民主主義の再生を果たしました。
 ダブル選挙で、日本共産党が大阪自民党候補を信義を尽くして懸命に闘う姿は、信義を重んじる政治家の面目躍如たるものがあります。

 おおさか維新の会は、維新の党と醜い罵倒の応酬です。これがもともとのなかまたちだったとは思えない罵倒のやりとりです。
そのような政党集団には、日本共産党のような「信義」はみじんのかけらも観られません。

 日本共産党の信義は、政党としての成熟度を示しています。真偽から言えばほんとうの政党です。真実を体現しようと努力し続ける政党です。

 そのような日本共産党が全力をあげて誠心誠意とり組んでいる選挙戦です。選挙で負けても、大阪自民党は、本物の政党の姿をそこに見るでしょう。

 対するにおおさか維新の会は、両方当選しても、今後維新の党との激しい政党助成金目当てのバトルが待っています。
 日本共産党は、この選挙が負けても、二度三度と大阪自民党との共闘によって、共産党は信頼するに値する、と認識を新たにされ見直されることでしょう。

 民主党も、懸命に取り組む岡田代表の足元から民主党を解体するという安倍政権から敵前逃亡して、第二自民党をめざしても、ついには組織は別でも自民党に吸収され、大政翼賛会平成バージョンとなるだけです。
 一見愚直に見えても、相手に信義を尽くして共闘する政党こそ真の政党と呼べる存在です。真の政党には、選挙戦で一時期は敗北したと見えても、その「信義」ゆえにつぎのステップがあります。けれど、政党の根本精神を見失ったひとびとが一時期多数集めたと思っても、なかでは押さえつけられた不満が鬱積し、やがては集団は瓦解することが、過去の歴史にもありました。
 おおさか維新の会、民主党解党派。これらは戦前戦時中の大政翼賛会となんら変わりがありません。
 平成大政翼賛会グループには、未来はありません。過去の亡霊と妄想を愉悦するのみで、現代民主主義政治とは無縁の暴走族としかたとえようがありません。

 心ある大阪の有権者は、一度は弁舌爽やかに見えた饒舌にたぶらかされた橋下徹氏の政界入りしたこの数年間にどれだけ貴重なものを次々に喪失させられていったか。はっきりと痛いほどの目にあわされました。しかし橋下徹氏は安倍総理の指示のもとにうろうろ動いています。安倍政権を倒幕しないかぎり、安倍の腰巾着として何度でも政界にあらわれうろうろしていることでしょう。

大阪ダブル選挙。自民党候補対おおさか維新の会の対決、ではないのです。橋下徹と安倍晋三の極右同盟に、大阪の住民が大阪自民党から共産党までの議会制民主主義勢力がチャレンジして、脈々と続く庶民の町大阪の歴史と今後の未来とを守り抜く闘いなのです。大阪には中世にも堺など町民の自治の歴史があります。それを踏み潰したのは織田信長ですが、奇しくも独裁権力者に比喩される安倍晋三、橋下徹、石原慎太郎。みんな似たタイプです。かれらは織田信長を好んでいるそうです。独裁者に地方自治のまちを渡すな。安倍政権直結の橋下グループに二つとも首長の座を渡すならば、12月19日に市長任期切れとなった橋下徹氏の副総理入閣がかなりの確立で実現することでしょう。橋下は二つの首を手土産に安倍政権に入りいっそう政治の反動化を促進してしまうと予測されます。


おおさか維新に権力を渡すな

橋下徹の好き放題にさせるな

安倍晋三は即時退陣しろ

20,21,22日日曜日
決戦は金曜日今回は日曜日
https://youtu.be/4ZQxNmeKgEU



臨時国会から逃走した安倍政権の「前科」と戦犯のDNA

2015-11-16 20:23:00 | 社会・政治思想・歴史

臨時国会から逃走した安倍政権の「前科」と戦犯のDNA
            櫻井  智志

 内閣改造をおこない、山積する政治課題を国権の最高機関である臨時国会で審議することを、安倍政権は放棄した。かわりに通常国会を一月四日からに前倒しするという。参院選を控えて、あきらかに逃げの姿勢である。
 このような安倍総理のやりかたは、一年前の私の記録にも記されている。外遊中にもかかわらず、衆院解散を決行して、沖縄の重大選挙からも逃げの姿勢を決め込んだ。
 その記録を以下に附記する。なお、きょうのテレビを観ていて気づいた。テレビ画面の右隣りにぴったりとメガネ顔の男性がいる。国会議員世耕弘成参議院議員。内閣の副官房長官などずっと官邸にいる。小泉内閣の時から自民党の広報戦略をにない、九条の会の事務局長小森陽一東大教授が、著作で注意を喚起している人物である。国民の深層心理のコントロールを操縦する自民党情報操作機関の中枢である。国会審議中も、答弁で野党議員の追及で困ったと見受けられると、さっとさりげなく近寄り腰をかがめてなにやら書いたメモを渡している。自民党政権の黒子にこのような戦術家が位置していることを指摘したい。

 フランスでロシアで「イスラム国」かと疑われる大規模なテロがおきた。旅客機墜落や市内同時テロ。フランスでは千人台の死者が出た。ロシア旅客機は二千人台の死者。テロは許し難い暴力である。しかし、イスラム圏のシリアに、ロシアやフランス、アメリカの空爆が相次いだ。病院への爆撃で医者も患者も殺された。中東に、イラク戦争も含め、どれだけの空爆がなされ、悲惨な事態が続いているか。そういったことの吟味もなく、「イスラム国壊滅」などと短兵急に主張する世界になった。戦後ずっと兵器や軍人の使用や派遣をしないで、中東や国際的な信用を得ていた日本平和外交は、自民党中曽根政権小泉政権で徐々に軍国大国路線になりつつも、辛うじて持ちこたえていた一線を、安倍総理のカイロ演説で「テロに走るISの暴走をとめる有志国連合の一員として巨額の資金を援助する」と公言して、日本人ジャーナリストの救助交渉を見捨て殺害にあわせた。さらに、アジアの極東にいる日本が、遠く世界中に軍事戦略を駆使している「有志国連合」の成員として、安倍総理自らも正確に把握していない間に加盟している。このことは当然にも、他の有志国連合の国家がイスラム国や中東イスラム諸国などに行った軍事行為は、「報復の軍事行為」を受けることもありうる重大な危機にのめりこんでいる。それらも国会できちんと審議せず国民的了解も形成せず、女性宅に不法侵入して下着泥棒を行った疑惑の消えぬ大臣が、公選法違反の疑惑でたった二日の予算委員会のやりとりで日程を消化するという低次元の国会の実態である。

 安保法規を強行したまま、戦争前夜に突入した安倍晋三は、A級戦犯岸信介のDNAを見事に継承している。岸信介氏は、中国で国共内戦で共産党政権樹立という国際環境が変化しなければ、戦犯で死刑にあっていた。孫の安倍晋三がやろうとしている理想とは、祖父が国際社会から戦犯として極刑に処される寸前までいった「理想」である。こんな事態に日本をひきずりこんだ安倍政権を許している自民党内部公明党と、効果的に闘うことを自ら阻んでいる野党指導者の体たらく。岡田民主党代表、日本共産党、社民党、生活の党、緑の党、良識派保守系無所属などの健闘が期待される。同時に民主党前原・細野派、維新の党、おおさか維新の会らの「ゆ」党の敵前逃亡は昔の大政翼賛会になだれこんだ政治勢力と酷似している。



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資料:

奇天烈な衆院解散総選挙の真相
2014-11-16 13:31:31 | 言論と政治
『東京新聞「本音のコラム」奇怪な解散総選挙  山口二郎』転載

 この1週間の間に、衆院解散の流れが決定的となった。安倍首相はずっと外遊中で、なぜ解散なのか、首相が国民に説明したことは一度もない。日本の政治では、すべてが密室で決まることをあらためて見せつけられた。

 そもそも9月末に臨時国会が始まったとき、首相は地方創生と女性の活躍という看板政策の実現に向けて努力すると宣言したはずである。それらの重要法案をなげうってでも、解散に踏み切る理由は何なのか。閣僚の資金疑惑から始まって、予想以上の景気の低迷など、失敗を攻撃する材料が山積する中で、針のむしろに座らせられるのはかなわないという動機とで、逆境をリセットするために解散したというのが真相だろう。

 二年間の安倍政権の「実績」は、特定秘密保護法制定、集団的自衛権行使容認、そして川内原発再稼働と、日本の民主主義と国民生活を脅かす政策の連続である。それらはすべて、二年前の総選挙で国民に対して何の予告も説明もないものばかりであった。

 この総選挙で自民党が勝ったら、国民の信任が得られたとして、さらに好き勝手を進めるに違いない。安倍自民党に白紙委任を与えるのかどうかが、この総選挙の最大の争点である。この二年間の安倍政治を冷静に評価し、日本の未来を見据えた意思表示をしたい。

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私見

 解散総選挙を「私は言ったことはない」と言った安倍首相は、国内で言わないまま済まそうとしているのか。沖縄県知事選の敗色濃厚でとてもいたたまれないから、海外で逃亡して見守ろう、敗戦ショックがひといきついてから帰国してその後のスケジュールを一気に片付けようというのか。政治家として肝の小さな政治家の部類だろう。
 閣僚が相次いで辞任し、不祥事がたえないから解散してしまえ、という小心者総理には、今後も困難な日本の政治を委ねることはできない。
 まずきょうの沖縄県で勝利をおさめよう。そして総選挙でも統一地方選挙でも、安倍まやかし者ならず者総理をこの国のトップからひきずりおろそう。国民は安倍総理ほどの馬鹿ではない。

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安倍首相が推進する、「憲法改正による緊急事態条項」は、アドルフ・ヒットラーの「全権委任法」と酷似

2015-11-14 11:59:26 | 社会・政治思想・歴史
安倍首相が推進する、「憲法改正による緊急事態条項」は、アドルフ・ヒットラーの「全権委任法」と酷似している。
                                  櫻井智志



 安倍首相が推進する、「憲法改正による緊急事態条項」は、アドルフ・ヒットラーの「全権委任法」と酷似している。それは具体的にどのようなことを示しているのか。1.ウィキペディアによる検索・部分引用と、2.孫崎享氏のこの酷似についての安倍晋三についての叙述、3.私見の3点から、考えてみたい。


1. ウィキペディアの詳細なヒットラーについての叙述から「全権委任法」前後の様子を俯瞰したい。

独裁政権

詳細は「ナチ党の権力掌握」を参照
内閣発足の2日後に当たる2月1日に議会を解散し、国会議員選挙日を3月5日と決定した。2月27日の深夜、国会議事堂が炎上する事件が発生した(ドイツ国会議事堂放火事件)。ヒトラーとゲーリングは「共産主義者蜂起の始まり」と断定し、直ちに共産主義者の逮捕を始めた。翌28日にヒンデンブルク大統領に憲法の基本的人権条項を停止し、共産党員などを法手続に拠らずに逮捕できる大統領緊急令を発令させた。この状況下の3月5日の選挙ではナチスは議席数で45%の288議席を獲得したが、単独過半数は獲得できなかった。しかし、共産党議員はすでに逮捕・拘禁されており、さらに社会民主党や諸派の一部議員も逮捕された。これらの議員を「出席したが、投票に参加しない者と見なす」ように議院運営規則を改正することで、ナチ党は憲法改正的法令に必要な3分の2の賛成を獲得できるようになった。
3月24日には国家人民党と中央党の協力を得て全権委任法を可決させ、議会と大統領の権力は完全に形骸化した。7月14日にはナチ党以外の政党を禁止し、12月1日にはナチ党と国家が不可分の存在であるとされた。以降ドイツではナチ党を中心とした体制が強化され、党の思想を強く反映した政治が行われるようになった。しかし他の幹部とは異なった政権構想を持っていた突撃隊ではさらなる第二革命を求める声が高まり、突撃隊参謀長レームらとの対立が高まった。ヒトラーはゲーリングと親衛隊全国指導者ヒムラーらによって作成された粛清計画を承認し、1934年6月30日の「長いナイフの夜」によって突撃隊を初めとする党内外の政敵を非合法的手段で粛清した。この時、党草創期からのつきあいがあったレームの逮捕にはヒトラー自らが立ち会っている。
1934年8月2日、ヒンデンブルク大統領が在任のまま死去した。ヒトラーは直ちに「ドイツ国および国民の国家元首に関する法律」を発効させ国家元首である大統領の職務を首相の職務と合体させ、さらに「指導者兼首相 (Führer und Reichskanzler) であるアドルフ・ヒトラー」個人に大統領の職能を移した[105]。ただし「故大統領に敬意を表して」、大統領 (Reichspräsident) という称号は使用せず、自身のことは従来通り「Führer(指導者)」と呼ぶよう国民に求めた。この措置は8月19日に民族投票(ドイツ語版)を行い、89.93%という支持率を得て承認された。これ以降、日本の報道でヒトラーの地位を「総統」と呼ぶことが始まった。指導者は国家や法の上に立つ存在であり、その意思が最高法規となる存在であるとされた。
権力掌握以降、ヒトラー崇拝は国民的なものとなった。1935年1月22日には公務員・一般労働者が右手を挙げて「ハイル・ヒトラー」と挨拶することや、公文書・私文書の末尾に「ハイル・ヒトラー」と記載することが義務付けられた。民衆が党や体制に対する不満を持つことがあっても、地方・中央の党幹部に批判が向けられ、ヒトラー自身が対象となることはほとんど無かった。




2.【孫崎享のつぶやき】
安倍首相の考える、憲法改正による緊急事態条項は①緊急事態を内閣が決め、②政令(議会の承認なく内閣決定)は法律と同等効力で③何人も公の機関の指示に従わなければならない。独裁の承認です
2015-11-14 06:174



緊急事態条項について「日本は特別の条項を持っていないからこれの規定をも設けましょう」というと、それはそうだになる。

 しかし、自民党が考えている緊急事態規定はどんなものか、見たことがあるか、まず政令(議会の承認なく内閣決定)は法律と同等効力を持つ。つまり、内閣総理大臣の意向が国会の審議を経ずに法律になる。次いでその法律には、「何人も公の機関の指示に従わなければならない」としている。さらに一定期間「国会の解散なし」である。何故一定期間国会の解散がないのか。政府が緊急事態と決めた時には国民の意思を問わないという事である。余りにもひどすぎる。

 「緊急事態条項について日本は特別の条項を持っていないから」というだけに理由で、安倍政権が意図する危険に無関心なのはどういうことなのか。自民党のいう緊急事態条項は緊急事態の名の下に「首相の独裁体制を作り、それを国民に従わせる」態勢を憲法で作ろうとしている」。論外のことを提言し、そしてその危険性を論じない日本はどうなっているのか。


A:事実関係①
 安倍晋三首相は11日の参院予算委員会で、憲法改正による緊急事態条項の創設について「国民の安全を守るため、国家、国民がどのような役割を果たしていくべきかを憲法に位置づけることは極めて重く、大切な課題だ」と述べ、重視する考えを示した。
 緊急事態条項は大災害発生時や有事の首相の権限強化、国会議員の任期延長などを定めるもの。昨年11月の衆院憲法審査会で、共産党を除く与野党7党が憲法に緊急事態条項を書き込むことに賛成している。
 首相は「憲法改正には国民の理解が必要不可欠だ。引き続き新しい時代にふさわしい憲法のあり方について、国民的な議論と理解が深まるよう努めたい」と改めて意欲を示した。(11.12産経新聞)


  事実関係②自民党改憲草案中抜粋
第九章 緊急事態
第98条(緊急事態の宣言)
1 内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる。
第99条(緊急事態の宣言の効果)
1 緊急事態の宣言が発せられたときは、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができるほか、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる。
3 緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も当該宣言に係る事態において国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない。
4 緊急事態の宣言が発せられた場合においては、法律の定めるところにより、その宣言が効力を有する期間、衆議院は解散されないものとし、両議院の議員の任期及びその選挙期日の特例を設けることができる。



B:評価
 草案を読めば如何に酷いものであるかがわかる。もはや日本は民主主義国家ではない。首相の独裁体制を憲法で作ろうとしている。




3.私見~安倍政権の押し寄せる大政翼賛攻勢にどう反転攻勢するか~

 このような態勢は、安倍晋三を翼賛する日本会議などの極右団体、反動派財界、アメリカの軍産複合体などが背景にあり、さらに強力に弾圧と懐柔されたマスコミによる国民教化やヘイトスピーチ運動など極右民間運動が、保守反動極右の最たる安倍政権を支えている。さらに「おおさか維新の会」などの右派政党のみならず、民主党前原元代表の国会議員ら反共親自民の議員勢力が永田町を徘徊している。


 しかし、このような情勢下で若者から中高年まで広範な国民が立ち上がり、それは必ずしも日本共産党のもとにある勢力にとどまらない。今までの国民運動には収まりきれない、労働運動、60年安保闘争などを超える無党派市民の、反軍国主義、立憲主義を志向する自立した個人をもとにした反安倍政権の運動である。その点を見極めている志位和夫日本共産党委員長の政党・団体・個人の結集した「戦争法廃止の国民連合政府」提起は、民主党右派と維新の党などが目先の選挙協力や解党して大政党を構築しようという仕掛けにまさっている。

 すでに小沢一郎氏・山本太郎氏の「生活の党」、吉田党首の社民党は、「国民連合政府」に好意的参加を表明している。「緑の党」も参院選には国政に登場が予想される。さらに良識ある保守系無所属クラブも場合には参加しうる。志位共産党委員長のすぐれた見識は、単なる参院選対策ではなく、自らが「中期的展望」と銘打っていることである。参院選以降も、反安保法制の反戦に一致しうる広範な結集を地道に働き掛け続けていく。


 当面、福島県議選や大阪市・大阪府同日の選挙闘争の趨勢に注目し全国から応援したい。

日本国憲法の父法学者鈴木安蔵を育んだ福島県南相馬市

2015-11-03 19:31:51 | 社会・政治思想・歴史
鈴木安蔵という法学者を、私は1970年代に青木書店から出版された季刊雑誌『現代と思想』(江口十四一編集長)全40巻の中で、古在由重氏らの鼎談で読み、知っていた。

今朝の東京新聞でそのお名前の入った報道を拝読し、懐かしくまた深い想いを感じた。
教えられることばかりなので、駄文を省き東京新聞の記事をぜひご一読いただきたい。以下に転載させていただいた。

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東京新聞【ふくしま便り】

憲法は民衆のために 鈴木安蔵の人と学問 直弟子語る 

2015年11月3日



 平和憲法のルーツは福島県南相馬市にある、という話を以前本欄で取り上げた。日本国憲法の間接的起草者と呼ばれる憲法学者・鈴木安蔵(一九〇四~八三年)が同市で生まれ育ったからだ。ただのご当地自慢をしようというのではない。日本国憲法は米国に押しつけられた憲法ではなかった。日本の民衆の願いの結晶として生まれた。この事実を確認するためにも南相馬市の持つ歴史的な意味を心に留めておくべきだろう。
 その安蔵から愛知大学で直々に薫陶を受けた弟子である金子勝・立正大学名誉教授(71)が先月、「はらまち九条の会」の招きで同市を訪れ、安蔵の業績や人柄について講演した。「世田谷・九条の会」の呼び掛け人でもある金子氏の話のエッセンスを紹介したい。
 まず幼少期のエピソード。一九〇四年三月三日、安蔵は小高区の商家で生を受けた。銀行員だった父は二十七歳で病死。母に育てられ、没落した家を再興したいという思いで猛勉強する。相馬中学では弁論部に入り、数々の弁論大会で優勝したが、ただの秀才ではなかった。
 三年生のとき、上級生による私刑を追放しようと同級生七十数人の先頭に立ち、ストライキを打つ。謹慎三日の処分を受けたが、私刑はなくなった。
 「正義感の強い人で、大人になっても変わらなかった。こんな心を育んだのは、幼い頃から通ったキリスト教会で、ヒューマニズムを学んだ影響だったろう」と金子氏は見ている。
 飛び級で旧制第二高等学校に進むと「新カント哲学」に熱中。さらに「貧困、飢餓、売春、失業、疾病など社会矛盾を除去しよう」との思いで「社会思想研究会」を結成する。
 一九二四年、京都帝国大学哲学科に進学するが、翌年に経済学部に転部し、マルクス主義の研究に入る。ところが京大社会科学研究会での活動が治安維持法に違反するとして逮捕される。全国で三十八人が逮捕された、この学連事件は治安維持法適用の第一号だった。京大を自主退学に追い込まれた安蔵は、在野の研究生活を選ぶ。
 さらに二九年に再び治安維持法で逮捕され、二年半も獄中生活を送る。金子氏によると、この体験が後に鈴木憲法学を生む契機となったという。
 「先生は、獄中で日本の憲法学者の著作を読みあさった。そして、日本の憲法学には歴史的研究と批判が欠けていることに気づいたのです」
写真
 出獄後、代表作である「憲法の歴史的研究」を発刊し、民衆の立場に立ち、民衆の幸福を実現しようとする憲法学の必要性を世に問うた。日本に初めて社会科学としての憲法学が生まれた瞬間だった。
 そんな一介の在野の学者を、歴史は必要とした。四五年、太平洋戦争が終結すると、ポツダム宣言の趣旨に沿った新憲法作りが始まる。連合国軍総司令部(GHQ)は当時の幣原喜重郎内閣に草案を提出させたが、まるで大日本帝国憲法の焼き直しのような内容に失望する。同じ頃、学者、ジャーナリストらで構成する「憲法研究会」も「憲法草案要綱」という草案をつくった。まとめ役は安蔵だった。
 GHQは、草案に着目し、つぶさに検討して、ほぼ同じ内容の「日本国憲法草案」を起草した。このため安蔵は、日本国憲法の間接的起草者と呼ばれる。
 「憲法草案要綱」に「戦争放棄」は盛り込まれておらず、「九条」はGHQと幣原内閣の交渉の中で生まれたとされる。しかし「憲法草案要綱」は、「天皇の臣民」に代えて「国民」という概念を持ち込んだ。これは当時の日本人には驚天動地の画期的な考え方であったという。
 「国民主権」は、GHQによらず、日本人によって提案されたという点が何より重要だ。
 講演の後、金子氏らは南相馬市小高区の商店街の一角にある安蔵の生家を訪ねた。小高区は原発事故のために今も居住制限があり、安蔵の縁者も避難生活を続けている。だが、来年三月の規制解除を目指して、少しずつ人の気配がよみがえってきた。
 そんな空気を感じつつ、「鈴木安蔵憲法記念館をつくろう」などというアイデアも飛び出した。平和憲法を軸とした復興があってもいいのではないか。 (福島特別支局長・坂本充孝)

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人生の恩師のひとり小宮山量平先生

2015-10-28 12:24:15 | 社会・政治思想・歴史

           櫻井 智志



 生前の小宮山量平さんに私淑していた。
自らが編集なさった理論社刊「99との人生との出会い」全三巻に掲載していただいて以来、その時私は20代であった。
理論社を創業した小宮山さんは、出版者、編集者であるとともに作家、思想家でもある。『編集者とは何か-危機の時代の創造-』(日本エディタースクール出版部)の啓蒙など出版界の大御所でもあった。
灰谷健次郎、今江祥智など創作児童文学者を世に送り出した。自らも晩年に手がけた大河小説『千曲川』は路傍の石文学賞を受賞した。
週刊上田新聞社から出した『昭和時代落穂拾い』全三巻は、「回帰」「漸進」「寛容」について思想的啓蒙を果たした。
 小宮山さんがお亡くなりになられてから、長女の荒井きぬ枝さんが小宮山さんの偉業を継いで、創意ある試みにとり組んでいらっしゃる。
 この講座「私の大学」も、私は初回のゲスト早乙女勝元さんの時に日帰りで上田に出かけた。その後も毎回ご案内をいただいている。私は自らは今回行かないが、申し込み初日のきょう、関心のあるかたに、と思いここに転載させていただいた。



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INFORMATION

小宮山量平の「私の大学」-講座その5-

講師/はらだ たけひでさん(絵本作家)
1975年岩波ホール入社。企画・広報のかたわら創作絵本を発表。
代表作「フランチェスコ」ユニセフ国際絵本画家最優勝賞)
「パシュラル先生」「大きな木の家-わたしのニコ・ピロスマニ」など
《ひとも動物も大地にはぐくまれて》
―グルジアの画家ピロスマニ―
放浪の画家ピロスマニを愛し、グルジアを愛した小宮山量平さんに
思いをはせながら・・・・・
ゲスト/小宮山 俊平さん
《父と訪ねた「友愛の国」グルジア(現ジョージア)》
日時/11月14日(土)pm3:00~pm5:00
場所/エディターズミュージアム(長野県上田駅前 若菜館ビル3F)
*JR上田駅は東京からの新幹線停車駅
参加費/1200円(高校生以下500円)
定員/100名 定員になり次第締め切らせていただきます。

■お問い合わせ・お申し込み
エディターズ・ミュージアム  TEL 0268-25-0826

■受付開始 10月28日(水)
 受付時間/AM11:00~15:00 火曜休館





岩波ホール 03-3262-5252
放浪の画家 ピロスマニ
11月21日(土)より12月28日(金)まで
特別ロードショー
Editor’s Museum
小宮山量平の編集室

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