4月22日、カンボジアとタイを結ぶ鉄道がついに開通し、記念式典が開催されました。式典には、カンボジアのフン・セン首相、タイのプラユット首相が参加しました。
カンボジア鉄道北線は、プノンペンとタイ国境のポイペトを結んでおり、ポイペトから国境を越えてタイ国鉄と連結しています。フランスにより1929年から建設されたものです。1970年代以降の内戦での損傷が激しく、2010年からアジア開発銀行等の支援を受けてリハビリ工事を行いましたが、途中で資金不足となり、政府予算で細々と改修工事が行われてきました。2018年7月4日、タイとの国境からプノンペンまでの北線全線(約390キロメートル)が接続されました。国境の鉄橋は、タイの支援により完成しました。線路は昨年繋がったものの、二国間の協定の交渉が遅れ、今般、ようやく交渉が妥結し協定に調印し、開通に至ったものです。なお、今回の開通にあわせて、タイからディーゼルカー4両(各80人乗り)が寄贈されました。日立製の車両です。
今回の開通により、カンボジアとタイは鉄道で結ばれましたが、その運用方法等はまだこれからという段階です。また、カンボジア側は、線路は出来上がっているものの、信号システムや踏切等の安全設備はほとんど未完成であり、実用的な運行が可能となるにはまだ時間がかかるものと見られます。また、カンボジア側の運営会社であるロイヤル鉄道は、パフォーマンスが悪いことからライセンスはく奪をフン・セン首相から通告されており、次の運営主体を探している状況です。また、国境通過に必要な税関や検査体制の整備等は未着手となっています。
鉄道によるカンボジアとタイとの間の貨物輸送のためのロジスティクス改善の期待は高まっていますが、日本企業が望むようなレベルとなるには、まだもう少し時間が必要と見られます。また、並行している国道5号線は整備が進みつつあり、トラック輸送との競合も厳しくなるものと見られます。旅客についても、既にかなり発展しているバス輸送と厳しい競争となることが予想され、楽観は許されないのが実情です。カンボジア政府の地道な改善努力が期待されます。
(写真は、公共事業運輸省FBより)
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