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自殺と貧困について  -貧困を「社会的」に解決するために- もやい理事長 大西 連氏 講演会メモ

2014-11-30 01:55:43 | 社会
自殺と貧困について  -貧困を「社会的」に解決するために-

日時;2014年11月29日
講師;認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやい理事長 大西 連氏

内容;
1.日本の貧困
 1)絶対的貧困;食べるものがない。1米ドル/1日以下を対象
  減少傾向にある。
 2)相対的貧困;国民一世帯の所得の中央値の所得の半分以下の人
  日本は2012年、16.1%だった。30年間で4%増えている。子どものいる世帯の
貧困がこどものいない人の貧困率を上回った。244万円(20万円/月)が可処分所得。その半分122万円(10万円/月)が6人に1人いる。
  先進国グループ32国の中で日本は28番目、貧困率が高い国の4番目。

2.貧困の背景
 ・非正規労働者が増え、35.2%まで上がっている。非正規労働が3人に1人。
 ・非正規労働は年齢と共に賃金が上がらない。正規労働は年齢とともに上がって平
均400万円にまで達する。非正規労働は低所得に固定化してしまう。1,200万人の
人が月収20万円以下で東京都民と同じ人数がいる。
・1990年代になって、多くの貧困層がいることが社会問題になった。新宿駅の周辺
に300-500人いた。今でも200人のホームレスがいる。
・高度建設時代には日雇い労働者だった人が、仕事がなくなりホームレスになった。
・派遣で工場の現場で働く、地方など働く場所と宿泊する場所がセットで働く時代に
なってきた。そのため、仕事を失うことは住む場所を失くすことに繋がった。
・登録型派遣業が増えて来た。若い年齢層にそういう不安定な労働が増えて来た。
・ネットカフェや24時間開いているカフェもあり、“ネットカフェ難民”という言葉が出
て来た。流行語大賞になり、多くの人に知られるようになった。
・ホームレスは減少している。2003年2.5万人、今は7,000人と減って来ている。
・野宿しているのは40%に満たない。家がある3割、友達や安い宿泊施設。不安定
な住まいにいる人が多い。時代とともに新しい貧困層が増えている。
             仕事安定
         ③    |    ①
   住まい不安定―――――――――――――住まい安定
         ④    |    ②
             仕事不安定

・年齢が高くなると身体の疾患が多いが、若い層は精神的な疾患が多い。
・男性は身体的疾患が多く、女性は精神的疾患が多い。
・統計データからは女性は貧困状態でないように見える。実家にいる、結婚してい
るなど。しかし、そこから出たいがお金がないので出られない。DVなどで。
・4人の世帯で夫が1,000万円稼いでいても、夫が妻に少ししかお金を渡していない
と、実際は妻は貧困状態になっているが、日本の統計データからは出てこない。こ
のような場合、離婚したと思っているなど、貧困予備軍の層が多くいるのではない
かと推定される。
 ・若い人で体格はあるが知的障害もあり程度あり、就職されても虐められたり、覚え
が遅くて、辞めさせていく。

3.削減させる社会保障
 1)2012年社会保障制度改善推進法が確立
・先ずは家族で支え合ってください。次は社会で支え合ってください。それができ
ないと国が支えるとの法律になった。以前より家族が支えることが強調されてい
る。
  ・費用対効果=投資型の支援 若い人に支援すると就労し将来の納税が期待で
きる。つまり投資効果が期待できる。
  ・年金は払った人が貰えることを強調
18万円の収入があると、年金関係や健康保険など払うと残ったお金は13万円。東京都の最低生活に必要な13万円と同じになる。ということは15万の人は年金まで払えない。
  ・低所得者は軽減税率では高所得者が利益を受けるので、よい制度ではなく、現
金給付がよいが、それはされない。
  ・生活保護の基準が下げられたり、就労支援がされるなど、この法律は貧困層に
大きな影響を与える法律になっている。
  ・専門者会議では生活保護は90億円の削減提案がされたが、国により6%削減
されることになった。
  ・家族が多い、つまり子どもが多い層は生活保護給付が少なくなっている。
  ・子ども支援の法律ができたが、実際は子ども手当が少なくなった。
  ・ポスト一体化改革における最低生活保障をとりまく傾向
   ・家族扶養バイアスが高まる
   ・給付型の支援から投資型の支援への転換
  ・216万人が生活保護を受けている。 1.6%に人が生活保護を受けている。
  ・高齢者40%、疾患で働けない30%、母子家庭6%が生活保護を受けている。
  ・年金を受けられない高齢者が生活保護を受けている。
  ・高齢世帯の生活保護が増えている。それ以外の世代は変わっていない。
  ・今後、団塊の世代が高齢者になると生活保護受給者が急増する可能性がある。

4.もやいの活動
 1)社会的に貧困を解決したいとの方針
 ・個と子を繋ぎ合わせること
 ・よりそって共同でことをなすこと
 2)もやいは舟のもやい結び。緩やかな繋ぎ合わせる繋ぎ方。
「経済的な貧困」と「つながりの貧困」の解決を目指す。
つながりの貧困対策は、ソフト面、人がつながるなど精神的な支えになる。
制度+民間の力でできないか。
 3)そのように社会的に解決するのか?
  ・当事者のエンパワーメント(ミクロ的視点)
   ・ニーズに合わせた相談支援(安全のために)
   ・居場所や社会参加の機会の担保(安心のために)
  ・社会資源を充実させる(マクロ的支援)
   ・公的な社会資源の活用・創設
   ・民間団体等のネット・ワーク作り
 4)生活相談支援事業 「生存」を担保するために 3,000件/年
  飯田橋にしか事務所がないので他の支援センターにノウハウ提供支援
 5)入居支援事業 安定した住まいを得るために 
  住まいを借りる時の連帯保証人になっている。
  20人が入ると、19人は家賃を払ってくれる。1人はトラブルが起きる。14年間リス
クの高い事業を行っているが14年間破産せずに運営している。
  連帯保証人制度を廃止して欲しいと請願しているが変わっていない。
 6)交流事業 人間らしい生活を「維持」するために
  150円で食事ができるカフェ。女性限定の集まり。
  フェアー・トレードの事業をやっている人を支援したり。
 7)貧困を可視化する
  他の支援団体にノウハウ支援とか行っている。
  様々な提言なども行っている。

  「貧困は解決できる課題」と考えている。

5.いま必要な支援
  自殺と貧困の視点で
 1)問題解決型(コンサルティング)
もあいなどはこちらにウエイトがある。
 2)傾聴型(カウンセリング)
  両方の支援が必要である。状況によって比率が変わる。
  問題を「解決する」ために傾聴する。
1) 相談の目的を明確化する
2) 相談を合意形成していく
相談後の展開を考えていく。

生活困窮、暴力を受けている。病気や障害がつらい、死にたい、支援がうまくいかない・不満、孤立・寂しい、話を聴いて欲しいなど

解決できる問題なのか。
貧困問題を背景の自殺は2割。
解決に導いていくには
1) 緊急性の判断
2) 役割を明確にする
  ・自分たちにできること(限界)を日常的に把握し共有する。
  ・相談者に対して自分たちができることを開示する。
 面接の相談は火曜日だけ行っている。そのため1回/週しかできないことを伝える。
 他の団体とどうネット・ワークを作れるのか。
3)そうしたいか
 反貧困ネット・ワークで自殺対策に関与しようと。
ライフリンクの清水さんとも連携しているが、その後も貧困による自殺者が減っていない。まだまだ、個々の団体が個々に活動している。難しいねで終わっていることが多い。
自殺は個人の問題ではなく社会の問題と捉える。竹中平蔵氏が2004年に貧困問題は社会の問題ではないと返答している。貧困が社会の問題として認識されたのは最近である。
 生活できている。しかし、寂しい人も多くいる。貧困と自殺の問題にもこれから取り組んで行きたい。貧困と自殺は近そうで遠い問題でもある。一緒に考えて行けたらと思う。

Q)都庁の前に多くのホームレスの人が雨の翌日に多くいたのだが、NPO法人もやいさんとか支援されているのにまだまだ多いのはどうしてなのか?
A)生活保護、自立支援しか助ける方法がない。もあいが雨の日だけはその場所にいてよいということを勝ち取ったのだが。申請するととりあえず泊まるところは確保できるが、どういうところにとまるか。20人部屋、その人が人間らしい生活を勝ち取れない。そういう列圧な環境に住むならホームレスの方が良い。池袋のホームレスの60%が精神的な問題を抱えている。そういう人がまた路上に戻ってしまう。困難状況にあるホームレスを支援する方法を模索している。

Q)日本は他の国比べて日本の貧困はどうなのか?
A)自己肯定感が低い。自分が悪いと思ってしまう人が日本人の特徴があるように
思う。恥の意識、ステグマ性があるのではないかと。
 ヨーロッパは個人単位の生活保障、日本は世帯単位の生活保障なので、DVDを受けている女性が社会に出ようと思っても、その女性を支援することが難しい。

Q)いのちの電話ともあいの協力
A)同じ人がもあいにもいのちの電話にも相談している。お互いがキャッチボールしても仕方がない。今はNPO間で話し合う場が少ない。もあいができないこと、いのちの電話ができないこと、連携することができるのではないか。また連携することにより可視化ができるのではないか。

Q)資産があって生活保護を受けて医療費を10割補助して貰っても後日返却がある負担が大きいが。
A)生活保護制度は他の制度が利用できる場合はそれを利用する法律。生活保護は医療費も含めた丸抱えの制度で、本来は医療制度は生活保護とは切り離して仕組みにしていく必要がある。

Q)せっぱつまった状況の人を支援していると、支援する人が辛い思いをすることもあるかと、その人を支援していることはないか?
A)1対1では話を聞かない、行動支援も複数で行っている。2人でやって貰っている。複数人体制をしいている。また、担当者を決めておらず、もあいとして対応している。 自分たちができることを明確にする。それを開示する(相手に伝える)ようにしている。相談員の方で辛い気持ちになる場合もあるので、ケースの話し合いや、食事会なども行っている。相談やっていて辛いと思う人がいるのも事実である。

Q)大西さんは27歳で高校卒業後ずっと活動されているが、きっかけやエネルギーは?
A)友達に誘われて炊き出し現場に参加したのがきっかけ。400~500人が並んでいた。それがとてもショックだった。ホームレスは3K 汚い、臭い、怖いのイメージと違っていた。これは大きな問題なのではないかと感じ、毎週やっているとのことでまた行ってみた。次は夜回りに行った。その時にホームレスの人と話をした。もっと知りたいなと思った。深く生活保護支援の申請に同行したのがボランティアではなく取り組んだのがきっかけであった。役所の窓口人が高圧的、足も悪い人に対してこんな態度をしたのかと驚いた。何故新宿区に連れて来たの?当たり前と思っていた日本の制度はこんなものなのかと。仲間に尋ねたらこんなもんだと。現場に行って衝撃を受けた。5~6年経過したが変わっていない。政策面のコミットメントできるようになったが、実際は変わっていない。

以上