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中高年シングル女性 「死ぬまで働く」背景は? 調査で浮かんだ実態

2022-12-18 18:58:58 | 社会
https://news.line.me/detail/oa-mainichi/5ysmo7uaouno?mediadetail=1&utm_source=line&utm_medium=share&utm_campaign=none 配信 2022年12月18日 14:22更新 2022年12月18日 14:36毎日新聞
 非正規が半分以上で、3人に1人は年収200万円以下――。民間団体「わくわくシニアシングルズ」の調査で、40歳以上のシングル女性の困窮ぶりが浮かび上がった。ギリギリの生活のため、7割が「働ける限り働く」「死ぬまで働く」と答えた一方、公的な就労支援を受けた人は3人に1人にとどまる。子ども関連の施策に注目が集まる中、中高年単身女性をどう支援するかも課題になっている。

民間団体が2400人対象に調査
 調査は立教大コミュニティ福祉学部の湯沢直美教授(社会福祉学)とともに、今年8、9月、同居している配偶者やパートナーがいない40代以上の単身女性約2400人を対象に実施した。子どもや親と同居している場合も含む。

 雇用形態を聞いたところ、正規職員は45%で、パートや派遣社員などの非正規職員と自営業・フリーランスは合わせて53%だった。世帯主の約1800人に昨年の年収について聞くと「200万円未満」が30%、「200万円以上300万円未満」が24%だった。国の民間給与実態統計調査(昨年分)によると、女性の平均年収は302万円で、半分超が平均を下回った。

 暮らしぶりについては、全体の7割が「やや苦しい」「大変苦しい」と答えた。調査対象は、就職氷河期世代となる40、50代が8割以上を占め、雇用、収入面で不安を抱える実態が浮かんだ。

貧困連鎖も懸念

 苦しい生活事情が、将来の貧困につながる可能性もうかがえる。50歳以上65未満の人を対象に年金見込み額(月額)を聞いたところ、未加入などのため見込み額がゼロの「無年金」が2・8%、5万円未満が23%、5万円以上10万円未満が44%で、10万円未満が7割を占めた。

 いつまで働くかについては、7割近くが「働ける限りはいつまでも」「死ぬまで」と答えた。だが、高齢になると働けなくなったり、賃貸住宅の入居を断れたりするケースもある。将来の不安を複数回答で聞いたところ、「病気や介護が必要になった場合に制度を利用できるのか」(74%)、「仕事の継続、生活できる賃金を得ること」(71%)、「低年金と十分な貯蓄ができないことによる高齢期の生活不安」(69%)と続いた。

 「親か子のどちらかが心身に支障がでた場合、まともに働くこともできなくなり、先行きが不安になる」(50代非正規)――。自由記述欄にはこうした声があふれた。

公的な相談窓口の利用少なく

 「困った時の相談先」(複数回答)としては、「友人・知人」(62%)、「親や子ども・親戚」(50%)、「自治体の相談窓口」(11%)で、公的な窓口の利用は少なかった。自由記述には「もっと気軽に頼れて話せて相談できる場や人がほしい」(40代非正規)との声があった。

 わくわくシニアシングルズの大矢さよ子代表(72)は「子どもがいなかったり、子育てを終えたりした女性は支援対象と見られにくく、本人たちも制度や相談窓口に頼れないと感じている」と話す。

 湯沢教授は「今後は高齢者も社会保障制度維持のための負担を一層求められるだろうが、貧困状態の高齢単身女性が急増することを社会は認識しておくべきだ。男女賃金格差も解消せず、憲法25条で明記された『健康で文化的な最低限度の生活』とはほど遠い生活をもたらすだろう」と指摘。公営住宅の単身世帯枠や基礎年金の増額など、単身女性をとりこぼさない支援の拡充を提案する。

届かない公的な就労支援

 就労支援について聞いたところ、「受けたことがない」が62%で、「受けた」は36%だった。どのような就労支援を受けたかについては、ハローワークが21%、教育訓練給付制度が8%だった。

 教育訓練給付制度は、厚生労働相が指定する資格取得などの講座を受講して修了した場合、学費の一定額が給付されるが、一部については受講開始時で「45歳未満」という制限がある。わくわくシニアシングルズは制限を撤廃し、中高年が使いやすい制度にするよう求める。

 「職業訓練校の内容では実際の就職につながらない。もっと現実的なものにしてほしい」(40代非正規)▽「高齢者が再び社会で活躍できるよう、ブランクを埋めることができる職業訓練強化や社会復帰しやすい制度を作ってほしい」(40代)などの意見があった。

 貧困や格差を研究してきた東京都立大学の阿部彩教授は「単身高齢女性の貧困率は、他の年齢の男女に比べて以前から高かったが、産むことを期待されない女性に対する国や社会の関心は低く、メディアで取り上げられる機会も支援策も少なかった」と指摘。「子どもや母子世帯といった枠組みで貧困を分類せず、困ったら誰でも受けられる支援を充実させることが有効ではないか。家賃や光熱費の補助のほか、就労支援や派遣やパートの無期雇用転換などをさらに進めてほしい」と話す。【大和田香織】

感想
「シングルマザー、その後」黒川祥子著 ”シングルマザーの貧困は国の制度の問題が大きい”

死ぬまで働くことが生活を支えるのに必要なようです。
でも、働けなくなったら、どうなるのでしょう。
生活保護でしょうか?

一生懸命働いても、老後を穏やかに暮らせなくなった日本のようです。

ワクチン接種後に死亡「遺体の体温が非常に高かった」医師からの指摘も…遺族は厚労省に調査を求める "ワクチンの影響大と考えるのが論理的/評価不能は認めたくないだけ”

2022-12-18 15:20:58 | 新型コロナウイルス
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/238635?display=1【報道のチカラ】CBCテレビ 2022年12月17日(土) 18:00

夫を亡くした女性「ワクチン以外ないと思う」
ワクチン接種から3日後。夫は亡くなりました。

宮城県に住む須田睦子さん。夫・正太郎さんの死の原因は一つしかないと考えています。

(接種後に夫が死亡した 須田睦子さん)
「(夫は)熱も出て、ずっと心臓を押さえて『息苦しい、呼吸がしにくい』と言っていて、苦しんでから亡くなったのでワクチン以外原因はないと思っています」

死因は急性循環不全。地元の医師はワクチンの副反応の可能性を指摘しました。

死亡一時金が出る救済制度の申請も行いましたが、国からの回答はまだありません。

正太郎さんの死後に生まれた、末っ子のすみれちゃんをはじめ4人の子どものシングルマザーとなった須田さん。

(須田さん)「はい、オッケー」
(記者)「ほんと大変ですね」
(須田さん)「大変です。片手で抱っこしながら、色々こなしてます」

リビングには正太郎さんが、会えなかったすみれちゃんを抱く一枚の絵が飾られています。

須田さんは日々の生活に追われながら、夫の死の原因究明を求める活動を続けています。

厚労省の結論は“評価不能” ワクチンと死亡の因果関係
そして、中学生の息子を失った両親も。

(接種後に息子が死亡した母親)

「家族全員…私、夫、娘と1人1分間ずつくらいみんなで心臓マッサージをしたが、結局戻って来ず、そのまま死亡宣告された」

神奈川県の夫婦。中学1年生だった13歳の息子が2021年10月、2回目のワクチン接種を行ったその日に亡くなりました。

接種からおよそ4時間後、異変に気付いたのは母親です。

(接種後に息子が死亡した母親)
「何かあれ?おかしいなと思って浴室の扉を開けたら、浴槽内に沈んでいた」

(父親)
「妻がすぐに心臓マッサージをして『救急車!』って言ったので、慌てて救急車を呼んだ状況です」

少年はすぐに救急搬送されましたが、まもなく死亡が確認されました。

(大石邦彦アナウンサー)
「死体検案書と書かれています。直接死因は溺死。ただ、その原因は詳しくは分からないとなっているんですね」

搬送先の病院は少年の死がワクチンと関連するのではないかという報告書を国に提出しましたが、厚労省の結論は「評価不能」。ワクチンとの因果関係は分からないというものでした。

(接種後に息子が死亡した母親)

「お金の問題ではなくて、なぜそういう状況になってしまったのかという原因を究明してほしい」

コロナワクチン接種後に死亡したのは、2022年11月末までに1910人。しかし国はそのほとんどを「評価不能」と結論づけています。

ワクチン接種後に亡くなった遺体の「ある共通点」
ワクチンと死亡との因果関係を研究する医師もいます。

広島大学医学部、長尾正崇教授。法医学者として年間100体以上の遺体の解剖を行っています。
長尾医師が注目したのは、ワクチン接種後に亡くなった遺体の「ある共通点」でした。

「最初の時に気になったのが、警察が検死をした時に遺体の体温が非常に高かったと。33度とか34度とか普通じゃ考えられないような温度だった」

通常、検死をする段階では体温は20度台以下ですが、長尾医師が解剖した4人の遺体はいずれもまだ30度台だったのです。

(広島大学医学部 長尾正崇教授)

「死亡時の体温が非常に高かった。平熱を超えてそれこそ40度を超えるような」

4人の死亡時の体温は42度から44度前後と推定。長尾医師の研究チームは遺伝子の状態を調べました。

この数字は遺伝情報の変化を示すもの。それをグラフ化すると、もっとも強く出た反応は免疫系統の異常だったのです。

(解析した広島大学大学院 中尾直己さん)

「特に炎症関係の反応が強く出ていることがわかった。免疫の応答を調節することがうまくできなかったことを示唆している」

長尾医師の仮説は、ワクチンによって免疫に異常が起きて体内に炎症が広がり、体温が40度以上に上がったというもの。そのことが死因とは結論付けられませんが、ワクチンと免疫の関係はさらに研究が必要だと長尾医師は考えています。

(広島大学医学部 長尾正崇教授)
「免疫反応に関係する遺伝子が非常に高進していた。データから、あるいは状況からだけでは黒とは言えないが白でもない。やはりグレーとしか言いようがないが、十分ワクチン投与が免疫異常に関与していた可能性はあると考えている」

厚生労働省の担当者と初対面
2022年11月。東京の衆議院議員会館前に集まっていたのは、ワクチン接種後に死亡した人の遺族会。夫を亡くした須田さんも参加していました。

厚生労働省の担当者と初めて直接対面し、ワクチンと死亡との因果関係を調べるよう求めました。

(接種後に夫が死亡した須田睦子さん)

「あなた方が安全だとおっしゃっていたワクチンを打って夫は亡くなったんです。亡くなってから1年が経ちましたがいまだに因果関係不明とされています。言い訳というか、亡くなった人と正面から向き合ってないですよね」

また、夫を亡くした大阪府の女性は
「ワクチンとの因果関係がないからと言われて納得できると思いますか。身内がそれだったらどうします?」

これに対し厚労省の担当職員は

「この施策に変更を要するような懸念があるのか、毎回毎回確認をさせていただいております。その中で直ちに修正するというところまでのご指摘はいただいていない」

会には、コロナワクチンの効果に疑問を唱える医師も参加。

(京都大学 福島雅典名誉教授)

「重要なことは、死者の全例調査、それからワクチンによる健康被害が考えられる人もきちんと全例調査しないとダメです」

(名古屋大学 小島勢二名誉教授)
「臨床医からしたら、病理医が診断したものをそうではないと言うことはできないんです」

死亡例や重い副反応の全てを追跡調査することを求めたほか、因果関係の認定方法について疑問を投げかけましたが・・・

(厚労省の担当職員)
「必要な情報をしっかり集めさせていただいて、必要な評価をする。ただガンマ(評価不能)となった場合でもそれで症例の評価が終わりということではなく、そういった情報もしっかりと大事にしていきながら、全体として注意喚起をしないといけないことなのか真剣に考えている」

そして遺族側からワクチン接種をこのまま続けるのか、質問が出ると。

(厚労省の担当職員)
「オミクロンのタイプの5回目接種についても現行では変更の必要はないという評価なので、私どもといたしましては、引き続き5回目接種の方を続けさせていただく」

接種はあくまでこのままという回答が。

(接種後に夫が死亡した須田睦子さん)
「実際に人が亡くなっているんですよ。この前も10人救済を認めましたよね。それなのに5回目を続けるというから、命を軽く見ているんじゃないかと言ったんです」 

(接種後に妻が死亡した男性)
「今回のワクチンについてはあなたはどう思っているの?」

(厚労省の担当職員)
「すみません。こういう場に出ていますので、あまり個人的な意見は言えず、申し訳ございません」

遺族と厚生労働省の初の意見交換会は、平行線のまま終了。今後のワクチン行政はどうなるのか、最後に厚労省の担当者に聞きました。

(厚労省の担当職員)
「ご指摘もあったが、我々としてはこれまでの施策を丁寧にやっていく」
「お話も伺いましたし、情報を正しく出して欲しいというのは、我々も今やっている。そこは報告会の意見を踏まえ、順次対応する」

副反応や死亡例の原因究明が進まない中、今もワクチン接種は続いています。

感想
オミクロン株対応ワクチン、接種後に死亡が19件…因果関係は「評価できない」か「評価中」 ”子どもや若い人はワクチン接種しない方が死亡率低いのでは?”

コロナワクチン接種後に死亡、20代女性ら5人に一時金支給 厚労省 ”認められる人と認められない人の違いは?”

ロナワクチン接種者の0.0020%との報告があります。
343,509,139人(ワクチン接種延べ数)×0.0020%=6,870人
これだけの多くの人が亡くなっています。

コロナの死者数は感染者の0.1~0.2%ですのです。
子どもや若者は死者数少ないので死ぬ確率はさらに低くなります。
ワクチン接種もリスクがあると知っておく必要があるようです。

国がきちんと亡くなった場合の保障をしてくれるとよいのですが、一部です。

子ども予算の財源は「消費税増税しかない」“本気の少子化対策”で岸田総理が必ず直面する“壁” ”防衛費は直ぐに予算がついて、子ども支援はつかないのか?”

2022-12-18 12:44:12 | 社会
https://news.yahoo.co.jp/articles/9a6e848e184566f6a8043a50a9da8915b42032bf? 12/18(日) 8:31 TBS NEWS DIG Powered by JNN

「安定財源の確保について幅広く検討を行い、子ども予算の倍増をめざす」
2022年1月、岸田総理は国会でこう宣言した。厚生労働省によると2022年1月から9月までに生まれた子どもの数は59万9636人(速報値)。今のペースで推移すると、2022年の出生数は80万人を割り込み、統計開始以来過去最少となる可能性がある。
この難題に政府がどう立ち向かうのかー。取材を進めると聞こえてきたのは、「子ども政策こそ、消費税の増税による財源の確保が必要」という声だった。

■子ども予算倍増 財源は?
「子ども予算の倍増」。そもそも、どの数字をベースとして「倍増」なのか、岸田総理は明確にしていないが、2023年4月に発足する「こども家庭庁」が来年度に必要な予算として要求している「約4.7兆円」や、今年度当初の少子化対策予算「約6兆円」などが考えられる。どちらにしても、岸田総理の言葉通り「倍増」となると、少なくとも5兆円規模の上積みが必要となる。

5兆円規模の安定財源の確保は容易ではない。岸田総理は2022年10月、国会で「来年度の『骨太の方針』(国の経済財政政策の基本方針を示す文書)で倍増への道筋を示す」と発言し、今は財源についての議論が進んでいない状況だ。

■カギは「児童手当の拡充」「所得制限なし」に踏み込めるか
岸田総理が本部長を務める「全世代型社会保障構築本部」。子ども政策のベースは、ここで検討が進められている。
12月、その進捗状況を聞くため本部の幹部の元を訪ねると、こう熱弁をふるった。

「子ども政策で本気度を示したいのなら、児童手当の拡充に踏み込むべきだ」

現在の児童手当は3歳未満に1万5000円、それ以降は中学校卒業まで1万円が支給される(第3子以降は3歳から小学校卒業まで1万5000円に増額)。
ただし所得制限があり、年収が上限を超える場合は特例給付として支給額は5000円に減額される。さらに2022年10月から、年収1200万円程度を超える高所得者には特例給付が廃止されている。

同幹部は具体的な拡充策として「第1子・第2子・第3子と段階的に支給金額を引き上げ、さらに所得制限は撤廃するべき」だと強調する。

所得制限については国民民主党など、野党から撤廃を求める声が多く上がっているが、自民党内の一部でも撤廃すべきとの意見は根強くあるのだという。ただ、所得制限をなくして児童手当を拡充するためには、とてつもなく高いハードルが・・・

「児童手当の拡充には少なくとも3~4兆円規模の財源が必要で、実現には消費税の増税は避けられない。もしくは、見合う規模の新税創設が必要だ」

同幹部はこう断言した。
「消費税増税となると反対勢力は大きいが、総理には戦う決断をしてもらわなければならない。それが今の政権でできるかどうかは分からないが・・・」

■「子ども予算確保のため消費税増税」の現実味
子ども予算のための消費税増税の必要性にふれるのは、この幹部だけではない。
ある自民党の幹部は私たちの取材にこう話した。

「子ども予算の倍増には増税しかない。防衛費増額で増税よりも、子ども政策で増税のほうが筋が通る」

さらに現役の閣僚の1人も、子ども政策拡充のための財源について「消費税増税しかない」と断言する。
消費税は私たちの生活にとって最も身近な税の一つ。その増税は国民にとって、さらには時の政権にとっても痛みを伴う“鬼門”となってきた。

ましてや岸田政権は2022年10月以降、相次ぐ閣僚の“辞任ドミノ”、統一教会をめぐる問題などで支持率の低迷が続く。しかも物価上昇に賃金が追いつかない中、防衛費増額のための増税も確実となっている状況だ。この上、消費税まで上げるという判断は、そう簡単にできることではないはずだ。

ある政府関係者は「消費税は1%上げるだけで2兆円程度の税収になる。欧州のように少しずつ上げていけばいい」と話す。
子ども政策のための財源であり、かつ一度の上げ幅が小さければ、インパクトは最小限に抑えられるという。さらに、こう続ける。

「これまで消費税の増税というと、赤字国債の削減の意味合いが強かった。大切なのは、増税分がペイされている、という感覚を国民に持ってもらえるような政策を、総理が打ち出せるかどうかだ」

増税分がペイされる、つまり「払った税金分の恩恵が受けられている」という実感を国民が得られれば、理解が得られるのではないかという考えだ。

こういった考えに基づいて、過去に子ども政策を打ち出した政権がある。

■故安倍元総理は増税分を子ども予算に 関係者明かす舞台裏
故安倍晋三元総理は消費税を8%から10%に引き上げる際、“これまで消費税増税による増収分は主に「国の借金返済」に充てられていたが、教育無償化など「少子化対策」へと使い道を変更する”として、衆議院解散に打って出た。

そして安倍政権は大勝。2019年10月から消費税は10%に引き上げられ、その増収分を財源として3~5歳までの子どもの保育料の無償化、待機児童解消などが行われた。
当時の税の使い道変更に伴う解散の舞台裏を知る安倍氏の元側近に、その内幕を聞くことができた。

「安倍さんは、国民に増税分の“還元”を実感してもらいたいと思っていた」

在任期間中、胸の内は消費税増税に後ろ向きだったという安倍氏。
2014年4月に消費税を5%から8%に引き上げた際は、消費の冷え込みが政府の想定よりもはるかに厳しく、これは安倍氏にとって大きなトラウマとなった。

だからこそ10%への引き上げ時、安倍氏は考えていた。
「増税による“還元”を国民に実感してもらうため、必要なことは何か」

そう考える中で、安倍氏は増収分で賄う国の借金返済の割合が多すぎること、そして社会保障の充実のための使い道が高齢者向けの政策に偏っていることを問題視し、「もっと現役世代に振り向けるべきだ」という思いを募らせていたという。

同時に安倍氏は、子ども政策について“バラマキ”のような一時的な支援ではなく、恒久的な支援でなければ意味がないという考えももっていた。だからこそ、消費税増税による大きな財源の確保に頼ることも必要だったのだろう。

この消費税の「使い道変更」について、国の借金を減らしたい財務省からは水面下で相当な反発もあった。
ただ安倍氏は、「財務省は財務省の仕事をすれば良い。ただ、決めるのは政治だ」という一貫した考えを持っていたという。

■岸田政権が取り組む子ども政策
ではこれまでに岸田総理が表明した、または検討が進められている政策はどういったものであったか。

▼岸田総理が表明 出産育児一時金を50万円に増額
2022年10日。臨時国会が閉会し記者会見に臨んだ岸田総理は、出産時に受け取ることができる「出産育児一時金」について、現在の42万円から50万円に増額することを発表した。

これに先立ち2022年10月6日、岸田総理は閣議の後に加藤厚生労働大臣と面会。その際加藤大臣は、2021年度の出産費用の全国平均が47万3000円あまりであること、そこに出産時に子どもが脳性まひを発症した場合の補償の掛け金1万2000円を合わせると48万5000円ほどになること ―など、出産費用に関する複数のデータを示した。この数字をベースに、岸田総理は50万円への増額を決めた。

そして、大きく変わるのが出産育児一時金の財源負担のあり方だ。
これまでは主に国民健康保険や健康保険組合などの保険料、つまり現役世代による負担で賄われていたが、政府は今後、75歳以上の高齢者にも財源の7%を負担してもらう考えだ。この転換には、現役世代が子を生み育てるのを、ひろく社会全体で支えるべきという政府のメッセージが込められている。

▼“出産準備金” 10万円相当を支給
2022年10月に政府が決定した「総合経済対策」で、2022年4月1日以降に生まれた子どもに対し、1人あたり10万円相当分の現金もしくはクーポンを支給する方針だ。
2023年9月分までの予算は確保できている一方、10月以降も制度を恒久化して支給できるよう、今後検討が続く。

▼育児短時間勤務の利用者などに給付金
育児休業明けで時短勤務を行う人を対象に、給付金を支給することを検討している。
さらに、現在は一定の要件を満たせば育児休業期間中に「育児休業給付金」を受け取ることができるが、その対象外となっている人(短時間労働者・自営業者など)にも給付の対象を拡大する。

給付金額をいくらにするのかはこれからの議論になるが、「全世代型社会保障構築本部」の幹部は「数千億円から1兆円規模の財源が必要になるのではないか」と話す。

▼産前~産後の親を1:1でサポートする新制度
妊娠中から自宅近くの小児科医院や保育園探し、産後は役所での手続き、すぐに怒涛の予防接種ラッシュ・・・と、心身に負担がかかる中でもやらなければならないことは多い。
その負担を軽減するため妊娠中から子どもが2歳になる頃まで、1人の親に対して1人の“相談員”がつき、面会や電話、無料通信アプリなどでのやり取りを通して、情報提供や必要な手続きの手伝いなどを行う。

“相談員”は有償ボランティアとして子育てを終えた人などを募り、自治体などで研修を行うことを想定している。

そして確実に1:1のサポートを行うために、母子健康手帳を受け取る際などに相談員と顔合わせをできるような体制にできないか模索しているという。
こうすることで支援の漏れをなくし、かつ受け取る親の負担も最小限にすることができる。
(なお、母子健康手帳に関しては今後オンライン化も含め検討が進んでいる)

その際、あわせて子育て用品やサービスに利用できるクーポン券の配布も検討しているという。

2023年4月には「子ども家庭庁」が発足し、厚生労働省や内閣府などに分散していた子ども政策を一本化して進め、さらに少子化対策や子育て支援など必要な政策の司令塔となる。年明けからは、国会でも子ども政策に関する議論がいよいよ本格化するだろう。そして、岸田総理が「倍増への道筋を示す」と言った『骨太の方針』が閣議決定されるのは例年6月だ。

財源の捻出方法について、岸田総理が決断を迫られるのもそう遠い話ではない。未来に責任ある子ども政策を実現し、少子化に歯止めをかけることができるかー。
岸田総理の本気度が問われている。

TBSテレビ報道局政治部サブデスク 難波澪

感想
防衛費Upは直ぐに予算化されるのに、なぜ子ども支援は予算化が難しいのでしょうか?

所得制限撤廃ではなく、所得制限を引き上げにより、困っている層を支援することではないでしょうか?

「シングルマザー、その後」黒川祥子著 ”シングルマザーの貧困は国の制度の問題が大きい”

「シングルマザー、その後」黒川祥子著 ”シングルマザーの貧困は国の制度の問題が大きい”

2022-12-18 10:10:10 | 本の紹介
・事実婚だった夫に、恋人がいることが発覚した翌日のこと、一度目のお泊りで、私は直観した。

・当人同士の話し合いでは埒が明かず、20万円を払い、弁護士を立てた。弁護士のおかげで話し合いがスムーズに進み、子ども一人につき月5万円の養育費を、二人が社会人になるまで支払うという合意を得た。

・母子家庭の暮らしに暗雲が垂れ込めてきたのは、次男が都立高校の入試に失敗し、私立高校に通うようになってからだ。入学金と学費は、無利子の東京都母子福祉資金を借りることができたが、元夫が「なぜ、都立に行かせないのか!」と激怒、ここから養育費が途絶えることになった。好きで、私立に行ったわけではない。
 私立高校の高額な授業料と養育費の消失で、生活は一気に苦しくなった。世は、高校の授業料無償化以前のこと。

・養育費の取決めを公正証書にしていなかったため、取り立て(約340万円)の強制力は一切なかった。この事実も、この時点で知った。当時の精神的混乱で、合意文書の確認するしていなかったのだ。

・長男は都立高校から難関私大に合格。「国の教育ローン」を借り入れて初年度納入金を支払い、翌年からの学費は奨学金とアルバイトで長男自信が支払った。

・「子どもの貧困なんて、本当にあるの? 貧困なんて言うのなら、大学にいかせなきゃいいじゃない」
大学時代の友人から発せられた言葉だ。

・まさに! なぜ、シングルマザーは子どもを大学まで進学させることに、これほどの困難を強いられているのか。その隠された仕組みを暴くのが、本書の一つの目的だ。

・2018年の子ども(17歳以下)の貧困率は、13.5%、前回(2015年)より0.4%改善したものの、約7人に1人の子どもが貧困状態にあることに変わりはない。

・ひとり親世帯の約86%が母子世帯であることを考えれば、シングルマザーの貧困が極めて深刻な状態にあることがわかる。二人に一人のシングルマザーが、貧困に陥っているのだ。

・母子世帯の平均所得額は306万円で、86.7%が「生活が苦しい」と回答している。

・「相対貧困率」を見てみると、日本のひとり親世帯の貧困率は、最も低いデンマークが9.3%、格差の拡大が深刻なアメリカでさえ45.0%という中で、50.8%と、OECD諸国の中でイスラエルやチリを抜いてトップになっている(2014年OECD調査)。

・ある日、長女が友人の弁護士を、自宅に連れてきた。すべての借用書を見た弁護士は言った。
「水野さん、自己破産しましょう。もう、それしかないです」

・二年後にまた、妊娠した。奇蹟はそうそう起こらない。この日だと思ったときに、なけなしの金で一泊5千円のホテルに宿泊、蒲団の上にビニールシートを敷いて、そこで産んだ。・・・
手元に残ったのは500円のみ、新生児を抱えての野宿は日々が始まった。上の子の服を幾重にも重ねておくるみにして、寒さ対策とした。・・・
ホームレス生活5年目を迎えた頃、男とはぐれてしまい、照子さんは実家に戻る。子どもを沿だれるには、それしかなかったからだ。

・働くためには、子どもを保育園に預けるしかない。ここで子どもの戸籍を作ることとなった。戸籍がないと、福祉のサービスは受けられないからだ。
「法務局で、自分が産んだ子どもだと証明しろち言われても、証明するものは何もない。居直って子どもを連れて行って、『私が産んだ子だ』と言ったら、『はい、わかりました。あなたのお子さんですね。これで戸籍を作ります』となぜか、一発OKで造れました」
 スーパーでパートをしながら、職を探した。運よく、公立保育園の給食調理という正規職員の仕事を得た。

・「女性の貧困元年は1985年(男女雇用均等法)」という提起を行ったのは、法政大学の藤原千沙教授である。・・・女性の貧困問題が「制度により作られた」ものだという視点を明らかにした。

・藤原教授は、このように指摘する。
「結婚した女性は自ら経済力を得て社会保障制度に加入するのではなく、経済的に夫に従属し扶養されることに対して社会が補助金を与えるがごとく優遇したのである」
 当時の自民党政府には、労働現場における男女平等の実現の前に、専業主婦を優遇する制度を作る必要があった。

・ゆえに女性は専業主婦か、働いても家計補助的な低賃金のパート労働でいいとされ、夫に扶養されることを前提に、家事、育児、介護を無償で行う「日本型福祉社会」の支え手とされた。その代償としての、専業主婦優遇制度だったのだ。専業主婦がいれば、国は福祉に使うお金を最低限にできると。配偶者特別控除/3号被保険者など

・この「日本型福祉社会」では、未婚や離婚によるシングルな女性の存在は一切想定されていない。女性が稼ぎ頭(大黒柱)になる家族など、自民党政権の眼中には存在していないのだ。

・山田昌弘中央大学教授に、現代日本の未婚化の背景についてうかがったところ、若年男性の経済力低下に伴う経済不安と、男性が経済的に家族を扶養する意識が残存しているからという指摘を受けた。・・・
 「男性に扶養されない」女性に対して、国はいまだ態度を保留したままだ。

・同じ母子世帯でも、死別という夫を亡くした妻には手厚い保障(遺族年金など)を用意し、離別という家族から飛び出した女性には、唯一の生命線である児童扶養手当を減額するという、この露骨すぎる差別。平気で差別をする国で生きていることに、暗澹たる思いが拭えない。

・藤原教授はこう結論づける。
「女性にとっては、一方で雇用分野の男女平等を標榜しつつ、他方で家族責任の分断・性別分業の強化・非正規雇用の拡大の道を開き、妻の座の経済的優遇と母子世帯への給付削減を行った1985年こそ『貧困元年』である」
 国により強いられた貧困を、私たちシングルマザーは生きているのだ。

・シングルマザーにこの言葉を届けたいと強く思う。
「あなたの貧困は、あなとのせいではない。国により、意図的に作られたものなのだ」

・2017年発表、最新の『全国ひとり親世帯等調査結果報告』から、・・・2016年では『死別』が8.0%、『生別』が91.1%と、全体の9割を占めていることがわかる。・・・
 夫と別れ、家を出た女性や、そもそも妻にもならなかった未婚の母には、子どもが18歳になるまで支給される児童扶養手当しか、生活のために使える制度はない。

・死別でシングルマザーになった女性には、再婚しなければ生涯にわたる『遺族年金』があるのに対し、末子が18歳を超えたシングルマザーには何もない。
 それだけでなく、課税という場面においてすら、生別と死別には、きちんと『差』が忍ばせてある。 
 それが、所得税の優遇措置である寡婦控除だ。離婚によるシングルマザーの場合、子どもが独立すると、寡婦控除も同時になくなるのだが、死別の場合、子どもが扶養から離れても寡婦控除はなくならない。老年になろうが一生、課税対象額から27万(合計所得が500万円以下の場合)が控除されるのだ。控除された金額に課税されるわけだから、支払う税金は少なく手済む。

・取材に応じてくれたシングルマザーたちの話から浮かび上がったのは、その未来に『老後』などないということだ。たった一人で悩み苦しみながら、手塩にかけて育てた子どもが巣立った後、ようやく自分なりの楽しみを大事にしながら、安心して過ごすという日々が、なぜ、この国のシングルマザーには欠片すら、もたされないのだろうか。

・「どうすれば、ひとり親世帯の収入が上がると思いますか?」
「やはり、最低賃金を上げることですね」

・もう一つ重要なのが、別れた父親からの養育費の問題だ。現在、養育費の支払いを受けているシングルマザーは、全体の2割ほどしかない、。私も限外でない。

・養育費は、子どもたちからすると、父親は離婚してからも自分のことを考えてくれていると思える、一つの証でもあるわけです。

・フランスでは裁判離婚制度を採用しているので、離婚時に裁判所によって養育費額が決定されます。決められた養育費が支払われてないひとり親に対して、家族手当金庫から一時的に家族扶養手当を支払って、その後、養育費を支払うべき親から回収します。これが養育費立て替え制度です。回収できない場合は、そのまま手当として支給されます。

・日本のように、絶望しからないという状況に韓国のひとり親の女性はいあに、と言えますね。未来はちゃんとあると思います。

・「実際、OECDの諸国において、就労しているシングルマザーは、正規雇用がメインなのです。日本だけ、ここが違うわけです。総数で見ると、正規で働いているシングルマザーは5割にも満たない。パート、アルバイトなど、非正規雇用の比率が高い。これは日本だけです。
 ですので、これほど働いているのに貧しいというのは、要は、その賃金が低いからなのです」

・なぜこのようなことが起きているのだろうか。
「一つは、教育水準の違いで説明できます。日本の女性の教育水準は実は、先進国で最低レベルなのです。男性と比べたときの女性の教育水準を<相対的な教育水準>というのですが、OECD35か国の中で、女性の方が男性より大学進学率が低い国というのは韓国とトルコ、日本ぐらいで、日韓が並んでいて、トルコは日韓より上です。
 他の国というのは、女性のほうが男性より大学進学率が高いのです。しかし、大学院まで視野を広げると、韓国は日本よりもだいぶこの値がいいので、日本は先進国の中で、最も女性の相対的な教育水準が最も引く国だと言えるでしょう」

感想
シングルマザーの貧困は、男が悪く男のせいだと思っていましたが、それだけではなく国の制度にも大きな問題があるようです。
それと日本が貧困国になっていて、最低賃金も低いために、シングルマザーの貧困に拍車をかけているようです。
シングルマザーの家庭では子どもが大学進学して就職することがとても難しく、児童手当も18歳まで、それが貧困の連鎖を生んでいるのでしょう。

若者支援が日本の未来への投資なのですが。
シングルマザー支援がまさに日本の未来への投資なのですが。
それをせず、防衛費を上げても日本の未来に希望は見えてきません。
守るべき日本が貧困国なのです。
韓国や台湾より、そしてとうとう中国よりも労働費が安い国になってしまっています。

日本の未来をダメにした人/ダメにしようとしているのは次の誰でしょうか?
①安倍元首相、②菅前首相、③岸田首相、④自民党と公明党(政権)、⑤だらしない野党、⑥国民

政治に関心を持って投票に行かないとシングルマザーの貧困は続くのでしょう。
そして日本の未来に向けての種蒔きがされず、実りある日本の未来が想像できません。

菅前首相が、コロナの時に
①自助
②共助
③公助
の順番で努力して欲しいと言われました。
日本の貧困、特にシングルマザーの貧困は自助と共助だけではとても難しいから、これだけ多くの貧困者がいるのです。
フードバンクに長い行列の記事も目にします。
税金を払っているのですから、せめて諸外国並みの公助をシングルマザーにしていただきたいです。
シングルマザーの声が政治に届いていないので、首相は無視続けるのでしょう。
「保育所落ちた。日本死ね」の投稿
安倍元首相は無視されてました。
しかし世論が大きくなると無視できなくなりました。

「日本のシングルマザーと子どもは頑張りが足らない。子どもは高卒で即働け! お腹すかしているの努力が足らないから」
と政治家は思っているようにしか思えてなりません。

7年前、橋下徹に恫喝されたあの"女子高生"が声をあげた! 橋下が放った冷酷な言葉、そして今、大阪に起きていること
https://www.excite.co.jp/news/article/Litera_1702/

7年あまり前、大阪府内の私立高校2年生だった彼女は、私学助成予算の大幅な削減を打ち出した当時の橋下徹府知事(現・大阪市長)に仲間とともに面会し、計画の撤回を求めた。しかし、その場で橋下は言い放った。「日本は自己責任が原則。それが嫌なら、あなたが政治家になって国を変えるか、日本から出て行くしかない」

まさに、政治家のトップには”自己責任”の考えが根強いのかもしれません。
ただそのトップを選んでいるのは国民なのですが。
政治家になるのは難しいので、弱者に目を向けている政治家に投票することなのでしょう。

日本はマックがとても安く食べられる国になってしまっています。
世界のビッグマック価格ランキング
マックが安いのは安い労働力も理由の一つです。
その安い労働力で、シングルマザーが自助努力を、身体を壊すまで、自分の食べるものを子ども優先で頑張っているのです。
さらに「頑張れ!」と言っているようです。
せめて、児童扶養手当の増額と大学卒の22歳まで支給して欲しいです。
それが日本の未来の種蒔きになるのではないでしょうか。
自助努力ができる社会をつくりたいです。
そして、自分の子どもの養育費を払え!と男性に言いたいです。
フランスのような養育費がきちんと支給される仕組みを日本でも構築して欲しいです。
動物の世界には、種だけ撒いて子育てにはまったく関与しない動物がいます。
まさにそれと同じレベルです。
心が痛まないのでしょうか?

心底嫌っていたJALを救った稲盛和夫氏、称賛の裏で渦巻いた「二大批判」への処し方 ”社員のやる気と利益の可視化を実践”

2022-12-18 09:42:42 | 社会
https://news.yahoo.co.jp/articles/ffe470f53ca7c7fbc6da2a3691198abeafee426e 12/18(日) 6:02 ダイヤモンド・オンライン

 日本航空(JAL)が経営破綻に見舞われた際、再建を担った「経営の神様」稲盛和夫氏だが、かつてJALを心底嫌っていたというのは有名な話だ。そんな稲盛氏だが、見事にJAL復活の立役者となって称賛を浴びる。しかし、その裏で「JALずるい論」と「利益至上主義」という批判に悩まされもした。再建の過程で「ピンチはチャンス」と説き続けた稲盛氏はどのように対処したのか。(イトモス研究所所長 小倉健一)

● JAL嫌いで有名だった稲盛和夫氏に 再建の白羽の矢が立った

 2010年1月に会社更生法の適用を申請し、経営再建を進めた日本航空(JAL)は、稲盛和夫氏を会長に迎え、破綻から2年7カ月でのスピード再上場を果たした。12年3月期決算では、純利益が1866億円、営業利益が2049億円と、いずれも過去最高を更新。同じく過去最高だった全日本空輸(現ANAホールディングス)の営業利益970億円をはるかに上回った。

 JALの再建を担った稲盛氏だが、JALを心底嫌っていたことはよく知られていることだ。再建を担うまではライバル社(おそらくANA)を利用していたことを明言していた。また、会長就任直後は幹部を「上から目線だ」と切り捨てていた。

 しかし会長に就任してからの稲盛氏は、「経営の目標は、社員の物心両面の幸福を追求すること」として、「私はご覧の通り高齢ですが、皆さんの幸せを追求するために精いっぱい頑張るつもりです」と宣言した。この「社員の幸福を追求する」という言葉に対しては、破綻して損害を出した株主や金融機関を刺激するからという理由で非難する声もあったが、稲盛氏がブレることはなかった。

 「稲盛さんの経営はマジックでもなんでもない。本気で会社を自分の子どもだと思っている。愛情の深さが違う。我が子のためと思うから、万全の自信を持ってモノが言える。サラリーマン経営者では、なかなかああは言えません。この3年間で命を縮められたかもしれないが、まさに起業家の生きざまをみせていただいた」(植木義晴・JAL社長〈当時〉、日本経済新聞13年2月23日)

 稲盛氏の経営手腕を高く評価する声が上がる一方で、常にその成功が嫉妬を生み、批判にさらされてきたのも事実だ。JALの再建から最高益更新、再上場達成までの過程において、稲盛氏が批判にさらされた内容は、大きく二つある。

 一つは、ANAや自民党から糾弾された「JALはずるい論」。そして、もう一つは「利益至上主義」だ。

 この二大批判に対して、「経営の神様」と呼ばれた稲盛氏でも葛藤や苦悩があったようだ。どのように臨み、対応したのかを見てみよう。

● 「JALずるい論」で ANA、自民党、世論が敵に

 まずは「JALずるい論」から見ていこう。

 JALが最高益を出した12年当時の稲盛氏は記者会見で、JALの収益力が高まった理由について「会社更生法を適用していただき、あらゆる債務の削除などが行われた。(簿価を下げたりした)財産評定の結果、(減価償却費の軽減など)四百数十億円くらいのプラスがあった」(日経新聞12年5月14日)と述べている。収益の大部分は社員によるコスト削減努力、売り上げを増やす努力であるとしつつも、一定程度、国による支援の成果を認めた形だ。

 それを面白く思っていなかったのは、ライバルのANAと自民党である。

 当時の民主党政権は東日本大震災の対応につまずき、党内の抗争も激化、国民の前で醜態をさらし続けていた。そんな彼らにとって、JAL再建の大成功は、「民主党政権の唯一胸を張れる実績」といわれていた。

 しかし、JALは破綻時に多くの不採算地方路線を打ち切って自民党の地方選出議員の恨みを買っていた。その上に、「破綻前のJALが政治家にすり寄った結果、不採算路線の維持をさせられていた」と考えた稲盛氏によって、JALは政治との距離を置くことを決定。自民党へのロビー活動を封印してしまっていた。

 そんな状況の中、自民党では、民主党政権の唯一の成果を否定し、JALに冷や飯を食わせてやると「JAL憎し」の声が日増しに高まっていた。

 一方、ライバルのANAは、「JAL再建のための政府による支援措置はあまりに不公平だ」「2社で公平に競争しないと、運賃が下がらない」と直訴。怒りに火が付いていた自民党へ、ガソリンをまくかのような猛烈なロビー活動を実行に移した。

 競争に敗れて経営破綻したJALに対して行われた金融機関による約5200億円の債権放棄、3500億円の公的資金投入、減価償却費や法人税の減免…。確かに、自力で生き残ったANAにしてみれば納得できないだろう。さらには、再建したJALが営業利益率15%と高水準の利益率を達成したのは脅威でしかなかっただろう。「JALはずるい」というのも一面の真実があったのだ。

 こうしたANAと自民党政治家の怒りの結果、ドル箱路線である羽田空港の国際線発着枠は、ANAに重点的に配分された(JALは均等配分を主張)。さらにはフラッグシップ(国を代表する航空会社)の象徴である「政府専用機」の運用がANAに移ることになった。

● 「水に落ちた犬をたたき落とすかのごとき…」 稲盛氏が吐露した不満

 この間、稲盛氏は、何をしていたのだろうか。ANAの猛烈なロビー攻勢と自民党政治家の怒り、ANAに同情する国民世論に、さすがの稲盛氏もほとほと手を焼いていたようだ。

 JALへの強い逆風にしびれを切らした当時のJAL幹部だった植木社長らはこの頃、稲盛氏が一度は封印した自民党政治家へのロビー活動を再開した。そのことを「稲盛さんも黙認していたようだ」というJAL関係者の証言を、当時の日経新聞(13年12月2日)は報じている。

 また、長年の赤字路線である南紀白浜空港―羽田空港の路線は、39の国内路線を廃止する中でも存続を決めた。南紀白浜が自民党運輸族のドンである二階俊博元幹事長の地元であることを考慮した上での決定だったかもしれない。

 権威や既得権者を忌み嫌った稲盛改革。海外視察では現地での面倒を見させ、手土産まで要求する上、不採算路線の維持を半ば強要してくる――。そんな腐り切った政治との関係は、稲盛氏によって明らかに、そして大幅に改善された。それでも、一定の譲歩をしなくてはならかったのだ。

 しかもその理由が「JALが頑張った結果、利益を出し過ぎたから」というのでは、稲盛氏の無念はいかばかりのものだっただろうか。

 「私は水に落ちた犬をたたき落とすかのごとき仕打ちにあった」

 稲盛氏は、郷土である鹿児島県の出身者の集まりにおいて、当時の状況を思い返してこう語っている。破綻から必死で再生へと向かうJAL社員の努力を否定する政府の決定や世論に納得いかなかったのだろう。

● かつて稲盛氏を迷い悩ませた 「利益至上主義」批判への答えとは

 もう一つの「利益至上主義」についても、稲盛氏はよく批判にさらされている。JAL再建の過程で言えば、「安全と利益、どちらを優先するのか」という批判があった。

 詳しくは、ダイヤモンド・オンライン『「人命と利益どちらが大事か」稲盛和夫氏がJAL再建中に放った納得の回答』を読んでもらいたいが、稲盛氏は、「安全にお金はかからないのか。そのお金は誰が払っているんだ」と問いかけた。そして、「お金は他人が払うんじゃない。自分が生み出す利益から払うんだ」と話した。

 つまり、公共交通機関にとっての安全は、会社の利益から生み出すものだということだ。確かに破綻前のJALは、安全に対するコストを出せないぐらいに窮乏していて整備トラブルを頻発させていた。稲盛氏のいうことももっともなのだ。ただ、一方で利益、利益、利益と繰り返されると、本当にそれで大丈夫かという心配がでてくるのも事実だろう。

そんな心配に対して稲盛氏は、「経営をしていくうえで、最初に私が遭遇して悩んだのは、利益追求ということをどのようにみんなに分かってもらうか、ということでした」として、稲盛和夫述・稲盛ライブラリー編『経営のこころ 会社を伸ばすリーダーシップ』の中で次のように述べている。

 「利益を求めることはダーティというか、汚いというか、私自身にもいくらかそんな思いがあったのです。ですから、そういうふうに詰め寄られると、フッと詰まってしまう」

 「そして悩んだすえに気がついたのは、利益追求とは汚いことでも何でもないということでした。利益がなければ昇給もしてあげられないし、ボーナスも出せません」

 「(利益があるということは)将来の保証になるわけです」

 「(松下幸之助の)『天下の資材を使い、天下の人材を使って事業を営み、赤字を出すというのは、罪悪を犯しているようなものだ』という言葉を聞いて、『ああ、これで救われたな』と思ったものです」

 「経営の神様」と評された稲盛氏は、こうした葛藤を経た上で、利益が出ることの意義を正々堂々と話したのだという。

 再生の過程にあって「ピンチはチャンス」と言い続けた稲盛氏。人間は、ピンチでもないと自分を変えようなどとは思わないからだ。新型コロナウイルス禍にあって再び最終赤字を計上したJALが、政治家との適切な関係を継続し、そして稲盛哲学を通じて利益を出し続けることができるのか。ピンチはチャンスであり、JALの覚悟が問われているということだろう。

感想
「心。人生を意のままにする力」稲盛和夫著 ”実体験から生まれた生きる上での大切なこと”

「ど真剣に生きる」稲盛和夫著 ”上司の一言『君の能力ではもう限界だ。手を引いてくれ』から生まれた京セラ”

政治が絡むと経営がおかしくなるようです。
しかしロビー活動しないと、経営に影響するのも事実のようです。
そのために有力議員にお金が行くのでしょう。
多すぎてもいけないし少なすぎてもいけないし。