https://news.line.me/detail/oa-mainichi/5ysmo7uaouno?mediadetail=1&utm_source=line&utm_medium=share&utm_campaign=none 配信 2022年12月18日 14:22更新 2022年12月18日 14:36毎日新聞
非正規が半分以上で、3人に1人は年収200万円以下――。民間団体「わくわくシニアシングルズ」の調査で、40歳以上のシングル女性の困窮ぶりが浮かび上がった。ギリギリの生活のため、7割が「働ける限り働く」「死ぬまで働く」と答えた一方、公的な就労支援を受けた人は3人に1人にとどまる。子ども関連の施策に注目が集まる中、中高年単身女性をどう支援するかも課題になっている。
民間団体が2400人対象に調査
調査は立教大コミュニティ福祉学部の湯沢直美教授(社会福祉学)とともに、今年8、9月、同居している配偶者やパートナーがいない40代以上の単身女性約2400人を対象に実施した。子どもや親と同居している場合も含む。
雇用形態を聞いたところ、正規職員は45%で、パートや派遣社員などの非正規職員と自営業・フリーランスは合わせて53%だった。世帯主の約1800人に昨年の年収について聞くと「200万円未満」が30%、「200万円以上300万円未満」が24%だった。国の民間給与実態統計調査(昨年分)によると、女性の平均年収は302万円で、半分超が平均を下回った。
暮らしぶりについては、全体の7割が「やや苦しい」「大変苦しい」と答えた。調査対象は、就職氷河期世代となる40、50代が8割以上を占め、雇用、収入面で不安を抱える実態が浮かんだ。
貧困連鎖も懸念
苦しい生活事情が、将来の貧困につながる可能性もうかがえる。50歳以上65未満の人を対象に年金見込み額(月額)を聞いたところ、未加入などのため見込み額がゼロの「無年金」が2・8%、5万円未満が23%、5万円以上10万円未満が44%で、10万円未満が7割を占めた。
いつまで働くかについては、7割近くが「働ける限りはいつまでも」「死ぬまで」と答えた。だが、高齢になると働けなくなったり、賃貸住宅の入居を断れたりするケースもある。将来の不安を複数回答で聞いたところ、「病気や介護が必要になった場合に制度を利用できるのか」(74%)、「仕事の継続、生活できる賃金を得ること」(71%)、「低年金と十分な貯蓄ができないことによる高齢期の生活不安」(69%)と続いた。
「親か子のどちらかが心身に支障がでた場合、まともに働くこともできなくなり、先行きが不安になる」(50代非正規)――。自由記述欄にはこうした声があふれた。
公的な相談窓口の利用少なく
「困った時の相談先」(複数回答)としては、「友人・知人」(62%)、「親や子ども・親戚」(50%)、「自治体の相談窓口」(11%)で、公的な窓口の利用は少なかった。自由記述には「もっと気軽に頼れて話せて相談できる場や人がほしい」(40代非正規)との声があった。
わくわくシニアシングルズの大矢さよ子代表(72)は「子どもがいなかったり、子育てを終えたりした女性は支援対象と見られにくく、本人たちも制度や相談窓口に頼れないと感じている」と話す。
湯沢教授は「今後は高齢者も社会保障制度維持のための負担を一層求められるだろうが、貧困状態の高齢単身女性が急増することを社会は認識しておくべきだ。男女賃金格差も解消せず、憲法25条で明記された『健康で文化的な最低限度の生活』とはほど遠い生活をもたらすだろう」と指摘。公営住宅の単身世帯枠や基礎年金の増額など、単身女性をとりこぼさない支援の拡充を提案する。
届かない公的な就労支援
就労支援について聞いたところ、「受けたことがない」が62%で、「受けた」は36%だった。どのような就労支援を受けたかについては、ハローワークが21%、教育訓練給付制度が8%だった。
教育訓練給付制度は、厚生労働相が指定する資格取得などの講座を受講して修了した場合、学費の一定額が給付されるが、一部については受講開始時で「45歳未満」という制限がある。わくわくシニアシングルズは制限を撤廃し、中高年が使いやすい制度にするよう求める。
「職業訓練校の内容では実際の就職につながらない。もっと現実的なものにしてほしい」(40代非正規)▽「高齢者が再び社会で活躍できるよう、ブランクを埋めることができる職業訓練強化や社会復帰しやすい制度を作ってほしい」(40代)などの意見があった。
貧困や格差を研究してきた東京都立大学の阿部彩教授は「単身高齢女性の貧困率は、他の年齢の男女に比べて以前から高かったが、産むことを期待されない女性に対する国や社会の関心は低く、メディアで取り上げられる機会も支援策も少なかった」と指摘。「子どもや母子世帯といった枠組みで貧困を分類せず、困ったら誰でも受けられる支援を充実させることが有効ではないか。家賃や光熱費の補助のほか、就労支援や派遣やパートの無期雇用転換などをさらに進めてほしい」と話す。【大和田香織】
感想;
「シングルマザー、その後」黒川祥子著 ”シングルマザーの貧困は国の制度の問題が大きい”
死ぬまで働くことが生活を支えるのに必要なようです。
でも、働けなくなったら、どうなるのでしょう。
生活保護でしょうか?
一生懸命働いても、老後を穏やかに暮らせなくなった日本のようです。
非正規が半分以上で、3人に1人は年収200万円以下――。民間団体「わくわくシニアシングルズ」の調査で、40歳以上のシングル女性の困窮ぶりが浮かび上がった。ギリギリの生活のため、7割が「働ける限り働く」「死ぬまで働く」と答えた一方、公的な就労支援を受けた人は3人に1人にとどまる。子ども関連の施策に注目が集まる中、中高年単身女性をどう支援するかも課題になっている。
民間団体が2400人対象に調査
調査は立教大コミュニティ福祉学部の湯沢直美教授(社会福祉学)とともに、今年8、9月、同居している配偶者やパートナーがいない40代以上の単身女性約2400人を対象に実施した。子どもや親と同居している場合も含む。
雇用形態を聞いたところ、正規職員は45%で、パートや派遣社員などの非正規職員と自営業・フリーランスは合わせて53%だった。世帯主の約1800人に昨年の年収について聞くと「200万円未満」が30%、「200万円以上300万円未満」が24%だった。国の民間給与実態統計調査(昨年分)によると、女性の平均年収は302万円で、半分超が平均を下回った。
暮らしぶりについては、全体の7割が「やや苦しい」「大変苦しい」と答えた。調査対象は、就職氷河期世代となる40、50代が8割以上を占め、雇用、収入面で不安を抱える実態が浮かんだ。
貧困連鎖も懸念
苦しい生活事情が、将来の貧困につながる可能性もうかがえる。50歳以上65未満の人を対象に年金見込み額(月額)を聞いたところ、未加入などのため見込み額がゼロの「無年金」が2・8%、5万円未満が23%、5万円以上10万円未満が44%で、10万円未満が7割を占めた。
いつまで働くかについては、7割近くが「働ける限りはいつまでも」「死ぬまで」と答えた。だが、高齢になると働けなくなったり、賃貸住宅の入居を断れたりするケースもある。将来の不安を複数回答で聞いたところ、「病気や介護が必要になった場合に制度を利用できるのか」(74%)、「仕事の継続、生活できる賃金を得ること」(71%)、「低年金と十分な貯蓄ができないことによる高齢期の生活不安」(69%)と続いた。
「親か子のどちらかが心身に支障がでた場合、まともに働くこともできなくなり、先行きが不安になる」(50代非正規)――。自由記述欄にはこうした声があふれた。
公的な相談窓口の利用少なく
「困った時の相談先」(複数回答)としては、「友人・知人」(62%)、「親や子ども・親戚」(50%)、「自治体の相談窓口」(11%)で、公的な窓口の利用は少なかった。自由記述には「もっと気軽に頼れて話せて相談できる場や人がほしい」(40代非正規)との声があった。
わくわくシニアシングルズの大矢さよ子代表(72)は「子どもがいなかったり、子育てを終えたりした女性は支援対象と見られにくく、本人たちも制度や相談窓口に頼れないと感じている」と話す。
湯沢教授は「今後は高齢者も社会保障制度維持のための負担を一層求められるだろうが、貧困状態の高齢単身女性が急増することを社会は認識しておくべきだ。男女賃金格差も解消せず、憲法25条で明記された『健康で文化的な最低限度の生活』とはほど遠い生活をもたらすだろう」と指摘。公営住宅の単身世帯枠や基礎年金の増額など、単身女性をとりこぼさない支援の拡充を提案する。
届かない公的な就労支援
就労支援について聞いたところ、「受けたことがない」が62%で、「受けた」は36%だった。どのような就労支援を受けたかについては、ハローワークが21%、教育訓練給付制度が8%だった。
教育訓練給付制度は、厚生労働相が指定する資格取得などの講座を受講して修了した場合、学費の一定額が給付されるが、一部については受講開始時で「45歳未満」という制限がある。わくわくシニアシングルズは制限を撤廃し、中高年が使いやすい制度にするよう求める。
「職業訓練校の内容では実際の就職につながらない。もっと現実的なものにしてほしい」(40代非正規)▽「高齢者が再び社会で活躍できるよう、ブランクを埋めることができる職業訓練強化や社会復帰しやすい制度を作ってほしい」(40代)などの意見があった。
貧困や格差を研究してきた東京都立大学の阿部彩教授は「単身高齢女性の貧困率は、他の年齢の男女に比べて以前から高かったが、産むことを期待されない女性に対する国や社会の関心は低く、メディアで取り上げられる機会も支援策も少なかった」と指摘。「子どもや母子世帯といった枠組みで貧困を分類せず、困ったら誰でも受けられる支援を充実させることが有効ではないか。家賃や光熱費の補助のほか、就労支援や派遣やパートの無期雇用転換などをさらに進めてほしい」と話す。【大和田香織】
感想;
「シングルマザー、その後」黒川祥子著 ”シングルマザーの貧困は国の制度の問題が大きい”
死ぬまで働くことが生活を支えるのに必要なようです。
でも、働けなくなったら、どうなるのでしょう。
生活保護でしょうか?
一生懸命働いても、老後を穏やかに暮らせなくなった日本のようです。