「みにくいアヒルの子 アンデルセンの童話と詩２」山室 静訳 ”今が苦しくても、未来に幸せが待っていることをアンデルセンは「みにくいアヒルの子」で伝えたかった！”

・かわいそうなアヒルの子は、もうどうしたらよいかわかりません。自分の姿がみにくいために、みんなから、こんなにまでもばかにされるのが、ただただ、悲しくなるばかりでした。
　最初の日はこんなふうに過ぎましたが、それからも、だんだん悪くなるばかりです。かわいそうなアヒルの子は、みんなに追いかけられました。兄さん姉さんたちまでが、この子に意地悪をして、いつもいうのでした。「おまえなんか、猫にさらさわれっちまえばいいんだ。このみにくいばけものめ！」
　お母さんもいいました。「おまえさえ、どこかへ行ってくれたらねぇ」
　ほかのアヒルたちにはかみつかれ、猫たちにはつっつきまわされ、えさをやりにくる娘からは、足でけとばされました。
　そこで、アヒルの子は逃げだして、生け垣をとびこえました。

・このあわれなアヒルの子が、きびしい冬の間にたえしのばなくてはならなかった苦しみや悲しみを、いちいちお話するのは、あまりに悲しすぎるでしょうね。

・アヒルの子は、いままでにうけてきたさまざまの苦しみや悲しみを、いっそうれしく思いました。いまあたえられている幸福と喜びがどれほどのものか、それでこそはじめてよくわかったからです。そして大きな白鳥たちは、この若い白鳥のまわりを泳ぎながら、くちばしでなでてくれるのでした。

・白鳥はとても幸福でした。でも、少しもいばったりしませんでした。心のやさしいものは、けっしていばったりはしないものです。白鳥はいままでどんなに、みんなから追いかけられたり、ばかにされたりしたかを思い出しました。けれどもいまでは、みんなのものが自分のことを、美しいい鳥の中でもいちばん美しい、といってくれるのです。そしてニワトコは、水の上の自分のほうへ枝をさしのべて頭をさげるし、お日さまは、それはそれはあたたかくやさしく照らしてくれます。そこで白鳥は、羽をばたばたやり、すらりとした首を真っすぐにおこして、心のそこから喜んでいいました。
　「みにくいアヒルの子だったころには、ぼくにこんな幸福がさずかるとは思わなかったのになあ！」

感想；
「みにくいあひるのこ」アンデルセン作　”子どもの頃読んだお話を年取ってから読み直し、学んだこと”

”みにくいアヒルの子”の話は、今が苦しくても、希望が見いだせなくても、今を耐え忍んで生きていれば、必ず幸せが待っているということを教えたかったのでしょう。

希望を見いだせずに、今が苦しくて、この苦しみから逃れたくて、自殺を選択してしまう人が多いです。
でも、”みにくいアヒルの子”の話を信じて生きていて欲しいと願います。
自殺未遂した人がまた自殺未遂する確率は高いのですが、一方で助かって、生きていることの喜びを、みにくいアヒルの子のように感じている人も多いのです。

希望は根拠があって持つものではなく、信じて持つものではないでしょうか。

自殺未遂からの復帰
https://kokoro.mhlw.go.jp/over/872/
"みにくいアヒルの子”の体験をされた方が多くいます。
自殺を考える人は良い人が多いと思っています。
生きていて欲しいと願います。
ぜひ、誰かに話をして欲しいです。
話しても解決しないことが多いでしょう。
でも道が拓ける可能性があります。
その時は難しくてもいつかそれが解決します。
そして「生きていて良かった」と思う日が必ず来ると思います。
自殺はいつでもできるのです。
今ではなく、もっといろいろなことを試して欲しいです。
”みにくいアヒルの子”のように。