・オープンダイアローグでは、依頼があってから24時間以内に最初のミーティングが開かれる。
・参加者は患者本人とその家族、親戚、医師、看護師、心理士、現担当医、そのほか本人にかかわる重要な人物なら誰でもいいのです。
・この治療法を導入した結果、西ラップランド地方において、統合失調症の入院治療期間は平均19日間短縮されました。薬物を含む通常の治療を受けた統合失調症患者群との比較において、この治療では、服薬を必要とした患者は全体の35%、2年間の予後調査で82%は症状の再発がないか、ごく軽微なものにとどまり(対照群では57%)再発率は24%(対照群では71%)に抑えられていたというのです。
・「急性期精神病における開かれた対話によるアプローチ Open Dialogues Approach in Acute Psychosis」
・セイックラ教授はオープンダイアローグが「技法」や「治療プログラム」ではなく、「哲学」や「考え方」であることを繰り返し強調しています。
・ミーティングにはファシリテーターはいますが、対話を先導したり結論を導いたりするような「議長」や「司会者」はいません。
・最も重要な原則のひとつなので繰り返しますが、本人抜きではいかなる決定もなされません。
・「あなたはよくがんばっている」と言われるよりも、「あなたがすごくがんばっていると、〇〇さんが誉めていました」と言われるほうがずっとうれしい。
・オープンダイアローグのゴールは、全員が合意に達することではありません。それぞれの異なった理解を、うまくつなぎ合わせ、共有することです。合意や結論は、この過程から一種の“副産物”のようにしてもたらされるのです。
・オープンダイアローグの理論的な柱はいくつかありますが、最も重要な位置を占めるのはグレゴリー・ベイトソンのダブルバインド理論です。さらにはベイトソンの影響下で家族療法を発展させたイタリア・ミラノ派の手法も援用されています。
・オープンダイアローグとは、「ニーズ適合型アプローチの形式のなかで、対話の技術を洗練し発展させたようなもの」と考えることもできます。
・オープンダイアローグが目指す方向は、まず第一に対話のなかで新たな言葉を生み出し、象徴的コミュニケーションを確立することでした。その確立に成功すれば、患者の健康なアイデンティティと物語、さらには患者と社会とのつながりを回復することにもつながるでしょう。
・有意義な対話を生成していくためにも、治療チームは、患者や他のメンバーの発言すべてに応答しなければなりません。その応答は、相手の発言内容に即しながらも、さらなる別の問いかけの形をとる必要があるとされています。私達は必然的に、モノローグ(独白)を脱してダイアローグ(対話)を志向する存在なのです。
・オープンダイアローグは、さらに一歩踏み込みます。つまり質問を重ねることで、さらにくわしく妄想を語ってもらおうとするのです。
・こうした変化は、介入によってその人を変えていこうといった戦略を意図していないプロセスの中で起こるのです。
・実践のための12項目
1)ミーティングには2人以上のセラピストが参加する
2)家族とネットワークメンバーが参加する
3)開かれた質問をする
4)クライアントの発言に応える
5)今この瞬間を大切にする
6)複数の視点を引き出す
7)対話において関係性に注目する
8)問題発言や問題行動には淡々と対応しつつ、その意味には注意を払う
9)症状ではなく、クライアントの独自の言葉や物語を強調する
10)ミーティングに置いて専門家どうしの会話(リフレクティング)を用いる
11)透明性を保つ
12)不確実性への耐性
・「望ましい対話の条件」
・対話のやりとりの主導権や内容に関して、全般にクライアント側が優位であること
・現実をただ指し示す言葉よりも、象徴的な言葉(比喩やたとえを使った話し方)が多く用いられること
・治療チームとクライアントのあいだで、言葉のキャッチボールが成立していること
・患者の重要な訴えが無視されず、しっかりリフレクティングされていること
・オープンダイアローグの古くて新しい特徴は、人間という存在の「固有性」や「現前性」をきわめて重視しているところです。
・ミーティングの際に生まれる「愛」の感覚は、エロティックなそれでなく、むしろ家族愛に近い感覚です。
・「オープンダイアローグは、まるでジャズのアドリブのようだ」(トレーニングされた自由) うっかりコードにそぐわない音を弾いてしまったとする。なんの問題もない。それがまた、新たな即興の始まりになるのだから。
・結論を急がない
・対話そのものが答えを出すか、そもそもの問題がなくなってしまうまで、回答は保留されます。
・予断や憶測は、ことのほか避けるべきです。
・今あなたは問いを生きて下さい。そうすればおそらくあなたは次第に、それと気づくことなく、ある遥かな日に、答えの中へ生きて行かれることになりましょう。(「若き詩人への手紙・若き女性への手紙」ライナー・マリア・リルケ著)
・「聴くこと」は「質問すること」よりも重要です。このため、ミーティングの最初の問いかけは、できる限り開かれた形でなされます。
・意味は応答でつくられる
まさにそのはじまりから対話を生み出していくために、質問者がなすべきことのひとつが、患者であれ誰であれ発言に対して「応答」を返していくことです。ただしその応答は、患者のそれまでの発言をふまえた別の質問という形をとるのが普通です。
・結論を急がない
危機的状況が突きつける「いま何をなすべきか?」という問いについては、対話そのものが答えを出すか、そもそもの問題がなくなってしてしまうまで、回答は保留されます。すぐに助言したり結論を急いだり、従来どおりの介入手段に訴えるやり方では、安全と信頼の確立はおろか、精神的な危機の真の解決にはつながりません。
・ライナー・マリア・リルケ著「若き詩人への手紙・若き女性への手紙」
今あなたは問いを生きて下さい。そうすればおそらくあなたは次第に、それに気づくことなく、ある遥かな日に、答えの中へ生きて行かれることになりましょう。
・まずは聴くこと
「聴くこと」は「質問すること」よりも重要です。
・意味は応答でつくられる
・結論も合意も目指さない
意見が食い違った時に大事なことは、正しいか間違いか白黒はっきりさせることではなく、すべての声が受け入れられ、傾聴とやりとりが促されることです。
・対話の全般的な傾向
・クライアント優位か治療者優位か
予後良好群では、シークエンスの過半(55~57%)においてクライアントが優位であり、予後不良率群ではそれが10~35%にとどまりました。
・指示的か象徴的か
予後不良群では、会話のなかで象徴的な言い回しがわずか(0~20%)しか見られませんでしたが、予後良好群ではごく当たり前(38~75%)に求められました。
・モノローグ的かダイアローグ的か
予後不良群では大きなばらつきがみられました。ダイアローグ的な対話もあるにはあったのですが、予後良好だった3事例のように、当たり前にはなされていませんでした。
・ミーティングのプロセスをゆっくり進めることは、ことのほか重要です。
・バフチン
「言葉にとって(すなわち人間にとって)、応答のないことばほど恐ろしいことはない」
・ただし応えるということは、説明や解釈を与えることではありません。
・ただしその際に、誰かが間違ったことを発言したかのようなほのめかしは、いっさいするべきではありません。
・つらい体験こそ宝である。
・ミーティングにおいて感情プロセスが出現したら、それはモノローグからダイアローグへの移行を示すサインである。
・心は関係性から生まれる
・対話のための3つのポイント
1)できるだけ話しやすい雰囲気で、かつ苦悩に直面しつつ語られるように、質問の仕方を工夫する。
2)誰の話しに対しても、神経を集中しつつ、思いやりを持って耳を傾ける。
3)治療チームのメンバーどうしのリフレクティングを導く。その際、ネットワークメンバーの発言に対してだけでなく、その発言に対する治療チームの発言にもコメントする。
・人は、自分の言葉がきちんと聴いてもらえていることがわかれば、自身も他者の経験や意見に耳を傾け、関心を持つようになるのです。
・介入から対話へ、治療から愛へ
感想;
統合失調症は治ることが難しいと言われています。
薬でなんとか日々を乗り切っておられる人もおられますが、薬を飲んでも働くまでできないで苦しんでいる人も多いようです。
ベテルの家は統合失調症の方々が集まって活動をされています。
そこでは薬は最低限の処方で抑えられています。
ベテルの家では、”事例研究”と称して、ミーティングが活発に行われています。
オープンダイアローグも当事者を含んだ話し合いにより、治療効果を上げています。
ベテルの家の事例研究では、当事者が自分の幻聴や幻覚を話してそれにどう対応するかを仲間からアドバイスを受け、試してみます。
それを繰り返すことで自分なりの幻聴/幻覚に対処する方法を学んでいきます。
心身一如
心と身体は一体化しており、身体の不調が心に影響し、心の不調が身体に影響します。
うつ病の効果に認知療法が薬と同じくらいの効果があるようです。
仏教用語”唯識”、自分がどう考えるかで、自分の世界が変わり、気持ちまで変わるそうです。
自分を幸せにする考え方を身に付けることが、生きるうえで大きな力になるのでしょう。
https://blog.goo.ne.jp/egaonoresipi/e/a4c93b87afe26d7fad16f5213f44a708
「オープンダイアローグ」ヤーコ・セイックラ/トム・エーリク・アーンキル共著 ”統合失調症に新たな光が!”
・参加者は患者本人とその家族、親戚、医師、看護師、心理士、現担当医、そのほか本人にかかわる重要な人物なら誰でもいいのです。
・この治療法を導入した結果、西ラップランド地方において、統合失調症の入院治療期間は平均19日間短縮されました。薬物を含む通常の治療を受けた統合失調症患者群との比較において、この治療では、服薬を必要とした患者は全体の35%、2年間の予後調査で82%は症状の再発がないか、ごく軽微なものにとどまり(対照群では57%)再発率は24%(対照群では71%)に抑えられていたというのです。
・「急性期精神病における開かれた対話によるアプローチ Open Dialogues Approach in Acute Psychosis」
・セイックラ教授はオープンダイアローグが「技法」や「治療プログラム」ではなく、「哲学」や「考え方」であることを繰り返し強調しています。
・ミーティングにはファシリテーターはいますが、対話を先導したり結論を導いたりするような「議長」や「司会者」はいません。
・最も重要な原則のひとつなので繰り返しますが、本人抜きではいかなる決定もなされません。
・「あなたはよくがんばっている」と言われるよりも、「あなたがすごくがんばっていると、〇〇さんが誉めていました」と言われるほうがずっとうれしい。
・オープンダイアローグのゴールは、全員が合意に達することではありません。それぞれの異なった理解を、うまくつなぎ合わせ、共有することです。合意や結論は、この過程から一種の“副産物”のようにしてもたらされるのです。
・オープンダイアローグの理論的な柱はいくつかありますが、最も重要な位置を占めるのはグレゴリー・ベイトソンのダブルバインド理論です。さらにはベイトソンの影響下で家族療法を発展させたイタリア・ミラノ派の手法も援用されています。
・オープンダイアローグとは、「ニーズ適合型アプローチの形式のなかで、対話の技術を洗練し発展させたようなもの」と考えることもできます。
・オープンダイアローグが目指す方向は、まず第一に対話のなかで新たな言葉を生み出し、象徴的コミュニケーションを確立することでした。その確立に成功すれば、患者の健康なアイデンティティと物語、さらには患者と社会とのつながりを回復することにもつながるでしょう。
・有意義な対話を生成していくためにも、治療チームは、患者や他のメンバーの発言すべてに応答しなければなりません。その応答は、相手の発言内容に即しながらも、さらなる別の問いかけの形をとる必要があるとされています。私達は必然的に、モノローグ(独白)を脱してダイアローグ(対話)を志向する存在なのです。
・オープンダイアローグは、さらに一歩踏み込みます。つまり質問を重ねることで、さらにくわしく妄想を語ってもらおうとするのです。
・こうした変化は、介入によってその人を変えていこうといった戦略を意図していないプロセスの中で起こるのです。
・実践のための12項目
1)ミーティングには2人以上のセラピストが参加する
2)家族とネットワークメンバーが参加する
3)開かれた質問をする
4)クライアントの発言に応える
5)今この瞬間を大切にする
6)複数の視点を引き出す
7)対話において関係性に注目する
8)問題発言や問題行動には淡々と対応しつつ、その意味には注意を払う
9)症状ではなく、クライアントの独自の言葉や物語を強調する
10)ミーティングに置いて専門家どうしの会話(リフレクティング)を用いる
11)透明性を保つ
12)不確実性への耐性
・「望ましい対話の条件」
・対話のやりとりの主導権や内容に関して、全般にクライアント側が優位であること
・現実をただ指し示す言葉よりも、象徴的な言葉(比喩やたとえを使った話し方)が多く用いられること
・治療チームとクライアントのあいだで、言葉のキャッチボールが成立していること
・患者の重要な訴えが無視されず、しっかりリフレクティングされていること
・オープンダイアローグの古くて新しい特徴は、人間という存在の「固有性」や「現前性」をきわめて重視しているところです。
・ミーティングの際に生まれる「愛」の感覚は、エロティックなそれでなく、むしろ家族愛に近い感覚です。
・「オープンダイアローグは、まるでジャズのアドリブのようだ」(トレーニングされた自由) うっかりコードにそぐわない音を弾いてしまったとする。なんの問題もない。それがまた、新たな即興の始まりになるのだから。
・結論を急がない
・対話そのものが答えを出すか、そもそもの問題がなくなってしまうまで、回答は保留されます。
・予断や憶測は、ことのほか避けるべきです。
・今あなたは問いを生きて下さい。そうすればおそらくあなたは次第に、それと気づくことなく、ある遥かな日に、答えの中へ生きて行かれることになりましょう。(「若き詩人への手紙・若き女性への手紙」ライナー・マリア・リルケ著)
・「聴くこと」は「質問すること」よりも重要です。このため、ミーティングの最初の問いかけは、できる限り開かれた形でなされます。
・意味は応答でつくられる
まさにそのはじまりから対話を生み出していくために、質問者がなすべきことのひとつが、患者であれ誰であれ発言に対して「応答」を返していくことです。ただしその応答は、患者のそれまでの発言をふまえた別の質問という形をとるのが普通です。
・結論を急がない
危機的状況が突きつける「いま何をなすべきか?」という問いについては、対話そのものが答えを出すか、そもそもの問題がなくなってしてしまうまで、回答は保留されます。すぐに助言したり結論を急いだり、従来どおりの介入手段に訴えるやり方では、安全と信頼の確立はおろか、精神的な危機の真の解決にはつながりません。
・ライナー・マリア・リルケ著「若き詩人への手紙・若き女性への手紙」
今あなたは問いを生きて下さい。そうすればおそらくあなたは次第に、それに気づくことなく、ある遥かな日に、答えの中へ生きて行かれることになりましょう。
・まずは聴くこと
「聴くこと」は「質問すること」よりも重要です。
・意味は応答でつくられる
・結論も合意も目指さない
意見が食い違った時に大事なことは、正しいか間違いか白黒はっきりさせることではなく、すべての声が受け入れられ、傾聴とやりとりが促されることです。
・対話の全般的な傾向
・クライアント優位か治療者優位か
予後良好群では、シークエンスの過半(55~57%)においてクライアントが優位であり、予後不良率群ではそれが10~35%にとどまりました。
・指示的か象徴的か
予後不良群では、会話のなかで象徴的な言い回しがわずか(0~20%)しか見られませんでしたが、予後良好群ではごく当たり前(38~75%)に求められました。
・モノローグ的かダイアローグ的か
予後不良群では大きなばらつきがみられました。ダイアローグ的な対話もあるにはあったのですが、予後良好だった3事例のように、当たり前にはなされていませんでした。
・ミーティングのプロセスをゆっくり進めることは、ことのほか重要です。
・バフチン
「言葉にとって(すなわち人間にとって)、応答のないことばほど恐ろしいことはない」
・ただし応えるということは、説明や解釈を与えることではありません。
・ただしその際に、誰かが間違ったことを発言したかのようなほのめかしは、いっさいするべきではありません。
・つらい体験こそ宝である。
・ミーティングにおいて感情プロセスが出現したら、それはモノローグからダイアローグへの移行を示すサインである。
・心は関係性から生まれる
・対話のための3つのポイント
1)できるだけ話しやすい雰囲気で、かつ苦悩に直面しつつ語られるように、質問の仕方を工夫する。
2)誰の話しに対しても、神経を集中しつつ、思いやりを持って耳を傾ける。
3)治療チームのメンバーどうしのリフレクティングを導く。その際、ネットワークメンバーの発言に対してだけでなく、その発言に対する治療チームの発言にもコメントする。
・人は、自分の言葉がきちんと聴いてもらえていることがわかれば、自身も他者の経験や意見に耳を傾け、関心を持つようになるのです。
・介入から対話へ、治療から愛へ
感想;
統合失調症は治ることが難しいと言われています。
薬でなんとか日々を乗り切っておられる人もおられますが、薬を飲んでも働くまでできないで苦しんでいる人も多いようです。
ベテルの家は統合失調症の方々が集まって活動をされています。
そこでは薬は最低限の処方で抑えられています。
ベテルの家では、”事例研究”と称して、ミーティングが活発に行われています。
オープンダイアローグも当事者を含んだ話し合いにより、治療効果を上げています。
ベテルの家の事例研究では、当事者が自分の幻聴や幻覚を話してそれにどう対応するかを仲間からアドバイスを受け、試してみます。
それを繰り返すことで自分なりの幻聴/幻覚に対処する方法を学んでいきます。
心身一如
心と身体は一体化しており、身体の不調が心に影響し、心の不調が身体に影響します。
うつ病の効果に認知療法が薬と同じくらいの効果があるようです。
仏教用語”唯識”、自分がどう考えるかで、自分の世界が変わり、気持ちまで変わるそうです。
自分を幸せにする考え方を身に付けることが、生きるうえで大きな力になるのでしょう。
https://blog.goo.ne.jp/egaonoresipi/e/a4c93b87afe26d7fad16f5213f44a708
「オープンダイアローグ」ヤーコ・セイックラ/トム・エーリク・アーンキル共著 ”統合失調症に新たな光が!”
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