追記
医薬品が消える緊急事態 薬剤師から悲鳴「オリンピックなんて無理」
https://news.yahoo.co.jp/articles/d60296588db3cea4dfdf2e1d7b1c3d55561dbe8e 6/13(日) 9:06 日刊ゲンダイDIGITAL
今、病院で処方してもらう処方薬が市場から一気に消え始め、調剤薬局や医薬品卸が薬を求めて走り回る大騒動が起きている。連日製薬会社から、医薬品回収や欠品、出荷調整(オーダー休止)情報が相次いでいるのだ。
代替品の確保さえ対応不可能な医薬品も出てきている。全体の状況を正確に把握することも困難なほどに、流通が混乱している。医療品卸や、医薬品流通情報会社らの話を総合すると、現時点で約2560品目にも上る医薬品が回収や欠品などに陥っているという。前代未聞だ。
異変の切っ掛けは、2020年12月4日に起きた事件だ。ジェネリック医薬品メーカー「小林化工」製の抗真菌薬「イトラコナゾール錠」に、強い催眠作用がある劇物「リルマザホン塩酸塩水和物」が大量に混入し、小児から高齢者までの重篤な事故や、死者も含む多くの被害患者を出してしまった。
この一件は大きく報道され、小林化工には業界史上最長の業務停止処分が下った。同社の約500医薬品の回収が発生、出荷が停止。6月5日にようやく業務停止期間が終了したものの、あまりに杜撰だった体制の改善は容易ではなく、いまだ業務再開の見通しが立っていない。
だがこれは発端に過ぎなかった。医薬品の品質管理の見直しが急務となり、他社の医薬品の事故や品質問題も次々明るみに。これにより、さらに回収や出荷停止が相次ぐ展開となった。この煽りで先発オリジナル医薬品を含む代替薬品への注文が殺到、約半年分は各社で保持するとされる在庫も枯渇、玉突き状態で医薬品不足の「緊急異常事態」に陥った。
ある大手薬局チェーンの担当者は悲痛な声でこう漏らす。
「毎日回収の情報があり、卸も薬局も対応に追われ大混乱で、経験した事がないレベルの事態です。そのうえ、オリンピック開催によって、観客や選手の新型コロナ感染だけではなく熱中症などでも医薬品の需要が増えたら、とてもじゃありませんが耐え切れそうにない。命に抱わる深刻な健康被害も起きかねない」
特に、東京五輪・パラリンピックの開催については、みな不安を隠せない。ある医薬品卸の関係者もこう語る。
「安定確保医薬品と言って、その医薬品が無いと命の危険に直結し、かつ簡単に代替の効かないような薬を、6月1日に厚生労働省がリストアップしたところです。全部で506成分あって、特に優先度が高いものだけで21成分。この中で新型コロナ治療やワクチン副反応対応で対処療法として使う可能性があるものが13成分ほどあります。また現在流通に問題があったり、製薬会社の出荷に不安があったりして、特に心配なものが18成分はある。オリ・パラで多くの人が集まって新型コロナがまた流行したり、何か大きな事故があったりしたら、既に現段階で逼迫しているのですから、あっという間に命に直接関わる医薬品の供給がストップするかもしれません。その時にはもはや地域や、薬の内容は関係なく、日本中大混乱になりかねません。絶対起こしてはならない恐ろしい事態です。医薬品業界としては、昨年より今年の方が危ない状態なんですよ。なのに命がけで綱渡りをする必要があるでのでしょうか」
小林化工は売り上げ約3倍増
数々の薬局チェーンや卸を取材するも、どこも悲鳴ばかりだ。薬剤師会も、厚労省にこの異常事態の改善を求めている。
厚労省の医政局経済課は本件の取材に対し、事態を「把握している」と答え、製薬会社が品質や安定供給を担保すべきことを前提とした上で、「原薬・原材料の国内製造の支援」をし、「医療上必要不可欠であって、汎用され、我が国の安全保障上にも、安定確保上特に配慮が求められる医薬品については、順次供給確保に向け対策を講じる」と答えた。
この異常事態は、国内のジェネリック薬品の品質管理が「呆れるほど杜撰」だった事に始まる。
安倍前政権の指示により、規制緩和の旗の下、先発オリジナルの薬品からジェネリック薬品へ置き換えが一気に加速した。馴染みの薄かったジェネリック薬品を、2020年までに80%をシェアにするよう政策がとられ、ほぼこれを実現している。ジェネリックは一気に約3倍の増加だ。市場は急激に変化したものの、製薬会社の対応はそう簡単ではない。本来専門性が必要な工場や人員を追加しようにもとても追いつくスピードではない。一方でシェア争いは熾烈を極め、品質管理が後回しになった格好だ。
混乱の発端の事件を起こした小林化工もこの期間に約3倍売り上げを伸ばし、内部留保も700億円を超え、大手製薬会社に引けを取らない規模に成長。どうやら品質勝負ではない戦いをしたようだ。同社の第三者委員会の報告によると、劇薬の保管庫にも鍵をかけず、法に基づく規定通りの製薬工程や品質チェックをせず、記録の残らない手作業を交えた方法で材料を投入していた。トラブルは隠蔽された。事故は起きるべくして起きた。こうした呆れるほどの杜撰管理によって、出荷スピードをあげ、シェアを伸ばしたのだ。
小林化工は、実はオリックスグループの一員。本来医業と関係の無いリース業の会社が、M&Aで傘下にした形だ。安倍政権下で、ジェネリック薬品への置き換えを一気に加速させる規制改革の本丸となったのは、日本経済再生本部だった。その民間議員である竹中平蔵氏は、オリックスの社外取締役だ。
医薬品の規制緩和の結果、医薬品不足に陥り、国民は命の危険に晒されようとしている。この状況でオリンピック強行は狂気の沙汰だ。命より優先させるビジネスなど許されるはずがない。
(ジャーナリスト・桜井杏里)
⇒
この品薄状態を引き起こしたきっかけは、小林化工であり、日医工ですが、そのようにしたのは監麻課ではないでしょうか?
それまで供給していた医薬品を問題あるからとして回収してまで混乱させる必要はないと思います。
1)化血研では40年間承認書齟齬、偽造、偽証など薬機法違反がありましたが、回収していません。
かつ106日間の製造業/製造販売業停止しましたが、ほとんどの製品は除外です。
なぜなら代替品がなかったからです。
2)和歌山県の山本化学工業のアセトアミノフェンでは、MF違反、GMP違反、製造販売業違反がありましたが、その原薬を使った製品は回収になりませんでした。かつ違反した原薬は日本薬局方に適合したので問題ないとしてその後の違反も黙認されました。
なぜなら70%のシェア持っていたので、解熱剤の欠品になるからでした。
3)愛知県の松浦薬業は承認書との齟齬、かつ偽造・偽証行為があり薬機法違反になりました。
松浦薬業が製販の製品は回収になりましたが、違反した生薬を使った他社製造販売品は回収になりませんでした。
確かに小林化工、日医工の承認書齟齬、GMP違反は問題ですが、製品回収までして欠品あるいは品薄で医療現場を混乱させてまで行うことでしょうか?
なぜ、化血研、山本化学工業のアセトアミノフェン使った製品、松浦薬業の生薬を使った他社製造販売品は回収しなかったのに、小林化工と日医工の製品をここまで回収する必要があるのでしょうか?
かつ回収の判断が場当たり式ではないでしょうか?
もし、品薄あるいは欠品で患者さんの治療に支障をきたしているなら、それもまた薬機法違反になります。
「医薬品の安定供給を通して、品質/安全/有効性を確認して、国民の健康維持向上を果たすこと」が薬機法の目的です。
行き過ぎた製品回収は、薬機法違反になりかねません。
また、これまで大きな品質問題を起こした製品を回収して来なったことと矛盾しています。
確かにGMPの問題などありますが、国民の健康リスクを起こしてまで行うことではないと思いますが、いかがでしょうか?
医薬品メーカーへの調査強化 都道府県の3分の1が見通し立たず
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210606/k10013069941000.html 2021年6月6日 7時36分 NHK
福井県の医薬品メーカー「小林化工」が製造した治療薬に睡眠導入剤の成分が混入した問題を受けて、国は都道府県に対し、医薬品メーカーへの事前通告なしの立ち入り調査を増やすよう求めていますが、NHKのアンケート取材に対し、都道府県の3分の1余りが「増やす予定だが具体的な見通しが立っていない」と答えました。多くの自治体が職員の不足や育成の難しさを指摘しています。
小林化工の問題をめぐっては、厚生労働省と福井県の調査で、国が承認していない工程での製造や、いわゆる「二重帳簿」の作成などによる組織的な不正の隠蔽が明らかになりました。
この問題を受けて、厚生労働省はことし2月、再発防止策として、医薬品メーカーへの事前通告なしの立ち入り調査を増やすよう都道府県に通知していて、NHKは先月、対応の状況をアンケート取材しました。
その結果、今年度の事前通告なしの立ち入り調査の回数について、
▽「増やした」、または「増やす予定で具体的な日程などのめどが立っている」という回答が22の自治体からあった一方、
▽「増やす予定だが具体的な見通しは立っていない」という回答が16の自治体と、全体の3分の1余りに上りました。
また、現状の体制の課題を複数回答でたずねたところ、
▽「検査回数を増加・継続するための職員の数が少ない・不足している」が最も多く26の自治体、
▽「検査にあたる職員の十分な育成が難しい」が24の自治体に上りました。
自由記述の回答では、「高い専門性が求められるが適切な教育・訓練などを受ける機会が少ない」、「教育・訓練に多くの時間を要する一方、定期的な異動が避けられない」などとする指摘がありました。
また、「緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の対象地域となっているため現場に出ての調査や研修を増やすことができない」などとコロナ禍での難しさを指摘する回答もありました。
課題の解決に向けて国などに要望したいことについて自由記述で尋ねたところ、研修や訓練など教育の機会を設けることや、調査のガイドラインを充実させることなど、事前通告なしの立ち入り調査の強化に向けて国の支援を求める回答が多く寄せられました。
立ち入り調査 自治体によって職員の体制に差
都道府県へのアンケート取材では、医薬品メーカーへの立ち入り調査に当たる職員の体制などについても聞きました。
医薬品メーカーの監視は「法定受託事務」として国から都道府県に業務が委託されていて、厚生労働省によりますと、配置する職員の人数はそれぞれの都道府県が必要な数を判断しているということです。
アンケート取材の結果、検査を行う担当部署に専任の職員を置いているのは11の自治体で、全体の4分の1ほどにとどまり、ほかの業務との兼任という回答が多くなりました。
また、担当部署の職員の数は2人から30人と、自治体によって差がありました。
背景には調査対象となる医薬品メーカーの製造所の数の違いがあるとみられるものの、中には調査対象がほかの自治体より多くても担当の職員が少ない県もありました。
通告なし立ち入り調査大幅増加の県も 他業務効率化で
静岡県は、医薬品メーカーへの事前通告なしの立ち入り調査を増やそうと、業務の効率化を進めています。
静岡県は、2019年度の医薬品生産額がおよそ8400億円と全国で3番目に多く、県内には70近くの医薬品メーカーの製造所があります。
県は、医薬品メーカーの監視や指導を担う専従の担当班を2つ設置し、兼任の職員を含む13人の体制で、これまで年間十数回の立ち入り調査を行ってきました。
厚生労働省からの通知を受けて、今年度から、事前通告なしの立ち入り調査の回数を大幅に増やすことを計画しています。
一方、職員の体制は今のままなので、立ち入り調査以外の業務の効率化を進めようとしています。
具体的には、県庁から40キロほど離れた場所に拠点を置く専従の担当班と本庁との打ち合わせは、原則としてオンライン会議に切り替え、移動の時間のむだを無くしました。
また、年間1000件ほどに上る医薬品メーカーなどからの相談も、できるかぎり先方には出向かず、電話やオンライン会議に切り替える方針です。
静岡県薬事課薬事審査班の吉澤義光専門主査は「無通告での立ち入り調査は、調査する側も受ける製造所側にとっても非常に負荷のかかるものだが、一方で、現在医薬品に対する信頼は非常に揺らいでいる状態にあり、難しいことではあっても、やっていかなければいけない」と話しています。
専門家「都道府県単位での監視では限界」
アンケート取材の結果について、薬剤学が専門の北陸大学薬学部の村田慶史教授は「都道府県ごとに検査体制や経験に差があり、都道府県単位での監視では限界がある」と指摘しました。
そのうえで「現状の体制は問題が起こるとの前提で組織が作られておらず、専門的知識を持った人員を確保して自治体に補充し、調査に活用するべきだ」として、専門家や医薬品メーカーOBなどの人材を国が確保して都道府県を支援するべきだとしています。
また、医薬品政策に詳しい神奈川県立保健福祉大学大学院の坂巻弘之教授は「今後は会社側が悪意を持ってデータ改ざんなどの準備をしている可能性を考えなくてはならず、調査の際には社内の他部署の職員も含め幅広く話を聞くなど、今までと違うやり方で行う必要がある」として、国が調査の方法や手順を見直して都道府県に示す必要性を指摘しました。
そのうえで「製薬会社の製造プロセスが安全なものだということを国民に説明できるよう、国が各企業の製造や品質管理のプロセスをもっと『見える化』させるなど、積極的に関わることが重要だ」としています。
厚労省「都道府県の支援進める」
医薬品の監視を担当する厚生労働省監視指導・麻薬対策課は「医薬品の製造管理や品質管理を徹底し、安全な医薬品を提供するためには、都道府県による調査が果たす役割は極めて大きいと考えている。厚生労働省としても都道府県の意見を踏まえながら、調査ガイドラインの作成や研修会・模擬査察の実施など、都道府県の調査業務を支援する取り組みを進めていきたい」とコメントしています。
⇒医薬品生産金額 県別ランキング
調査方法変更で都道府県順位は大きく変動
新調査では製造販売業者のみを調査客体としたことにともない、製造販売業者が委託先の製造業者情報も含めて報告し、生産金額はすべて製造業者が所在する都道府県に計上することになった。これにより、都道府県別の生産金額は旧調査に比べ大幅に増減が生じている。
県も最後は人と金になるようです。
問題を起こした企業は、GMP管理に”人と金”をケチった結果でした。
1,000円をケチって、1億円を失ったようなものです。
ケチった当時の経営者が問われます。
福島第一原発事故も”安全だ安全だ!”と念仏のように唱え、安全対策にお金を使わなかった、当時の東電と政府に問題があるのです。
問題が起きた時に民主党ではなく、その問題を起こした自民党が本来問われるのですが。
医薬品メーカー3社に改善命令 小林化工と共同開発―厚労省
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021052100863&g=soc 2021年05月21日15時56分
製薬会社小林化工(福井県あわら市)と共同開発した医薬品の製造販売承認申請に虚偽の記載があったとして、厚生労働省は21日、医薬品医療機器法に基づき、Meiji Seikaファルマ(東京都中央区)などメーカー3社に対し、業務改善命令を出した。
他に命令を受けたのは第一三共エスファ(同)とエルメッド(富山市)。3社は高血圧症治療薬など計8品目について、共同で開発していた小林化工が作成した資料を使って承認申請した。
その後、小林化工が不正な試験を行ったのに、正しく実施したと資料に虚偽記載したことが発覚。厚労省は4月、同社が製造販売していた12品目の承認を取り消した。
3社は同じ資料を使って承認申請した8品目について、6月1日にも製造販売承認を自ら取り下げる方針で、自主回収を進めている。
⇒
申請する場合、データの信頼を確認します。
それをされなかったら、不十分だったのでしょう。
3社は他の他社のデータで申請したものも、同じように十分確認されていない可能性があります。
徳島 長生堂製薬 医薬品30品目余に不適切な品質管理 自主回収
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210524/k10013049291000.html 2021年5月24日 21時08分NHK
徳島市の製薬会社が製造した30品目余りの医薬品の品質管理に不適切な取り扱いがあったことが分かり、会社が一部の医薬品の自主回収を始めたほか、徳島県が徳島市内にある3つの製造工場の立ち入り検査を行っています。
県によりますと、医薬品の不適切な品質管理があったのは徳島市に本社を置く長生堂製薬です。
この会社では出荷した医薬品の経年劣化を調べる「安定性モニタリング検査」で本来の効果が得られないなど規格外となった製品の再検査を手順に沿って行わなかったうえ、自主回収せず出荷先にも伝えていなかったということです。
こうした不適切な取り扱いは、胃薬や抗生物質など31品目に上り、一部は国が普及を進めているジェネリック医薬品だということです。
会社はこのうち自社で販売まで行い使用期限が切れていない8品目について自主回収を始めました。
また16品目は東京都、大阪府、富山県、埼玉県にある製薬会社からの受託製造で、いずれも流通先が分からないということです。
徳島県は徳島市内の3つの工場に立ち入り検査を行い、すべての品目について品質管理などに問題がなかったか調べることにしています。
「長生堂製薬」の原田秀昭社長はオンラインで記者会見を開き、「皆様に多大なるご迷惑をおかけし、医薬品の信頼を大きく損なう事態となったことを深くおわびする」と述べました。
会社によりますと、問題の医薬品は成分が溶け出す時間が遅くなるなどのおそれがあるということですが、これまでに健康被害の情報は寄せられていないということです。
長生堂製薬では外部の弁護士や専門家などによる特別調査委員会を設置して、経緯や原因について調査しまとまり次第、公表するとしています。
⇒
日医工はPMDAと富山県による無通告査察でGMP不備が見つかり、約80品目の回収につながり、富山県から製造停止をもらいました。
小林化工のケースもあり、無通告査察を徹底的に行うようにPMDAと県に指示しているかと思います。
監麻課も「性悪説で無通告査察を行う」と決意を述べています。
日医工のようなケースが必ずでると思っていましたが、長生堂製薬さんは自主点検と言われていますが、無通告査察絡みもあるのかもしれません。
これからも、第二、第三の日医工が出ると思います。
小林化工 明治HDが損害賠償請求へ
不祥事で委託先が打撃、日医工は売上げ▲100億円を想定
リスファクス 2021.05.19
明治ホールディングスの川村和夫社長CEO(MeijiSeikaファルマ取締役)は18日に開催した決算説明会で、小林化工に対して、「当然、損害賠償を含めて求めていきたいと思っている」と語った。請求額に関しては、「まだきちんと損害額が確定していないこともある。今後、必要な対応を行っていく」方針。
⇒
これまで製品回収があっても一般には委託先(受託先)や製造販売会社などに損害請求はしてきませんでしたが、それをされるようです。損害請求しても回収品を引き取ってもらって、その分を製品で提供してもらいますが、それがないのでその購入金額分は請求はあると思います。
機会損失までは請求はないのですが、今回はその機会損失が含まれるかどうか。
敢えて決算説明会でいう必要があったのかどうか。
親会社の相手がオリックスさんだからでしょうか?
それとも自分たちは被害者だということをPRされるためでしょうか?
それよいも、”販売会社”としての謝罪がまずあるべきではないでしょうか?
健康被害の発生した医薬品は製造販売会社は小林化工さんですが、お客様に販売したのはMeiji Seikaファルマさんです。お客様はMeiji Seikaファルマさんにお金を払っています。
商法上の責任があるのではないでしょうか?
また、お客様はMeiji Seikaファルマさんのブランドを信用して購入されたのではないでしょうか?
多くの人がデパートで購入されるのもデパートを信頼してです。
つまり、デパートが販売する商品で問題があったらデパートが責任をもって対処してくれるとの安心感にお金を払っているのです。
健康被害を受けた人は、もちろん小林化工さんに請求はできますが、販売会社のMeiji Seikaファルマさんにも請求は可能です。
私たちは販売会社を信用してお薬を買っています。
それをどこで製造しているか、製造販売会社はどこかは二の次です。
多くのOTCは製造販売会社は違っても販売会社のブランドを信用して購入しています。
それに対する責任があるのですが。
対お客様に対してはは被害者ではなく当事者なのです。
損害は別途、小林化工さんとやればよいのです。
小林化工さんが悪者になっています。
確かにたくさん悪い点があります。
それを事前に発見できなかったのも問題です。
きちんと監査をされていれば、問題が発見できるレベルです。
これだけ多くの製品をMEEKの名称で販売されているのですから、もっとしっかりとしたチェックが求められるところでした。
それを行ってこそ、お客様に医療関係者に胸を張って、自社販売品をMRが薦めることができるのです。
MRが医者から「品質は大丈夫かね?」と質問されたらどう答えるのでしょうか?
「Meiji Seikaファルマが自信をもって保証します」
それとも
「品質は小林化工さん次第です。Meiji Seikaファルマはわかりません」
と答えられるのでしょうか?
きっとMeiji SeikaファルマさんのMRもMeiji Seikaファルマだから大丈夫ですと思って、販売してこられたと思います。そのMRの期待も裏切ったことになります。
きちんと販売会社としての謝罪が本来の姿だと思います。
「販売会社のブランドを信用して購入してくださったのに、十分管理できなくて申し訳ございませんでした」
を期待したのですが、それは難しいようです。
Meiji Seikaファルマさんは決算でも問題があったようです。
担当者の”本人”のミスとされていますが、もしそうだとするとたった一人のミスで決算内容が異なってしまうような管理体制ということを言われているのでしょうか?
小林化工さんは最初の説明が「担当者がSOP通りではなく、一人で作業をした」とあたかも担当者の責任であるかのように説明されました。しかし、会社自身の問題でした。
決算のミスは会社自身の問題のように思うのですが・・・。
2021 年 4 月 16 日 小林化工株式会社 御中 調査結果報告書(概要版)
https://www.kobayashikako.co.jp/news/2021/210416_surveyreport.pdf
目 次
Ⅰ 調査の概要···························································· 5
第 1 調査委員会を設置した経緯·········································· 5
第 2 調査体制·························································· 6
第 3 調査概要·························································· 7
1 関係資料の収集及び精査············································ 7
2 関係者に対するヒアリング及びフォレンジック調査···················· 7
Ⅱ 調査結果······························································ 9
第 1 小林化工の沿革及び概要等·········································· 9
1 沿革及び概要······················································ 9
2 小林化工を取り巻く事業環境について······························· 10
第 2 小林化工の製造販売業者及び製造業者としての組織体制について······· 16
1 小林化工の組織概要··············································· 16
2 製造販売業者としての組織体制について····························· 18
3 製造業者としての組織体制について································· 20
4 2019 年改正薬機法について ········································ 25
5 医薬品製造販売承認及び SOP 等について····························· 28
6 GQP 及び GMP について ············································· 30
第 3 矢地第一工場で発生したイトラコナゾール錠 50mg への睡眠剤混入事故につ
いて····························································· 35
1 イトラコナゾール錠 50mg の製造実態································ 35
2 イトラコナゾール錠 50mg(ロット番号 T0EG08)に睡眠剤が混入するに至った経緯 ····· 40
3 品質管理部におけるイトラコナゾール錠 50mg(ロット番号 T0EG08)の試験··············· 45
4 イトラコナゾール錠 50mg(ロット番号 T0EG08)の回収に至る経緯······ 52
第 4 発見された GMP 違反の概要········································· 56
1 矢地事業所製造部で発見された GMP 違反について····················· 56
2 清間事業所で発見された GMP 違反について··························· 59
3 矢地事業所品質管理部で発見された GMP 違反について················· 62
第 5 福井県及び他社製販による調査への対応····························· 67
1 福井県による GMP 適合性調査への対応······························· 67
2 他社製販による監査に対する対応··································· 68
第 6 GMP 違反が発生・拡大した経緯等 ··································· 69
1 製造部門において GMP 違反が発生・拡大した経緯····················· 69
2 品質管理部において GMP 違反が発生した経緯等······················· 75
第 7 GMP 違反に対する小林化工の対応状況等 ····························· 78
1 2002 年薬事法改正時の対応について ································ 78
2 記載整備後の対応················································· 79
3 化血研問題後の一斉点検について··································· 81
4 一斉点検後の対応状況············································· 83
5 矢地第二工場での齟齬解消について································· 84
6 福井県による無予告 GMP 調査への対応について······················· 85
7 KK GMP プロジェクト ·············································· 86
8 2018 年以降の製造指図・記録書の改訂に向けた改善運動について ······ 86
第 8 イトラコナゾール錠 50mg への睡眠剤混入が発生した当時の小林化工幹部層の認識について·· 89
1 代表取締役社長について··········································· 89
2 総括製造販売責任者(研究開発本部長)について····················· 90
3 品質保証責任者(GQP)について···································· 90
4 安全管理責任者について··········································· 91
5 生産本部長について··············································· 91
6 矢地事業所の製造管理者について··································· 92
7 清間事業所の製造管理者について··································· 92
8 取締役副社長(元総括製造販売責任者)について····················· 93
第 9 品質保証部門について············································· 93
1 信頼性保証部(製販 QA)について ·································· 94
2 事業所の品質保証部(サイト QA)について ·························· 96
第 10 安全管理部について··············································· 99
1 組織体制について················································· 99
2 GVP 業務とは関係しない担当業務について ·························· 100
第 11 製販三役連携会議について········································ 101
第 12 戦略会議及び取締役会における議論の状況等························ 102
⇒
申請用の安定性試験に偽証があったようです。それで12品目の承認が取り消されました。
この影響はさらに大きいですね。
他山の石として学びたいと思います。
小林化工、関係者が語る工場内の実態 「会社の説明は不十分と感じる」
https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/1269795?f=y 2021年3月2日 午前7時20分
矢地第一工場3階にある原料保管室。「主原料保管棚(劇薬)」「ア行」と書かれた棚の下段にイトラコナゾールが入ったドラム缶状の容器(黄色の丸)があったが、誤って上段の四角い容器(赤矢印)に入った睡眠導入剤成分の塩酸リルマザホンを混入した拡大する
矢地第一工場3階にある原料保管室。「主原料保管棚(劇薬)」「ア行」と書かれた棚の下段にイトラコナゾールが入ったドラム缶状の容器(黄色の丸)があったが、誤って上段の四角い容器(赤矢印)に入った睡眠導入剤成分の塩酸リルマザホンを混入した
製造する爪水虫などの治療薬に睡眠導入剤成分が混入し、200人を超える健康被害を出した福井県あわら市の小林化工では、国の承認書と異なる製造工程や二重帳簿の作成が長年にわたり横行していた。「会社の説明は不十分と感じる。膿を出し切ってほしい」。同社の製造現場を知る関係者たちが、福井新聞の取材に対し“自社ルール”がまかり通っていた工場内の実態を語った。
■五十音順で棚の上下に
睡眠剤の混入があったのは、抗真菌剤イトラコナゾール錠50「MEEK」の一部ロット。関係者によると、2020年6月23日の夜勤帯に若手社員が1人で作業し、原料を混合する工程で原薬のイトラコナゾールをつぎ足そうとして取り違えた。
つぎ足しは承認書にない違反行為。さらに“裏”の手順書で、実際の作業の記録も記入する「現場フロー」に、取り違えた睡眠導入剤成分のリルマザホン塩酸塩水和物のつぎ足しを示すロット番号が書き込まれていた。混入量は488グラムで、4錠飲んだ場合、睡眠剤として使用する最大投与量の10倍に達した。
イトラコナゾールとリルマザホンは、原料保管室の同じ「ア行」の棚の上下に置かれていた。イトラコナゾールの「イ」と塩酸リルマザホン(リルマザホン)の「エ」で、近いためとみられる。
同社は今年2月の記者会見で、昨春からバーコードによる在庫管理システムを導入していたが、混入した睡眠剤は記録されていなかったと明らかにした。同社幹部は「まだ完全に運用されておらず、読み取っていれば取り違えに気付いた可能性がある」と述べた。しかし関係者は「承認外の行為だから、あえて読み取らなかったのではないか」と指摘する。
■研修と全く違った
関係者は、ほかにも問題がある事例が数多くあったと指摘。ある錠剤の製造中に、別の原薬の粒が混ざり「作業員を集めて、手やふるいで混入した粉体を取り除いた」ことがあったという。同社は会見で「全製品の製造工程と品質試験結果の調査で、イトラコナゾールの混入ロット以外では他成分の混入はないことを確認した」と答えている。
このほか、工場内では錠剤にする工程(打錠)で、欠けるなど不具合が出た場合は一度粉砕して「つなぎ」の材料を入れ直し、再度打錠したケースも。また、定められた場所とは違うエリアで製造したり、製造機器の使用記録にも不記載や改ざんがあったりしたとしている。
県は同社の違反事項の詳細について公表していないが、これらの行為は医薬品医療機器法違反に当たる恐れがあるとする。関係者は「本来やってはいけないことで、大丈夫かと心配になった。現場では入社時の研修と全く違うことが行われていて、不審に思う社員もいた」と憤った。
⇒
塩酸リルマザホンをエとしていることが問題です。リにしていれば起きなかったでしょう。
小林化工は塩酸塩は全てエにしていたのでしょうか? もしそれなら間違いが起きやすいです。
裏マニュアルなので、記録は裏の方で、正式な記録がなかったようです。
経営者もひどいですが、QA長、医薬品製造管理者も本来のお仕事を全くされていません。
小林化工問題で監視指導強化求める声相次ぐ 安全対策部会日刊薬業 2021.03.12
厚生労働省は12日、薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会開催。
委員からは、後発医薬品企業に対する監視指導強化などを求める声が相次いだ。
・後発品企業に対する監視・監督体制を「どのように強化することを考えているか」
・「小さな会社の集約化も含めて検討を」
厚労省は無通告立ち入り検査を強化することをあらためて説明するとともに、「その他別途取り入れることを検討し、対応したい」とした。
小林化工40年前から試験結果を捏造 製品の8割で「二重帳簿」作成
https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/1257886 2021年2月10日 午前7時20分
福井県あわら市の小林化工が製造する爪水虫などの治療薬に睡眠導入剤成分が混入した問題で、福井県は2月9日、医薬品医療機器法に基づき同社に116日間の業務停止命令を出した。期間は2月10日から6月5日まで。県によると、同社は延べ約500製品の約8割で虚偽の製造記録などの「二重帳簿」を作成。一部の品質試験を40年以上前から行わず、結果を捏造していた。長年にわたる組織的な関係法令違反を小林広幸社長ら経営陣は黙認していた。
116日は、県の処分基準で定めている業務停止期間の上限。国内での医薬品メーカーへの行政処分としては過去最長。小林社長は9日、引責辞任の考えを示した。具体的な時期は明言を避けた。
県によると、同社が矢地工場と清間工場で製造する延べ約500製品のうち、県の立ち入り検査時に見せるための虚偽の製造記録や承認外手順書など二重帳簿の作成が約390製品、国の承認内容と異なる工程での製造が約180製品あった。一部の品質試験の未実施は1970年代終わりごろからで、二重帳簿作成と承認外工程は遅くとも2005年には行われていた。
混入があったのは経口抗真菌剤イトラコナゾール錠50「MEEK」の一部ロット。県は同錠の製造について
▽2人で行うべき原料取り出しを人員不足により1人で実施▽承認外手順書が存在▽国が承認していない原料のつぎ足し
▽虚偽の記録作成
▽一部試験の未実施と試験結果捏造―
などの実態があったと結論付けた。承認された方法から逸脱した製造や二重帳簿を「経営陣、製造管理者は黙認していた」と認定した。
県庁で9日、窪田裕行・県健康福祉部長が小林広幸社長に行政処分の命令書を手渡し「全社挙げて再生のために力を尽くしていただくよう期待します」と述べた。
県は、法令順守や製造・販売に関連する業務体制の見直しなどを求める業務改善命令も出した。事業再開時期は、今後提出される業務改善計画の内容を踏まえ検討する予定で「業務改善が完了しなければ出荷再開はできない」としている。
小林化工によると8日時点で、混入した錠剤を服用した239人から意識障害などの健康被害の報告があり、70代女性と80代男性の2人が死亡した。
⇒
県もよく騙され続けたものです。
ここまでくると悪質ですね。GMP以前の問題です。オリックスも調査しなかったのでしょうか?
また、小林化工に委託していた製販も問題を見つけられなかった責任が問われます。
⇒企業の問題だけでなく、監視体制の問題も指摘されたようです。
熊本県の化血研では40年間、承認書との齟齬を当局は発見できませんでした。
和歌山県の山本化学工業の①MF違反、②GMP省令違反、③承認書齟齬を県もPMDAも発見できませんでした。多くの製販も発見できませんでした。
同じことが愛知県の松浦薬業でも県と多くの製販が発見できませんでした。
当局と製販のGMP査察のこれからの課題です。
でも、そんなに問題があったのに、化血研、違反したアセトアミノフェンを使った製品、違反した生薬を使った製販の製品は回収がありませんでした。
アセトアミノフェンでは、日本薬局方の試験に適合したので品質は問題ないとしています。
だったら、GMPは必要ないことになります。
問題を見つけられなかったことだけでなく、PMDAと監麻課は、GMPのちょっとした不備で製品回収をしているのは製品回収の判断のバランスが著しく違っています。
本当に品質に問題あるなら製品回収です。
問題がないなら、製品回収を欠品有無での判断で行わないことです。
保存サンプルを試験したら問題ないのですから。
追記 (日医工)
ジェネリック医薬品大手「日医工」に業務停止命令 富山県
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210303/k10012895411000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_048 2021年3月3日 19時48分
国が承認していない工程で製造した医薬品など75品目を自主回収した富山市のジェネリック医薬品大手「日医工」に対し、富山県は品質管理などに重大な問題があったとして業務停止命令を出しました。
これは富山県が3日、会見を開いて明らかにしました。それによりますと、富山県滑川市にある日医工の富山第一工場では、品質試験で「不適合」となった製品について国が承認していない方法で再加工や再試験を行い、「適合」扱いとして出荷していたことなどが確認されました。このため、品質管理や製造に重大な問題があったとして、3日付けで医薬品医療機器法に基づく業務停止命令を出したということです。
命令の期間は5日からで主力の富山第一工場での製造を32日間、全社での販売業務を24日間にわたって停止します。医薬品の審査を行うPMDA=医薬品医療機器総合機構と県が、去年2月に抜き打ちで工場に立ち入り調査を行ったのをきっかけに日医工が外部の弁護士に依頼して調査した結果、国が承認していない工程で製品を出荷していたことなどが判明したということです。
これを受け日医工は去年4月からことし1月にかけて花粉症などの抗アレルギー薬や胃腸薬、それに糖尿病の改善のために血糖値を抑える薬など合わせて75品目を自主回収しました。
⇒
小林化工に続いてジェネリックメーカーの業務停止処分が課せられました。
再試験のやり方に問題があったようです。
再試験に関しては、Out of Specification(OOS)で取り扱うのですが、そこに不備があったのでしょう。
PMDAと県による”無通告査察”で発覚し、そこから芋づる式に問題が出て来たとのことです。
▮ ミクス Online 2021.02.22 04:52
【FOCUS 小林化工問題はなぜ起こったのか(上) 業務停止処分116日から浮かび上がる暗闇】
https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=70671
◎2005年の改正薬事法施行に伴う一斉点検で「齟齬に気づいた」
不正のすべての原点は、小林社長が総責に就いた2005年にある。小林社長が、製造工程に重大な齟齬があると気づいたのは2005年。改正薬事法(現・医薬品医療機器等法)が施行された年だ。
承認書にも製造方法や工程管理などを詳しく記載するよう求められるようになったのもこの時だ。2005年以前の承認書は、原材料や水以外の溶媒などを記すにとどまっており、詳細な記載はなかったという。このため、小林社長が語る“重大な齟齬”が法改正前からあったということに業界からは「驚きを隠せない」との声が漏れる。
⇒
この記事で矛盾しているのは、2005年以前の承認書は製造方法記載がなく、日本薬局方錠剤の項に従い製造するとかの記載だったかと思います。
詳細な製造法は記載前はSOPだけしかなかったのですが、SOPと違うことをやっていたのでしょうか?
それを薬事とQAは知らずに、SOPを記載してしまったために承認書と齟齬が生まれたのでしょうか?
もしそうであれば、3ゲン、5ゲンの実態を把握していなかった薬事とQAの責任です。
まとめると問題は
1)2005年の記載整備でなぜ実態と違う製造方法を記載したか?
2)化血研の一斉点検時になぜ正直に伝えなかったのか?
あの時であれば、多くの企業が一変事項を軽微変更で修正してもらっている。
かつ、あの時にに監麻課も審査管理課も始末書程度で許してくれていた可能性が高い。
です。
マネジメント層の判断ミスと、当時の総括、今の社長に諫言する人がいなかったのが悲劇でした。
どんなに優れていても、人の意見に耳を傾けることをしなくなると、その先には悲劇が待っていることが歴史が証明しています。
本からの学びも必要でしょう。
睡眠剤混入は入社数年の若手か 社内調査に「記憶ない」
https://news.goo.ne.jp/article/asahi/nation/ASNDY530NNDYPTIL003.html 2020/12/29 15:45朝日新聞
小林化工(福井県あわら市)が製造した皮膚病用の飲み薬に睡眠導入剤の成分が混入した問題で、混入させたのは入社数年目の若手の男性作業員であるとみられることが、同社関係者らへの取材でわかった。作業員は社内調査に「当時の記憶がほとんどなく、なぜ間違えたのかわからない」と説明していることも判明。第三者委員会が原因究明に向けた調査を進めている。
混入薬の製造については今年7月ごろ、本来の薬の主成分が減った代わりに睡眠導入剤成分を足したことを示す製造記録が残っていることがわかっている。その記録を付けたのも、この作業員だという。
同社関係者らによれば、作業員は、今月1日に最初の健康被害の報告があった後の社内調査に対し、「何カ月も前のことで一つひとつの工程を覚えていない」「なぜ混入したのかわからない」などと説明したという。同社関係者は「ぼーっとしていたのか、無意識のうちに誤った作業をしたとしか思えない」と話す。入社数年目だが薬の製造工程に慣れていないわけではないとしている。
⇒
GMP(医薬品製造&品質管理の基準)では、人がミスしてもそれを発見しミスを防ぐ仕組みを構築することが求められています。
この問題を個人の責任にしないことです。
2人作業なら、2人が作業した記録が残っているはずです。
この作業者はもう一人の記録は偽造したのかどうか?
あるいは2人作業なのに、記録は2人の記録を取ることになっていなかったのか。
製造記録に催眠導入剤の記録があったのになぜ気がつかなかったのか?
また試験記録に、普段と違うピークがあり、試験者が報告したのに上司は放っていたのか?
個人の問題と言うよりも、この製造所のGMPの仕組みと運用に問題があったと思われます。
それを県&PMDAの査察でも発見できませんでした。
もちろん、販売元のMeiji Seikaも発見できませんでした。
他の会社も発見できなかったようです。
第三者委員会がきちんと調査して検証してくれることを願います。
若手が1人作業、同僚「外してた」 水虫薬の睡眠薬混入
https://news.goo.ne.jp/article/asahi/nation/ASP146D8NP14PTIL00M.html 2021/01/04 20:00朝日新聞
小林化工(福井県あわら市)が製造した水虫などに効く皮膚病用飲み薬に、睡眠導入剤の成分が混入した問題で、混入時に現場にいたとされる若手作業員とペアを組んでいた同僚が社内調査に「別の作業をして外していた」と説明していることが同社関係者への取材でわかった。社内規定では成分の調合などは2人1組でするよう定めているが、この規定に反していた。
同社によると、ペアを組んでいた同僚作業員は工場内の別の作業にも携わっており、そのために現場を離れた時間があった。残った若手が1人で作業していた際、誤った原料を棚から取り出して混入させたとみられる。
関係者によれば、ペアを組む作業員の不在は想定外で、内規では1人きりになった場合の対応は定めていない。同僚作業員は次の工程に移るまでに戻り、作業中に一緒にチェックはしていないが、確認済みのサインをしていたという。
小林広幸社長は「一緒じゃなくて別にチェックしている。名ばかりチェックのようで、十分に機能したとは言えない」と説明。同社関係者によると、若手作業員は睡眠導入剤の成分を入れたことを示す製造記録を自らつけていたが、同僚作業員は混入を見抜けなかったという。
⇒
やはり、記録の偽造がありました。
ダブルチェックの確認すべき同僚作業員は見ていないのに記録では見ていたことになっていました。
これは明らかなSOP違反で、犯罪行為です。
SOPにどう書いてあるかにもよりますが、以下の違反が考えられます。
1)作業者はSOPで2人作業になっているのに1人で行った。
2)同僚はその作業を同時にしていないのに、したことの記録を残していた。
記録の偽造にもなる。
これから考えられることは、SOP遵守の考えが乏しかったのでしょう。
2人もSOP違反していますので、きっと他でもSOP違反をしている人がいたものと思われます。
記録の偽造があったことになりますので、他でも記録の偽造が行われている可能性があります。
これらのことをQAも見逃していたか、対応をしていなかった可能性も高いです。
ただ、どのような作業をしていたのでしょうか?
SOP違反の多くは厳しい生産スケジュールや人員不足が背景にある場合が多くあります。
水虫薬混入の睡眠剤、同じ棚で保管…小林化工「形状異なり一般的な感覚では間違えない」
https://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/nation/20210105-567-OYT1T50146.html 2021/01/05 09:21読売新聞
製薬会社「小林化工」(福井県あわら市)が製造した爪水虫などの治療薬に睡眠導入剤の成分が混入した問題で、本来入れるべき有効成分の容器と混入した成分の容器が、同じ棚の上下に並べて置かれていたことが、同社関係者への取材でわかった。用途の異なる原料がごく近くで保管されていたことになり、関係者は「ヒューマンエラーを起こしやすい状態だった」と危険性を指摘している。
同社によると、有効成分を入れていたのは「高さ1メートル弱の大きな紙製のドラム缶」、睡眠導入剤成分は「小さく平たい缶」と大きさや形が全く異なっていた。同社は「一般的な感覚では間違えないレベル」と説明しており、同社が設置した調査委員会が取り違えの経緯を調べている。
同社は4日、問題の薬を処方された患者の人数を、これまでの364人から344人に修正した。処方された人のうち、実際に服用した人が324人だったことも判明。服用して健康被害を訴えた人は207人、交通事故に遭った人は22人となった。
⇒
「一般的な感覚では間違えないレベル」
このような発言されていること自体が、GMPをご理解されていないですね。
隣りに置くことはありえません。
必ず衝立で区別します。
また「習慣性医薬品」なので、施錠管理&アクセス制限をするべきです。
GMPをずーっとやっていても、GMPの基本をマネイジメント層が理解されていなかったのでしょう。
それと現場の実態を把握されていなかったのでしょう。
京大病院で滅菌精製水とエタノールを間違えて、17歳の患者さんを死なせた間違えの発端は、滅菌精製水とエタノールが隣に置いてあったからです。
間違えて問題になるリスクが少しでもあれば、隣に置かないがGMPなのです。
間違えないレベルとして作業者や看護師のミスだけを原因としては改善されません。
ミスを起こしやすい状況で作業者に「ちゃんと注意して!」と言って作業をさせていたのでしょう。
ミスを起こしにくい環境、そしてミスがあっても発見できる仕組みがGMPです。
そしてその上で、教育訓練でチェックの重要性などを学びます。
情報がちょろちょろとしか出てきませんが、言えることは、作業者にかなりの緊張で作業しないとミスを起こしやすい環境だったのでしょう。
それとSOP尊重意識が低い。
記録の偽造が当たり前に行われていた。
など犯罪行為的な風土があったのかもしれません。
習慣性医薬品について、きちんと特徴を作業者は知っていたのでしょうか?
水虫薬と催眠導入剤ではかなり秤取量が異なる(効果発現の量が違う)ことも知っていたのでしょうか?
SOP通りに書いてある作業はある程度の訓練で出来ます。
しかし、さらに、SOPに書いてある作業は何のためにしているかとの意味が分かって作業するには、かなりの教育訓練が必要になります。
それをさぼっている製造所が多くあります。
薬の特徴という基本的な知識を得るにはさらに時間がかかります。
そう言った知識があると、
1)あれ? 施錠管理しなくて大丈夫だろうか?
2)あれ? 隣に置いて良いのだろうか?
3)製造指図記録には記号だけでよいのだろうか?(品名とコードNo)
そういった疑問が湧いてくるのです。
ところが多くの製造所はその時間がもったいないので、削ってしまっているのです。
そして多くの作業者を派遣やアルバイトに置き換え、その人たちが短期間で交代しているのが現状です。
将来の成長のための種蒔き 「世界史の極意」佐藤優著
労働力の賃金
1)労働者が次の一か月働けるだけの体力を維持するに足るお金
2)労働者階級を再生産するお金。つまり家族を持ち、子どもを育てて労働者として働けるようにするためのお金が賃金に入っていいないといけません。
3)資本主義社会の科学技術はどんどん進歩していきますから、それにあわせて自分を教育していかなければいけない。そのためのお金。
この考え方はマルクスの最大の貢献でした。
⇒
これを業務に当てはめると下記になります。
1)業務に必要なリソースの提供(GMP省令改正の1つ)
2)新人に教えて業務ができるようにするための教育訓練のリソース
3)業務に必要な知識や新しい情報に関する知識を高めていき、今の仕事を改善していくためのリソースの提供
優秀なマネイジメントは2)、3)に注力しています。3)に注力している上司は、未来の姿に投資を行っています。自分の今の成果による評価より、会社の未来に種を蒔いているのです。経営のトップや人事労務は、1)だけだと思って業務に要する工数だけに限定していないでしょうか? 2)を見ている会社はあると思います。しかし、3)を見ている会社はどの程度あるでしょうか?
2)が多くなり、逸脱&OOS/OOTを多く出していないでしょうか? 3)ができなくなっている製造所が増えていないでしょうか? そのため、自ら改善する力を失くし、品質にほとんど貢献しない業務をSOPに定まっているからと延々と行っていても見直していません。何が品質に貢献し、何はしなくてもよいか、それを現場で考えるのですが、それができなくなり、SOPに書いてあることを行うオペレーターになっていないでしょうか?
かつ、派遣さんの新規採用と退職を繰り返すため、オペレーターとしても十分でない状態です。QAも現場力&QCの力(知識と体験)がないため、評価の内容についてブラックボックス化しつつあります。
経営トップや人事がコスト削減を図りました。短期的な視点でみれば効果がありました。その時の担当者は評価されたでしょう。しかし長期の視点でみると、今多くの問題が噴出してきているのではないでしょうか?
まさにコスト削減は、将来の種もみを食しただけだったのかもしれません。そのような状況下であっても、現場に関わる人は、自分の能力Upを図っていただきたい。かつ製造所の諸問題を品質と効率化の視点から解決に関与できる力をぜひ身に付けていただきたい。
そして経営トップや人事はコスト削減負担が大きすぎると、マルクスが言っていた3)のコストまで取ってしまい、その後に起きるいろいろな品質問題によって、コスト削減以上のコストがかかってしまうことを肝に銘じて判断を行っていただきたい。現場が考えられなくなるとそれは品質の低下、コストUpだということを理解していただきたい。そしてそれが製品回収、欠品を招きます。
該当製造所は2)、3)はどうだったのでしょうか?
多くのミスが重なった事例ですが、重なったということは、多くの仕組みが機能していなかったということにもなります。
私が調査員だったら、逸脱とOOS/OOTの件数及びCAPAの改善件数、アルバイト&派遣の率と継続勤務年数を確認したいです。
そうすれば、レベルが把握できます。
睡眠剤成分の混入、国承認と異なる手順書 作業現場に
https://news.goo.ne.jp/article/asahi/nation/ASP18764MP18PTIL01M.html 2021/01/09 15:00朝日新聞
小林化工(福井県あわら市)が製造した皮膚病用の飲み薬に睡眠導入剤の成分が混入した問題で、厚生労働省が承認した工程と異なる手順書が作業現場にあったことがわかった。県関係者らが取材に明らかにした。通常の県の立ち入り調査では、問題の薬と同様の工程で作る薬の承認通りの手順書を示していた。県は混入発覚後、同省などと合同で立ち入り調査を進めていた。
同社や県によると、同省の承認通りの工程をまとめた通常の手順書も存在している。県は年2〜4回、事前に通告した上で立ち入り調査を実施。問題の薬を製造した工場には昨年1、6月に調査に入り、工程や品質管理の体制をチェックした。このときは承認通りの作業をしていると説明したという。
承認外の手順書の存在について、同社は「調査を受けている最中でコメントできない」としている。同社は昨年12月、手順書は同省の承認内容に沿った内容と説明していた。
県や同省は、承認外の手順書を誰がいつ作ったもので、同社幹部らも把握していたかについて調査を進めている。県は8日、今月20日までに報告書を提出するよう同社に求めた。同省は、承認外の手順での製造は少なくとも省令違反にあたるとみており、県は長期の業務停止命令を視野に行政処分を検討している。(平野尚紀)
⇒
承認書以外のSOPで作業を行っていた。
このことで思い出すのは、東海村JCOの臨界事故
です。
JCOは燃料加工の工程において、臨界事故防止(臨界安全)を重視した正規のマニュアルではなく、「裏マニュアル」に沿って作業をしていた。(ウィキペディアより)
熊本県化血研さんでも製造指図記録の偽造がありました。
問題は、このことをマネイジメント層がどこまで知っていたかです。
原薬を追加する作業があることはこれまでも、マネイジメント層が認めているようなので、マネイジメント層が知った上での出来事であれば、これは会社レベルの問題になります。
作業者のミスでは決して片付けられません。
製造指図記録には追加の原薬の記録もあったことから、製造指図記録とSOPを突き合せれば問題は見つかります。もし見つからないとすると査察時用に製造指図記録を偽造していた可能性もあります。そうするとこれは確信犯になります。
県の査察で見つからなかったということは、これまで事前に品目を指定し、ロットが製造所が用意した製造指図記録を見ていた可能性があります。
それがまさに化血研さんでした。
当局の査察の方法にも問題があり、それが発見を遅らせていた可能性もあります。
何のために税金を使って査察を行っていたかが問われますが、これに関しては問題になっていません。ここにもメスをいれるべきではないでしょうか。
判断のポイントが”確信犯”かそれとも”GMPの不備”かです。
これまでの情報からは”確信犯”の可能性が高いようですが、どうでしょうか。
また、この確信犯がどの権限レベルかも大きな視点になります。
”確信犯”はミスと呼ばずに、”犯罪行為”と呼んでいます。
上司が”犯罪行為”を指示しても従わないことです。
従うと、「あなたも同罪!」になります。
それとも、18日間の製造停止と改善命令を山口県から受けた会社の第三者委員会の報告にあった、「作業者が作業がSOPと違っているとは知らなかった」レベルの品質保証だったのかもしれません。
その第三者委員会のまとめは、「突き詰めれば経営陣に問題があった」と結論付けています。
【独自】水虫薬の製造に「裏手順書」…小林化工で十数年前から
https://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/nation/20210124-567-OYT1T50015.html 2021/01/24 05:00読売新聞
製薬会社「小林化工」(福井県あわら市)が製造した爪水虫などの治療薬に睡眠導入剤の成分が混入した問題で、この薬について国の承認とは異なる製造手順を記した「裏手順書」が十数年前から製造現場で使われていたことが、関係者への取材でわかった。県は違法な手順による製造が常態化し、健康被害につながった事態を重く見て、医薬品医療機器法に基づき、同社に対し業務停止命令を出す方向で検討している。
県は今月中にも同社に処分の方針を伝える。弁明の機会を設け、来月中旬にも正式に処分する。厚生労働省によると、同法に基づく製薬会社への業務停止命令は、2016年に国の承認外の方法で血液製剤などを製造した熊本市の「化学及および血清療法研究所(化血研)」に出された110日間が最長で、県はこれと同程度の処分とする考えだ。
睡眠導入剤成分が混入したのは、04年7月に販売が開始された「イトラコナゾール錠50『MEEK』」。関係者によると、国が承認した手順書では、薬の主成分を全て1回で入れることになっているが、「裏手順書」では2度に分けて入れると記載されていた。錠剤を固まりやすくするためとみられ、製造現場で十数年前から採用されていたという。
問題の薬では、従業員が主成分を2度目に入れようとして、睡眠導入剤成分と取り違えていた。主成分と睡眠導入剤成分は、同じ棚の上下に並べて置かれていた。社内規定では2人1組でチェックすることになっていたが、守られず、出荷前のサンプル検査で異物混入の可能性を示すデータを検出しながら、見逃していた。
県は同社に対し、年に2〜4回程度の立ち入り調査を行ってきたが、その際は国が承認した正規の手順書のみが示されていた。
問題の薬は20年夏に製造され、約9万錠が出荷された。服用した患者324人の6割超の214人が意識消失などの健康被害を訴えた。このうち2人が死亡し、意識を失うなどして22人が交通事故を起こしている。
⇒
・裏マニュアルがあった
・県の査察時には正規マニュアルを示していた
・正規SOPは原薬の投入は1回、裏マニュアルは2回計量と投入していた。
査察では記録を確認します。
計量記録が1回と2回では異なります。
かつ計量はプリンターで印字させています。
疑問点として
・なぜ2回計量だったのに、2回目の分も最初から準備していなかったのか?
・査察の記録確認でどうしてわからなかったのか?
福井県、PMDA?、Meiji Seikaファルマさんが見逃している。
第三者委員会の報告が、きちんとこのことを調査されていると、名前通りの”第三者”委員会になるのですが、そうでないと形だけの第三者委員会です。
本家本元の厚生労働省も、データ偽造の第三者委員会の調査に厚生労働省の関係者を立ち会わせたそうですので、ここは当局を見習わないで欲しいです。
医薬品が消える緊急事態 薬剤師から悲鳴「オリンピックなんて無理」
https://news.yahoo.co.jp/articles/d60296588db3cea4dfdf2e1d7b1c3d55561dbe8e 6/13(日) 9:06 日刊ゲンダイDIGITAL
今、病院で処方してもらう処方薬が市場から一気に消え始め、調剤薬局や医薬品卸が薬を求めて走り回る大騒動が起きている。連日製薬会社から、医薬品回収や欠品、出荷調整(オーダー休止)情報が相次いでいるのだ。
代替品の確保さえ対応不可能な医薬品も出てきている。全体の状況を正確に把握することも困難なほどに、流通が混乱している。医療品卸や、医薬品流通情報会社らの話を総合すると、現時点で約2560品目にも上る医薬品が回収や欠品などに陥っているという。前代未聞だ。
異変の切っ掛けは、2020年12月4日に起きた事件だ。ジェネリック医薬品メーカー「小林化工」製の抗真菌薬「イトラコナゾール錠」に、強い催眠作用がある劇物「リルマザホン塩酸塩水和物」が大量に混入し、小児から高齢者までの重篤な事故や、死者も含む多くの被害患者を出してしまった。
この一件は大きく報道され、小林化工には業界史上最長の業務停止処分が下った。同社の約500医薬品の回収が発生、出荷が停止。6月5日にようやく業務停止期間が終了したものの、あまりに杜撰だった体制の改善は容易ではなく、いまだ業務再開の見通しが立っていない。
だがこれは発端に過ぎなかった。医薬品の品質管理の見直しが急務となり、他社の医薬品の事故や品質問題も次々明るみに。これにより、さらに回収や出荷停止が相次ぐ展開となった。この煽りで先発オリジナル医薬品を含む代替薬品への注文が殺到、約半年分は各社で保持するとされる在庫も枯渇、玉突き状態で医薬品不足の「緊急異常事態」に陥った。
ある大手薬局チェーンの担当者は悲痛な声でこう漏らす。
「毎日回収の情報があり、卸も薬局も対応に追われ大混乱で、経験した事がないレベルの事態です。そのうえ、オリンピック開催によって、観客や選手の新型コロナ感染だけではなく熱中症などでも医薬品の需要が増えたら、とてもじゃありませんが耐え切れそうにない。命に抱わる深刻な健康被害も起きかねない」
特に、東京五輪・パラリンピックの開催については、みな不安を隠せない。ある医薬品卸の関係者もこう語る。
「安定確保医薬品と言って、その医薬品が無いと命の危険に直結し、かつ簡単に代替の効かないような薬を、6月1日に厚生労働省がリストアップしたところです。全部で506成分あって、特に優先度が高いものだけで21成分。この中で新型コロナ治療やワクチン副反応対応で対処療法として使う可能性があるものが13成分ほどあります。また現在流通に問題があったり、製薬会社の出荷に不安があったりして、特に心配なものが18成分はある。オリ・パラで多くの人が集まって新型コロナがまた流行したり、何か大きな事故があったりしたら、既に現段階で逼迫しているのですから、あっという間に命に直接関わる医薬品の供給がストップするかもしれません。その時にはもはや地域や、薬の内容は関係なく、日本中大混乱になりかねません。絶対起こしてはならない恐ろしい事態です。医薬品業界としては、昨年より今年の方が危ない状態なんですよ。なのに命がけで綱渡りをする必要があるでのでしょうか」
小林化工は売り上げ約3倍増
数々の薬局チェーンや卸を取材するも、どこも悲鳴ばかりだ。薬剤師会も、厚労省にこの異常事態の改善を求めている。
厚労省の医政局経済課は本件の取材に対し、事態を「把握している」と答え、製薬会社が品質や安定供給を担保すべきことを前提とした上で、「原薬・原材料の国内製造の支援」をし、「医療上必要不可欠であって、汎用され、我が国の安全保障上にも、安定確保上特に配慮が求められる医薬品については、順次供給確保に向け対策を講じる」と答えた。
この異常事態は、国内のジェネリック薬品の品質管理が「呆れるほど杜撰」だった事に始まる。
安倍前政権の指示により、規制緩和の旗の下、先発オリジナルの薬品からジェネリック薬品へ置き換えが一気に加速した。馴染みの薄かったジェネリック薬品を、2020年までに80%をシェアにするよう政策がとられ、ほぼこれを実現している。ジェネリックは一気に約3倍の増加だ。市場は急激に変化したものの、製薬会社の対応はそう簡単ではない。本来専門性が必要な工場や人員を追加しようにもとても追いつくスピードではない。一方でシェア争いは熾烈を極め、品質管理が後回しになった格好だ。
混乱の発端の事件を起こした小林化工もこの期間に約3倍売り上げを伸ばし、内部留保も700億円を超え、大手製薬会社に引けを取らない規模に成長。どうやら品質勝負ではない戦いをしたようだ。同社の第三者委員会の報告によると、劇薬の保管庫にも鍵をかけず、法に基づく規定通りの製薬工程や品質チェックをせず、記録の残らない手作業を交えた方法で材料を投入していた。トラブルは隠蔽された。事故は起きるべくして起きた。こうした呆れるほどの杜撰管理によって、出荷スピードをあげ、シェアを伸ばしたのだ。
小林化工は、実はオリックスグループの一員。本来医業と関係の無いリース業の会社が、M&Aで傘下にした形だ。安倍政権下で、ジェネリック薬品への置き換えを一気に加速させる規制改革の本丸となったのは、日本経済再生本部だった。その民間議員である竹中平蔵氏は、オリックスの社外取締役だ。
医薬品の規制緩和の結果、医薬品不足に陥り、国民は命の危険に晒されようとしている。この状況でオリンピック強行は狂気の沙汰だ。命より優先させるビジネスなど許されるはずがない。
(ジャーナリスト・桜井杏里)
⇒
この品薄状態を引き起こしたきっかけは、小林化工であり、日医工ですが、そのようにしたのは監麻課ではないでしょうか?
それまで供給していた医薬品を問題あるからとして回収してまで混乱させる必要はないと思います。
1)化血研では40年間承認書齟齬、偽造、偽証など薬機法違反がありましたが、回収していません。
かつ106日間の製造業/製造販売業停止しましたが、ほとんどの製品は除外です。
なぜなら代替品がなかったからです。
2)和歌山県の山本化学工業のアセトアミノフェンでは、MF違反、GMP違反、製造販売業違反がありましたが、その原薬を使った製品は回収になりませんでした。かつ違反した原薬は日本薬局方に適合したので問題ないとしてその後の違反も黙認されました。
なぜなら70%のシェア持っていたので、解熱剤の欠品になるからでした。
3)愛知県の松浦薬業は承認書との齟齬、かつ偽造・偽証行為があり薬機法違反になりました。
松浦薬業が製販の製品は回収になりましたが、違反した生薬を使った他社製造販売品は回収になりませんでした。
確かに小林化工、日医工の承認書齟齬、GMP違反は問題ですが、製品回収までして欠品あるいは品薄で医療現場を混乱させてまで行うことでしょうか?
なぜ、化血研、山本化学工業のアセトアミノフェン使った製品、松浦薬業の生薬を使った他社製造販売品は回収しなかったのに、小林化工と日医工の製品をここまで回収する必要があるのでしょうか?
かつ回収の判断が場当たり式ではないでしょうか?
もし、品薄あるいは欠品で患者さんの治療に支障をきたしているなら、それもまた薬機法違反になります。
「医薬品の安定供給を通して、品質/安全/有効性を確認して、国民の健康維持向上を果たすこと」が薬機法の目的です。
行き過ぎた製品回収は、薬機法違反になりかねません。
また、これまで大きな品質問題を起こした製品を回収して来なったことと矛盾しています。
確かにGMPの問題などありますが、国民の健康リスクを起こしてまで行うことではないと思いますが、いかがでしょうか?
医薬品メーカーへの調査強化 都道府県の3分の1が見通し立たず
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210606/k10013069941000.html 2021年6月6日 7時36分 NHK
福井県の医薬品メーカー「小林化工」が製造した治療薬に睡眠導入剤の成分が混入した問題を受けて、国は都道府県に対し、医薬品メーカーへの事前通告なしの立ち入り調査を増やすよう求めていますが、NHKのアンケート取材に対し、都道府県の3分の1余りが「増やす予定だが具体的な見通しが立っていない」と答えました。多くの自治体が職員の不足や育成の難しさを指摘しています。
小林化工の問題をめぐっては、厚生労働省と福井県の調査で、国が承認していない工程での製造や、いわゆる「二重帳簿」の作成などによる組織的な不正の隠蔽が明らかになりました。
この問題を受けて、厚生労働省はことし2月、再発防止策として、医薬品メーカーへの事前通告なしの立ち入り調査を増やすよう都道府県に通知していて、NHKは先月、対応の状況をアンケート取材しました。
その結果、今年度の事前通告なしの立ち入り調査の回数について、
▽「増やした」、または「増やす予定で具体的な日程などのめどが立っている」という回答が22の自治体からあった一方、
▽「増やす予定だが具体的な見通しは立っていない」という回答が16の自治体と、全体の3分の1余りに上りました。
また、現状の体制の課題を複数回答でたずねたところ、
▽「検査回数を増加・継続するための職員の数が少ない・不足している」が最も多く26の自治体、
▽「検査にあたる職員の十分な育成が難しい」が24の自治体に上りました。
自由記述の回答では、「高い専門性が求められるが適切な教育・訓練などを受ける機会が少ない」、「教育・訓練に多くの時間を要する一方、定期的な異動が避けられない」などとする指摘がありました。
また、「緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の対象地域となっているため現場に出ての調査や研修を増やすことができない」などとコロナ禍での難しさを指摘する回答もありました。
課題の解決に向けて国などに要望したいことについて自由記述で尋ねたところ、研修や訓練など教育の機会を設けることや、調査のガイドラインを充実させることなど、事前通告なしの立ち入り調査の強化に向けて国の支援を求める回答が多く寄せられました。
立ち入り調査 自治体によって職員の体制に差
都道府県へのアンケート取材では、医薬品メーカーへの立ち入り調査に当たる職員の体制などについても聞きました。
医薬品メーカーの監視は「法定受託事務」として国から都道府県に業務が委託されていて、厚生労働省によりますと、配置する職員の人数はそれぞれの都道府県が必要な数を判断しているということです。
アンケート取材の結果、検査を行う担当部署に専任の職員を置いているのは11の自治体で、全体の4分の1ほどにとどまり、ほかの業務との兼任という回答が多くなりました。
また、担当部署の職員の数は2人から30人と、自治体によって差がありました。
背景には調査対象となる医薬品メーカーの製造所の数の違いがあるとみられるものの、中には調査対象がほかの自治体より多くても担当の職員が少ない県もありました。
通告なし立ち入り調査大幅増加の県も 他業務効率化で
静岡県は、医薬品メーカーへの事前通告なしの立ち入り調査を増やそうと、業務の効率化を進めています。
静岡県は、2019年度の医薬品生産額がおよそ8400億円と全国で3番目に多く、県内には70近くの医薬品メーカーの製造所があります。
県は、医薬品メーカーの監視や指導を担う専従の担当班を2つ設置し、兼任の職員を含む13人の体制で、これまで年間十数回の立ち入り調査を行ってきました。
厚生労働省からの通知を受けて、今年度から、事前通告なしの立ち入り調査の回数を大幅に増やすことを計画しています。
一方、職員の体制は今のままなので、立ち入り調査以外の業務の効率化を進めようとしています。
具体的には、県庁から40キロほど離れた場所に拠点を置く専従の担当班と本庁との打ち合わせは、原則としてオンライン会議に切り替え、移動の時間のむだを無くしました。
また、年間1000件ほどに上る医薬品メーカーなどからの相談も、できるかぎり先方には出向かず、電話やオンライン会議に切り替える方針です。
静岡県薬事課薬事審査班の吉澤義光専門主査は「無通告での立ち入り調査は、調査する側も受ける製造所側にとっても非常に負荷のかかるものだが、一方で、現在医薬品に対する信頼は非常に揺らいでいる状態にあり、難しいことではあっても、やっていかなければいけない」と話しています。
専門家「都道府県単位での監視では限界」
アンケート取材の結果について、薬剤学が専門の北陸大学薬学部の村田慶史教授は「都道府県ごとに検査体制や経験に差があり、都道府県単位での監視では限界がある」と指摘しました。
そのうえで「現状の体制は問題が起こるとの前提で組織が作られておらず、専門的知識を持った人員を確保して自治体に補充し、調査に活用するべきだ」として、専門家や医薬品メーカーOBなどの人材を国が確保して都道府県を支援するべきだとしています。
また、医薬品政策に詳しい神奈川県立保健福祉大学大学院の坂巻弘之教授は「今後は会社側が悪意を持ってデータ改ざんなどの準備をしている可能性を考えなくてはならず、調査の際には社内の他部署の職員も含め幅広く話を聞くなど、今までと違うやり方で行う必要がある」として、国が調査の方法や手順を見直して都道府県に示す必要性を指摘しました。
そのうえで「製薬会社の製造プロセスが安全なものだということを国民に説明できるよう、国が各企業の製造や品質管理のプロセスをもっと『見える化』させるなど、積極的に関わることが重要だ」としています。
厚労省「都道府県の支援進める」
医薬品の監視を担当する厚生労働省監視指導・麻薬対策課は「医薬品の製造管理や品質管理を徹底し、安全な医薬品を提供するためには、都道府県による調査が果たす役割は極めて大きいと考えている。厚生労働省としても都道府県の意見を踏まえながら、調査ガイドラインの作成や研修会・模擬査察の実施など、都道府県の調査業務を支援する取り組みを進めていきたい」とコメントしています。
⇒医薬品生産金額 県別ランキング
調査方法変更で都道府県順位は大きく変動
新調査では製造販売業者のみを調査客体としたことにともない、製造販売業者が委託先の製造業者情報も含めて報告し、生産金額はすべて製造業者が所在する都道府県に計上することになった。これにより、都道府県別の生産金額は旧調査に比べ大幅に増減が生じている。
県も最後は人と金になるようです。
問題を起こした企業は、GMP管理に”人と金”をケチった結果でした。
1,000円をケチって、1億円を失ったようなものです。
ケチった当時の経営者が問われます。
福島第一原発事故も”安全だ安全だ!”と念仏のように唱え、安全対策にお金を使わなかった、当時の東電と政府に問題があるのです。
問題が起きた時に民主党ではなく、その問題を起こした自民党が本来問われるのですが。
医薬品メーカー3社に改善命令 小林化工と共同開発―厚労省
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021052100863&g=soc 2021年05月21日15時56分
製薬会社小林化工(福井県あわら市)と共同開発した医薬品の製造販売承認申請に虚偽の記載があったとして、厚生労働省は21日、医薬品医療機器法に基づき、Meiji Seikaファルマ(東京都中央区)などメーカー3社に対し、業務改善命令を出した。
他に命令を受けたのは第一三共エスファ(同)とエルメッド(富山市)。3社は高血圧症治療薬など計8品目について、共同で開発していた小林化工が作成した資料を使って承認申請した。
その後、小林化工が不正な試験を行ったのに、正しく実施したと資料に虚偽記載したことが発覚。厚労省は4月、同社が製造販売していた12品目の承認を取り消した。
3社は同じ資料を使って承認申請した8品目について、6月1日にも製造販売承認を自ら取り下げる方針で、自主回収を進めている。
⇒
申請する場合、データの信頼を確認します。
それをされなかったら、不十分だったのでしょう。
3社は他の他社のデータで申請したものも、同じように十分確認されていない可能性があります。
徳島 長生堂製薬 医薬品30品目余に不適切な品質管理 自主回収
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210524/k10013049291000.html 2021年5月24日 21時08分NHK
徳島市の製薬会社が製造した30品目余りの医薬品の品質管理に不適切な取り扱いがあったことが分かり、会社が一部の医薬品の自主回収を始めたほか、徳島県が徳島市内にある3つの製造工場の立ち入り検査を行っています。
県によりますと、医薬品の不適切な品質管理があったのは徳島市に本社を置く長生堂製薬です。
この会社では出荷した医薬品の経年劣化を調べる「安定性モニタリング検査」で本来の効果が得られないなど規格外となった製品の再検査を手順に沿って行わなかったうえ、自主回収せず出荷先にも伝えていなかったということです。
こうした不適切な取り扱いは、胃薬や抗生物質など31品目に上り、一部は国が普及を進めているジェネリック医薬品だということです。
会社はこのうち自社で販売まで行い使用期限が切れていない8品目について自主回収を始めました。
また16品目は東京都、大阪府、富山県、埼玉県にある製薬会社からの受託製造で、いずれも流通先が分からないということです。
徳島県は徳島市内の3つの工場に立ち入り検査を行い、すべての品目について品質管理などに問題がなかったか調べることにしています。
「長生堂製薬」の原田秀昭社長はオンラインで記者会見を開き、「皆様に多大なるご迷惑をおかけし、医薬品の信頼を大きく損なう事態となったことを深くおわびする」と述べました。
会社によりますと、問題の医薬品は成分が溶け出す時間が遅くなるなどのおそれがあるということですが、これまでに健康被害の情報は寄せられていないということです。
長生堂製薬では外部の弁護士や専門家などによる特別調査委員会を設置して、経緯や原因について調査しまとまり次第、公表するとしています。
⇒
日医工はPMDAと富山県による無通告査察でGMP不備が見つかり、約80品目の回収につながり、富山県から製造停止をもらいました。
小林化工のケースもあり、無通告査察を徹底的に行うようにPMDAと県に指示しているかと思います。
監麻課も「性悪説で無通告査察を行う」と決意を述べています。
日医工のようなケースが必ずでると思っていましたが、長生堂製薬さんは自主点検と言われていますが、無通告査察絡みもあるのかもしれません。
これからも、第二、第三の日医工が出ると思います。
小林化工 明治HDが損害賠償請求へ
不祥事で委託先が打撃、日医工は売上げ▲100億円を想定
リスファクス 2021.05.19
明治ホールディングスの川村和夫社長CEO(MeijiSeikaファルマ取締役)は18日に開催した決算説明会で、小林化工に対して、「当然、損害賠償を含めて求めていきたいと思っている」と語った。請求額に関しては、「まだきちんと損害額が確定していないこともある。今後、必要な対応を行っていく」方針。
⇒
これまで製品回収があっても一般には委託先(受託先)や製造販売会社などに損害請求はしてきませんでしたが、それをされるようです。損害請求しても回収品を引き取ってもらって、その分を製品で提供してもらいますが、それがないのでその購入金額分は請求はあると思います。
機会損失までは請求はないのですが、今回はその機会損失が含まれるかどうか。
敢えて決算説明会でいう必要があったのかどうか。
親会社の相手がオリックスさんだからでしょうか?
それとも自分たちは被害者だということをPRされるためでしょうか?
それよいも、”販売会社”としての謝罪がまずあるべきではないでしょうか?
健康被害の発生した医薬品は製造販売会社は小林化工さんですが、お客様に販売したのはMeiji Seikaファルマさんです。お客様はMeiji Seikaファルマさんにお金を払っています。
商法上の責任があるのではないでしょうか?
また、お客様はMeiji Seikaファルマさんのブランドを信用して購入されたのではないでしょうか?
多くの人がデパートで購入されるのもデパートを信頼してです。
つまり、デパートが販売する商品で問題があったらデパートが責任をもって対処してくれるとの安心感にお金を払っているのです。
健康被害を受けた人は、もちろん小林化工さんに請求はできますが、販売会社のMeiji Seikaファルマさんにも請求は可能です。
私たちは販売会社を信用してお薬を買っています。
それをどこで製造しているか、製造販売会社はどこかは二の次です。
多くのOTCは製造販売会社は違っても販売会社のブランドを信用して購入しています。
それに対する責任があるのですが。
対お客様に対してはは被害者ではなく当事者なのです。
損害は別途、小林化工さんとやればよいのです。
小林化工さんが悪者になっています。
確かにたくさん悪い点があります。
それを事前に発見できなかったのも問題です。
きちんと監査をされていれば、問題が発見できるレベルです。
これだけ多くの製品をMEEKの名称で販売されているのですから、もっとしっかりとしたチェックが求められるところでした。
それを行ってこそ、お客様に医療関係者に胸を張って、自社販売品をMRが薦めることができるのです。
MRが医者から「品質は大丈夫かね?」と質問されたらどう答えるのでしょうか?
「Meiji Seikaファルマが自信をもって保証します」
それとも
「品質は小林化工さん次第です。Meiji Seikaファルマはわかりません」
と答えられるのでしょうか?
きっとMeiji SeikaファルマさんのMRもMeiji Seikaファルマだから大丈夫ですと思って、販売してこられたと思います。そのMRの期待も裏切ったことになります。
きちんと販売会社としての謝罪が本来の姿だと思います。
「販売会社のブランドを信用して購入してくださったのに、十分管理できなくて申し訳ございませんでした」
を期待したのですが、それは難しいようです。
Meiji Seikaファルマさんは決算でも問題があったようです。
担当者の”本人”のミスとされていますが、もしそうだとするとたった一人のミスで決算内容が異なってしまうような管理体制ということを言われているのでしょうか?
小林化工さんは最初の説明が「担当者がSOP通りではなく、一人で作業をした」とあたかも担当者の責任であるかのように説明されました。しかし、会社自身の問題でした。
決算のミスは会社自身の問題のように思うのですが・・・。
2021 年 4 月 16 日 小林化工株式会社 御中 調査結果報告書(概要版)
https://www.kobayashikako.co.jp/news/2021/210416_surveyreport.pdf
目 次
Ⅰ 調査の概要···························································· 5
第 1 調査委員会を設置した経緯·········································· 5
第 2 調査体制·························································· 6
第 3 調査概要·························································· 7
1 関係資料の収集及び精査············································ 7
2 関係者に対するヒアリング及びフォレンジック調査···················· 7
Ⅱ 調査結果······························································ 9
第 1 小林化工の沿革及び概要等·········································· 9
1 沿革及び概要······················································ 9
2 小林化工を取り巻く事業環境について······························· 10
第 2 小林化工の製造販売業者及び製造業者としての組織体制について······· 16
1 小林化工の組織概要··············································· 16
2 製造販売業者としての組織体制について····························· 18
3 製造業者としての組織体制について································· 20
4 2019 年改正薬機法について ········································ 25
5 医薬品製造販売承認及び SOP 等について····························· 28
6 GQP 及び GMP について ············································· 30
第 3 矢地第一工場で発生したイトラコナゾール錠 50mg への睡眠剤混入事故につ
いて····························································· 35
1 イトラコナゾール錠 50mg の製造実態································ 35
2 イトラコナゾール錠 50mg(ロット番号 T0EG08)に睡眠剤が混入するに至った経緯 ····· 40
3 品質管理部におけるイトラコナゾール錠 50mg(ロット番号 T0EG08)の試験··············· 45
4 イトラコナゾール錠 50mg(ロット番号 T0EG08)の回収に至る経緯······ 52
第 4 発見された GMP 違反の概要········································· 56
1 矢地事業所製造部で発見された GMP 違反について····················· 56
2 清間事業所で発見された GMP 違反について··························· 59
3 矢地事業所品質管理部で発見された GMP 違反について················· 62
第 5 福井県及び他社製販による調査への対応····························· 67
1 福井県による GMP 適合性調査への対応······························· 67
2 他社製販による監査に対する対応··································· 68
第 6 GMP 違反が発生・拡大した経緯等 ··································· 69
1 製造部門において GMP 違反が発生・拡大した経緯····················· 69
2 品質管理部において GMP 違反が発生した経緯等······················· 75
第 7 GMP 違反に対する小林化工の対応状況等 ····························· 78
1 2002 年薬事法改正時の対応について ································ 78
2 記載整備後の対応················································· 79
3 化血研問題後の一斉点検について··································· 81
4 一斉点検後の対応状況············································· 83
5 矢地第二工場での齟齬解消について································· 84
6 福井県による無予告 GMP 調査への対応について······················· 85
7 KK GMP プロジェクト ·············································· 86
8 2018 年以降の製造指図・記録書の改訂に向けた改善運動について ······ 86
第 8 イトラコナゾール錠 50mg への睡眠剤混入が発生した当時の小林化工幹部層の認識について·· 89
1 代表取締役社長について··········································· 89
2 総括製造販売責任者(研究開発本部長)について····················· 90
3 品質保証責任者(GQP)について···································· 90
4 安全管理責任者について··········································· 91
5 生産本部長について··············································· 91
6 矢地事業所の製造管理者について··································· 92
7 清間事業所の製造管理者について··································· 92
8 取締役副社長(元総括製造販売責任者)について····················· 93
第 9 品質保証部門について············································· 93
1 信頼性保証部(製販 QA)について ·································· 94
2 事業所の品質保証部(サイト QA)について ·························· 96
第 10 安全管理部について··············································· 99
1 組織体制について················································· 99
2 GVP 業務とは関係しない担当業務について ·························· 100
第 11 製販三役連携会議について········································ 101
第 12 戦略会議及び取締役会における議論の状況等························ 102
⇒
申請用の安定性試験に偽証があったようです。それで12品目の承認が取り消されました。
この影響はさらに大きいですね。
他山の石として学びたいと思います。
小林化工、関係者が語る工場内の実態 「会社の説明は不十分と感じる」
https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/1269795?f=y 2021年3月2日 午前7時20分
矢地第一工場3階にある原料保管室。「主原料保管棚(劇薬)」「ア行」と書かれた棚の下段にイトラコナゾールが入ったドラム缶状の容器(黄色の丸)があったが、誤って上段の四角い容器(赤矢印)に入った睡眠導入剤成分の塩酸リルマザホンを混入した拡大する
矢地第一工場3階にある原料保管室。「主原料保管棚(劇薬)」「ア行」と書かれた棚の下段にイトラコナゾールが入ったドラム缶状の容器(黄色の丸)があったが、誤って上段の四角い容器(赤矢印)に入った睡眠導入剤成分の塩酸リルマザホンを混入した
製造する爪水虫などの治療薬に睡眠導入剤成分が混入し、200人を超える健康被害を出した福井県あわら市の小林化工では、国の承認書と異なる製造工程や二重帳簿の作成が長年にわたり横行していた。「会社の説明は不十分と感じる。膿を出し切ってほしい」。同社の製造現場を知る関係者たちが、福井新聞の取材に対し“自社ルール”がまかり通っていた工場内の実態を語った。
■五十音順で棚の上下に
睡眠剤の混入があったのは、抗真菌剤イトラコナゾール錠50「MEEK」の一部ロット。関係者によると、2020年6月23日の夜勤帯に若手社員が1人で作業し、原料を混合する工程で原薬のイトラコナゾールをつぎ足そうとして取り違えた。
つぎ足しは承認書にない違反行為。さらに“裏”の手順書で、実際の作業の記録も記入する「現場フロー」に、取り違えた睡眠導入剤成分のリルマザホン塩酸塩水和物のつぎ足しを示すロット番号が書き込まれていた。混入量は488グラムで、4錠飲んだ場合、睡眠剤として使用する最大投与量の10倍に達した。
イトラコナゾールとリルマザホンは、原料保管室の同じ「ア行」の棚の上下に置かれていた。イトラコナゾールの「イ」と塩酸リルマザホン(リルマザホン)の「エ」で、近いためとみられる。
同社は今年2月の記者会見で、昨春からバーコードによる在庫管理システムを導入していたが、混入した睡眠剤は記録されていなかったと明らかにした。同社幹部は「まだ完全に運用されておらず、読み取っていれば取り違えに気付いた可能性がある」と述べた。しかし関係者は「承認外の行為だから、あえて読み取らなかったのではないか」と指摘する。
■研修と全く違った
関係者は、ほかにも問題がある事例が数多くあったと指摘。ある錠剤の製造中に、別の原薬の粒が混ざり「作業員を集めて、手やふるいで混入した粉体を取り除いた」ことがあったという。同社は会見で「全製品の製造工程と品質試験結果の調査で、イトラコナゾールの混入ロット以外では他成分の混入はないことを確認した」と答えている。
このほか、工場内では錠剤にする工程(打錠)で、欠けるなど不具合が出た場合は一度粉砕して「つなぎ」の材料を入れ直し、再度打錠したケースも。また、定められた場所とは違うエリアで製造したり、製造機器の使用記録にも不記載や改ざんがあったりしたとしている。
県は同社の違反事項の詳細について公表していないが、これらの行為は医薬品医療機器法違反に当たる恐れがあるとする。関係者は「本来やってはいけないことで、大丈夫かと心配になった。現場では入社時の研修と全く違うことが行われていて、不審に思う社員もいた」と憤った。
⇒
塩酸リルマザホンをエとしていることが問題です。リにしていれば起きなかったでしょう。
小林化工は塩酸塩は全てエにしていたのでしょうか? もしそれなら間違いが起きやすいです。
裏マニュアルなので、記録は裏の方で、正式な記録がなかったようです。
経営者もひどいですが、QA長、医薬品製造管理者も本来のお仕事を全くされていません。
小林化工問題で監視指導強化求める声相次ぐ 安全対策部会日刊薬業 2021.03.12
厚生労働省は12日、薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会開催。
委員からは、後発医薬品企業に対する監視指導強化などを求める声が相次いだ。
・後発品企業に対する監視・監督体制を「どのように強化することを考えているか」
・「小さな会社の集約化も含めて検討を」
厚労省は無通告立ち入り検査を強化することをあらためて説明するとともに、「その他別途取り入れることを検討し、対応したい」とした。
小林化工40年前から試験結果を捏造 製品の8割で「二重帳簿」作成
https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/1257886 2021年2月10日 午前7時20分
福井県あわら市の小林化工が製造する爪水虫などの治療薬に睡眠導入剤成分が混入した問題で、福井県は2月9日、医薬品医療機器法に基づき同社に116日間の業務停止命令を出した。期間は2月10日から6月5日まで。県によると、同社は延べ約500製品の約8割で虚偽の製造記録などの「二重帳簿」を作成。一部の品質試験を40年以上前から行わず、結果を捏造していた。長年にわたる組織的な関係法令違反を小林広幸社長ら経営陣は黙認していた。
116日は、県の処分基準で定めている業務停止期間の上限。国内での医薬品メーカーへの行政処分としては過去最長。小林社長は9日、引責辞任の考えを示した。具体的な時期は明言を避けた。
県によると、同社が矢地工場と清間工場で製造する延べ約500製品のうち、県の立ち入り検査時に見せるための虚偽の製造記録や承認外手順書など二重帳簿の作成が約390製品、国の承認内容と異なる工程での製造が約180製品あった。一部の品質試験の未実施は1970年代終わりごろからで、二重帳簿作成と承認外工程は遅くとも2005年には行われていた。
混入があったのは経口抗真菌剤イトラコナゾール錠50「MEEK」の一部ロット。県は同錠の製造について
▽2人で行うべき原料取り出しを人員不足により1人で実施▽承認外手順書が存在▽国が承認していない原料のつぎ足し
▽虚偽の記録作成
▽一部試験の未実施と試験結果捏造―
などの実態があったと結論付けた。承認された方法から逸脱した製造や二重帳簿を「経営陣、製造管理者は黙認していた」と認定した。
県庁で9日、窪田裕行・県健康福祉部長が小林広幸社長に行政処分の命令書を手渡し「全社挙げて再生のために力を尽くしていただくよう期待します」と述べた。
県は、法令順守や製造・販売に関連する業務体制の見直しなどを求める業務改善命令も出した。事業再開時期は、今後提出される業務改善計画の内容を踏まえ検討する予定で「業務改善が完了しなければ出荷再開はできない」としている。
小林化工によると8日時点で、混入した錠剤を服用した239人から意識障害などの健康被害の報告があり、70代女性と80代男性の2人が死亡した。
⇒
県もよく騙され続けたものです。
ここまでくると悪質ですね。GMP以前の問題です。オリックスも調査しなかったのでしょうか?
また、小林化工に委託していた製販も問題を見つけられなかった責任が問われます。
⇒企業の問題だけでなく、監視体制の問題も指摘されたようです。
熊本県の化血研では40年間、承認書との齟齬を当局は発見できませんでした。
和歌山県の山本化学工業の①MF違反、②GMP省令違反、③承認書齟齬を県もPMDAも発見できませんでした。多くの製販も発見できませんでした。
同じことが愛知県の松浦薬業でも県と多くの製販が発見できませんでした。
当局と製販のGMP査察のこれからの課題です。
でも、そんなに問題があったのに、化血研、違反したアセトアミノフェンを使った製品、違反した生薬を使った製販の製品は回収がありませんでした。
アセトアミノフェンでは、日本薬局方の試験に適合したので品質は問題ないとしています。
だったら、GMPは必要ないことになります。
問題を見つけられなかったことだけでなく、PMDAと監麻課は、GMPのちょっとした不備で製品回収をしているのは製品回収の判断のバランスが著しく違っています。
本当に品質に問題あるなら製品回収です。
問題がないなら、製品回収を欠品有無での判断で行わないことです。
保存サンプルを試験したら問題ないのですから。
追記 (日医工)
ジェネリック医薬品大手「日医工」に業務停止命令 富山県
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210303/k10012895411000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_048 2021年3月3日 19時48分
国が承認していない工程で製造した医薬品など75品目を自主回収した富山市のジェネリック医薬品大手「日医工」に対し、富山県は品質管理などに重大な問題があったとして業務停止命令を出しました。
これは富山県が3日、会見を開いて明らかにしました。それによりますと、富山県滑川市にある日医工の富山第一工場では、品質試験で「不適合」となった製品について国が承認していない方法で再加工や再試験を行い、「適合」扱いとして出荷していたことなどが確認されました。このため、品質管理や製造に重大な問題があったとして、3日付けで医薬品医療機器法に基づく業務停止命令を出したということです。
命令の期間は5日からで主力の富山第一工場での製造を32日間、全社での販売業務を24日間にわたって停止します。医薬品の審査を行うPMDA=医薬品医療機器総合機構と県が、去年2月に抜き打ちで工場に立ち入り調査を行ったのをきっかけに日医工が外部の弁護士に依頼して調査した結果、国が承認していない工程で製品を出荷していたことなどが判明したということです。
これを受け日医工は去年4月からことし1月にかけて花粉症などの抗アレルギー薬や胃腸薬、それに糖尿病の改善のために血糖値を抑える薬など合わせて75品目を自主回収しました。
⇒
小林化工に続いてジェネリックメーカーの業務停止処分が課せられました。
再試験のやり方に問題があったようです。
再試験に関しては、Out of Specification(OOS)で取り扱うのですが、そこに不備があったのでしょう。
PMDAと県による”無通告査察”で発覚し、そこから芋づる式に問題が出て来たとのことです。
▮ ミクス Online 2021.02.22 04:52
【FOCUS 小林化工問題はなぜ起こったのか(上) 業務停止処分116日から浮かび上がる暗闇】
https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=70671
◎2005年の改正薬事法施行に伴う一斉点検で「齟齬に気づいた」
不正のすべての原点は、小林社長が総責に就いた2005年にある。小林社長が、製造工程に重大な齟齬があると気づいたのは2005年。改正薬事法(現・医薬品医療機器等法)が施行された年だ。
承認書にも製造方法や工程管理などを詳しく記載するよう求められるようになったのもこの時だ。2005年以前の承認書は、原材料や水以外の溶媒などを記すにとどまっており、詳細な記載はなかったという。このため、小林社長が語る“重大な齟齬”が法改正前からあったということに業界からは「驚きを隠せない」との声が漏れる。
⇒
この記事で矛盾しているのは、2005年以前の承認書は製造方法記載がなく、日本薬局方錠剤の項に従い製造するとかの記載だったかと思います。
詳細な製造法は記載前はSOPだけしかなかったのですが、SOPと違うことをやっていたのでしょうか?
それを薬事とQAは知らずに、SOPを記載してしまったために承認書と齟齬が生まれたのでしょうか?
もしそうであれば、3ゲン、5ゲンの実態を把握していなかった薬事とQAの責任です。
まとめると問題は
1)2005年の記載整備でなぜ実態と違う製造方法を記載したか?
2)化血研の一斉点検時になぜ正直に伝えなかったのか?
あの時であれば、多くの企業が一変事項を軽微変更で修正してもらっている。
かつ、あの時にに監麻課も審査管理課も始末書程度で許してくれていた可能性が高い。
です。
マネジメント層の判断ミスと、当時の総括、今の社長に諫言する人がいなかったのが悲劇でした。
どんなに優れていても、人の意見に耳を傾けることをしなくなると、その先には悲劇が待っていることが歴史が証明しています。
本からの学びも必要でしょう。
睡眠剤混入は入社数年の若手か 社内調査に「記憶ない」
https://news.goo.ne.jp/article/asahi/nation/ASNDY530NNDYPTIL003.html 2020/12/29 15:45朝日新聞
小林化工(福井県あわら市)が製造した皮膚病用の飲み薬に睡眠導入剤の成分が混入した問題で、混入させたのは入社数年目の若手の男性作業員であるとみられることが、同社関係者らへの取材でわかった。作業員は社内調査に「当時の記憶がほとんどなく、なぜ間違えたのかわからない」と説明していることも判明。第三者委員会が原因究明に向けた調査を進めている。
混入薬の製造については今年7月ごろ、本来の薬の主成分が減った代わりに睡眠導入剤成分を足したことを示す製造記録が残っていることがわかっている。その記録を付けたのも、この作業員だという。
同社関係者らによれば、作業員は、今月1日に最初の健康被害の報告があった後の社内調査に対し、「何カ月も前のことで一つひとつの工程を覚えていない」「なぜ混入したのかわからない」などと説明したという。同社関係者は「ぼーっとしていたのか、無意識のうちに誤った作業をしたとしか思えない」と話す。入社数年目だが薬の製造工程に慣れていないわけではないとしている。
⇒
GMP(医薬品製造&品質管理の基準)では、人がミスしてもそれを発見しミスを防ぐ仕組みを構築することが求められています。
この問題を個人の責任にしないことです。
2人作業なら、2人が作業した記録が残っているはずです。
この作業者はもう一人の記録は偽造したのかどうか?
あるいは2人作業なのに、記録は2人の記録を取ることになっていなかったのか。
製造記録に催眠導入剤の記録があったのになぜ気がつかなかったのか?
また試験記録に、普段と違うピークがあり、試験者が報告したのに上司は放っていたのか?
個人の問題と言うよりも、この製造所のGMPの仕組みと運用に問題があったと思われます。
それを県&PMDAの査察でも発見できませんでした。
もちろん、販売元のMeiji Seikaも発見できませんでした。
他の会社も発見できなかったようです。
第三者委員会がきちんと調査して検証してくれることを願います。
若手が1人作業、同僚「外してた」 水虫薬の睡眠薬混入
https://news.goo.ne.jp/article/asahi/nation/ASP146D8NP14PTIL00M.html 2021/01/04 20:00朝日新聞
小林化工(福井県あわら市)が製造した水虫などに効く皮膚病用飲み薬に、睡眠導入剤の成分が混入した問題で、混入時に現場にいたとされる若手作業員とペアを組んでいた同僚が社内調査に「別の作業をして外していた」と説明していることが同社関係者への取材でわかった。社内規定では成分の調合などは2人1組でするよう定めているが、この規定に反していた。
同社によると、ペアを組んでいた同僚作業員は工場内の別の作業にも携わっており、そのために現場を離れた時間があった。残った若手が1人で作業していた際、誤った原料を棚から取り出して混入させたとみられる。
関係者によれば、ペアを組む作業員の不在は想定外で、内規では1人きりになった場合の対応は定めていない。同僚作業員は次の工程に移るまでに戻り、作業中に一緒にチェックはしていないが、確認済みのサインをしていたという。
小林広幸社長は「一緒じゃなくて別にチェックしている。名ばかりチェックのようで、十分に機能したとは言えない」と説明。同社関係者によると、若手作業員は睡眠導入剤の成分を入れたことを示す製造記録を自らつけていたが、同僚作業員は混入を見抜けなかったという。
⇒
やはり、記録の偽造がありました。
ダブルチェックの確認すべき同僚作業員は見ていないのに記録では見ていたことになっていました。
これは明らかなSOP違反で、犯罪行為です。
SOPにどう書いてあるかにもよりますが、以下の違反が考えられます。
1)作業者はSOPで2人作業になっているのに1人で行った。
2)同僚はその作業を同時にしていないのに、したことの記録を残していた。
記録の偽造にもなる。
これから考えられることは、SOP遵守の考えが乏しかったのでしょう。
2人もSOP違反していますので、きっと他でもSOP違反をしている人がいたものと思われます。
記録の偽造があったことになりますので、他でも記録の偽造が行われている可能性があります。
これらのことをQAも見逃していたか、対応をしていなかった可能性も高いです。
ただ、どのような作業をしていたのでしょうか?
SOP違反の多くは厳しい生産スケジュールや人員不足が背景にある場合が多くあります。
水虫薬混入の睡眠剤、同じ棚で保管…小林化工「形状異なり一般的な感覚では間違えない」
https://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/nation/20210105-567-OYT1T50146.html 2021/01/05 09:21読売新聞
製薬会社「小林化工」(福井県あわら市)が製造した爪水虫などの治療薬に睡眠導入剤の成分が混入した問題で、本来入れるべき有効成分の容器と混入した成分の容器が、同じ棚の上下に並べて置かれていたことが、同社関係者への取材でわかった。用途の異なる原料がごく近くで保管されていたことになり、関係者は「ヒューマンエラーを起こしやすい状態だった」と危険性を指摘している。
同社によると、有効成分を入れていたのは「高さ1メートル弱の大きな紙製のドラム缶」、睡眠導入剤成分は「小さく平たい缶」と大きさや形が全く異なっていた。同社は「一般的な感覚では間違えないレベル」と説明しており、同社が設置した調査委員会が取り違えの経緯を調べている。
同社は4日、問題の薬を処方された患者の人数を、これまでの364人から344人に修正した。処方された人のうち、実際に服用した人が324人だったことも判明。服用して健康被害を訴えた人は207人、交通事故に遭った人は22人となった。
⇒
「一般的な感覚では間違えないレベル」
このような発言されていること自体が、GMPをご理解されていないですね。
隣りに置くことはありえません。
必ず衝立で区別します。
また「習慣性医薬品」なので、施錠管理&アクセス制限をするべきです。
GMPをずーっとやっていても、GMPの基本をマネイジメント層が理解されていなかったのでしょう。
それと現場の実態を把握されていなかったのでしょう。
京大病院で滅菌精製水とエタノールを間違えて、17歳の患者さんを死なせた間違えの発端は、滅菌精製水とエタノールが隣に置いてあったからです。
間違えて問題になるリスクが少しでもあれば、隣に置かないがGMPなのです。
間違えないレベルとして作業者や看護師のミスだけを原因としては改善されません。
ミスを起こしやすい状況で作業者に「ちゃんと注意して!」と言って作業をさせていたのでしょう。
ミスを起こしにくい環境、そしてミスがあっても発見できる仕組みがGMPです。
そしてその上で、教育訓練でチェックの重要性などを学びます。
情報がちょろちょろとしか出てきませんが、言えることは、作業者にかなりの緊張で作業しないとミスを起こしやすい環境だったのでしょう。
それとSOP尊重意識が低い。
記録の偽造が当たり前に行われていた。
など犯罪行為的な風土があったのかもしれません。
習慣性医薬品について、きちんと特徴を作業者は知っていたのでしょうか?
水虫薬と催眠導入剤ではかなり秤取量が異なる(効果発現の量が違う)ことも知っていたのでしょうか?
SOP通りに書いてある作業はある程度の訓練で出来ます。
しかし、さらに、SOPに書いてある作業は何のためにしているかとの意味が分かって作業するには、かなりの教育訓練が必要になります。
それをさぼっている製造所が多くあります。
薬の特徴という基本的な知識を得るにはさらに時間がかかります。
そう言った知識があると、
1)あれ? 施錠管理しなくて大丈夫だろうか?
2)あれ? 隣に置いて良いのだろうか?
3)製造指図記録には記号だけでよいのだろうか?(品名とコードNo)
そういった疑問が湧いてくるのです。
ところが多くの製造所はその時間がもったいないので、削ってしまっているのです。
そして多くの作業者を派遣やアルバイトに置き換え、その人たちが短期間で交代しているのが現状です。
将来の成長のための種蒔き 「世界史の極意」佐藤優著
労働力の賃金
1)労働者が次の一か月働けるだけの体力を維持するに足るお金
2)労働者階級を再生産するお金。つまり家族を持ち、子どもを育てて労働者として働けるようにするためのお金が賃金に入っていいないといけません。
3)資本主義社会の科学技術はどんどん進歩していきますから、それにあわせて自分を教育していかなければいけない。そのためのお金。
この考え方はマルクスの最大の貢献でした。
⇒
これを業務に当てはめると下記になります。
1)業務に必要なリソースの提供(GMP省令改正の1つ)
2)新人に教えて業務ができるようにするための教育訓練のリソース
3)業務に必要な知識や新しい情報に関する知識を高めていき、今の仕事を改善していくためのリソースの提供
優秀なマネイジメントは2)、3)に注力しています。3)に注力している上司は、未来の姿に投資を行っています。自分の今の成果による評価より、会社の未来に種を蒔いているのです。経営のトップや人事労務は、1)だけだと思って業務に要する工数だけに限定していないでしょうか? 2)を見ている会社はあると思います。しかし、3)を見ている会社はどの程度あるでしょうか?
2)が多くなり、逸脱&OOS/OOTを多く出していないでしょうか? 3)ができなくなっている製造所が増えていないでしょうか? そのため、自ら改善する力を失くし、品質にほとんど貢献しない業務をSOPに定まっているからと延々と行っていても見直していません。何が品質に貢献し、何はしなくてもよいか、それを現場で考えるのですが、それができなくなり、SOPに書いてあることを行うオペレーターになっていないでしょうか?
かつ、派遣さんの新規採用と退職を繰り返すため、オペレーターとしても十分でない状態です。QAも現場力&QCの力(知識と体験)がないため、評価の内容についてブラックボックス化しつつあります。
経営トップや人事がコスト削減を図りました。短期的な視点でみれば効果がありました。その時の担当者は評価されたでしょう。しかし長期の視点でみると、今多くの問題が噴出してきているのではないでしょうか?
まさにコスト削減は、将来の種もみを食しただけだったのかもしれません。そのような状況下であっても、現場に関わる人は、自分の能力Upを図っていただきたい。かつ製造所の諸問題を品質と効率化の視点から解決に関与できる力をぜひ身に付けていただきたい。
そして経営トップや人事はコスト削減負担が大きすぎると、マルクスが言っていた3)のコストまで取ってしまい、その後に起きるいろいろな品質問題によって、コスト削減以上のコストがかかってしまうことを肝に銘じて判断を行っていただきたい。現場が考えられなくなるとそれは品質の低下、コストUpだということを理解していただきたい。そしてそれが製品回収、欠品を招きます。
該当製造所は2)、3)はどうだったのでしょうか?
多くのミスが重なった事例ですが、重なったということは、多くの仕組みが機能していなかったということにもなります。
私が調査員だったら、逸脱とOOS/OOTの件数及びCAPAの改善件数、アルバイト&派遣の率と継続勤務年数を確認したいです。
そうすれば、レベルが把握できます。
睡眠剤成分の混入、国承認と異なる手順書 作業現場に
https://news.goo.ne.jp/article/asahi/nation/ASP18764MP18PTIL01M.html 2021/01/09 15:00朝日新聞
小林化工(福井県あわら市)が製造した皮膚病用の飲み薬に睡眠導入剤の成分が混入した問題で、厚生労働省が承認した工程と異なる手順書が作業現場にあったことがわかった。県関係者らが取材に明らかにした。通常の県の立ち入り調査では、問題の薬と同様の工程で作る薬の承認通りの手順書を示していた。県は混入発覚後、同省などと合同で立ち入り調査を進めていた。
同社や県によると、同省の承認通りの工程をまとめた通常の手順書も存在している。県は年2〜4回、事前に通告した上で立ち入り調査を実施。問題の薬を製造した工場には昨年1、6月に調査に入り、工程や品質管理の体制をチェックした。このときは承認通りの作業をしていると説明したという。
承認外の手順書の存在について、同社は「調査を受けている最中でコメントできない」としている。同社は昨年12月、手順書は同省の承認内容に沿った内容と説明していた。
県や同省は、承認外の手順書を誰がいつ作ったもので、同社幹部らも把握していたかについて調査を進めている。県は8日、今月20日までに報告書を提出するよう同社に求めた。同省は、承認外の手順での製造は少なくとも省令違反にあたるとみており、県は長期の業務停止命令を視野に行政処分を検討している。(平野尚紀)
⇒
承認書以外のSOPで作業を行っていた。
このことで思い出すのは、東海村JCOの臨界事故
です。
JCOは燃料加工の工程において、臨界事故防止(臨界安全)を重視した正規のマニュアルではなく、「裏マニュアル」に沿って作業をしていた。(ウィキペディアより)
熊本県化血研さんでも製造指図記録の偽造がありました。
問題は、このことをマネイジメント層がどこまで知っていたかです。
原薬を追加する作業があることはこれまでも、マネイジメント層が認めているようなので、マネイジメント層が知った上での出来事であれば、これは会社レベルの問題になります。
作業者のミスでは決して片付けられません。
製造指図記録には追加の原薬の記録もあったことから、製造指図記録とSOPを突き合せれば問題は見つかります。もし見つからないとすると査察時用に製造指図記録を偽造していた可能性もあります。そうするとこれは確信犯になります。
県の査察で見つからなかったということは、これまで事前に品目を指定し、ロットが製造所が用意した製造指図記録を見ていた可能性があります。
それがまさに化血研さんでした。
当局の査察の方法にも問題があり、それが発見を遅らせていた可能性もあります。
何のために税金を使って査察を行っていたかが問われますが、これに関しては問題になっていません。ここにもメスをいれるべきではないでしょうか。
判断のポイントが”確信犯”かそれとも”GMPの不備”かです。
これまでの情報からは”確信犯”の可能性が高いようですが、どうでしょうか。
また、この確信犯がどの権限レベルかも大きな視点になります。
”確信犯”はミスと呼ばずに、”犯罪行為”と呼んでいます。
上司が”犯罪行為”を指示しても従わないことです。
従うと、「あなたも同罪!」になります。
それとも、18日間の製造停止と改善命令を山口県から受けた会社の第三者委員会の報告にあった、「作業者が作業がSOPと違っているとは知らなかった」レベルの品質保証だったのかもしれません。
その第三者委員会のまとめは、「突き詰めれば経営陣に問題があった」と結論付けています。
【独自】水虫薬の製造に「裏手順書」…小林化工で十数年前から
https://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/nation/20210124-567-OYT1T50015.html 2021/01/24 05:00読売新聞
製薬会社「小林化工」(福井県あわら市)が製造した爪水虫などの治療薬に睡眠導入剤の成分が混入した問題で、この薬について国の承認とは異なる製造手順を記した「裏手順書」が十数年前から製造現場で使われていたことが、関係者への取材でわかった。県は違法な手順による製造が常態化し、健康被害につながった事態を重く見て、医薬品医療機器法に基づき、同社に対し業務停止命令を出す方向で検討している。
県は今月中にも同社に処分の方針を伝える。弁明の機会を設け、来月中旬にも正式に処分する。厚生労働省によると、同法に基づく製薬会社への業務停止命令は、2016年に国の承認外の方法で血液製剤などを製造した熊本市の「化学及および血清療法研究所(化血研)」に出された110日間が最長で、県はこれと同程度の処分とする考えだ。
睡眠導入剤成分が混入したのは、04年7月に販売が開始された「イトラコナゾール錠50『MEEK』」。関係者によると、国が承認した手順書では、薬の主成分を全て1回で入れることになっているが、「裏手順書」では2度に分けて入れると記載されていた。錠剤を固まりやすくするためとみられ、製造現場で十数年前から採用されていたという。
問題の薬では、従業員が主成分を2度目に入れようとして、睡眠導入剤成分と取り違えていた。主成分と睡眠導入剤成分は、同じ棚の上下に並べて置かれていた。社内規定では2人1組でチェックすることになっていたが、守られず、出荷前のサンプル検査で異物混入の可能性を示すデータを検出しながら、見逃していた。
県は同社に対し、年に2〜4回程度の立ち入り調査を行ってきたが、その際は国が承認した正規の手順書のみが示されていた。
問題の薬は20年夏に製造され、約9万錠が出荷された。服用した患者324人の6割超の214人が意識消失などの健康被害を訴えた。このうち2人が死亡し、意識を失うなどして22人が交通事故を起こしている。
⇒
・裏マニュアルがあった
・県の査察時には正規マニュアルを示していた
・正規SOPは原薬の投入は1回、裏マニュアルは2回計量と投入していた。
査察では記録を確認します。
計量記録が1回と2回では異なります。
かつ計量はプリンターで印字させています。
疑問点として
・なぜ2回計量だったのに、2回目の分も最初から準備していなかったのか?
・査察の記録確認でどうしてわからなかったのか?
福井県、PMDA?、Meiji Seikaファルマさんが見逃している。
第三者委員会の報告が、きちんとこのことを調査されていると、名前通りの”第三者”委員会になるのですが、そうでないと形だけの第三者委員会です。
本家本元の厚生労働省も、データ偽造の第三者委員会の調査に厚生労働省の関係者を立ち会わせたそうですので、ここは当局を見習わないで欲しいです。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます