・新たなABC(著者の講演記録があります)
同調(Attunement)、浮揚力(Buoyancy)、明確性(Clarity)
・顧客開拓の勧誘電話で繰り出す得意戦術が、かなりの字数を費やして見事な筆致で三段階にわたって綴られている。まず、電話帳で名前を選び電話をかけるところから始める。
すると女性が電話に出る。「もしもし、コワルスキーさんですか。メロリス・シボレーのジョー・ジラードです。ご注文の車が用意できました」と伝える。さて、これはいきなりかけた勧誘の電話で、わたしが電話帳から把握しているのは、相手の名前、住所、電話番号だけだ。向こうはわたしが何を言っているのか理解できない。「番号をお間違えじゃないですか。うちは新しい車なんて注文してませんよ」という返事がくる。「本当ですか?」「ええ、もしそうなら主人から聞いているはずですもの」。「少々お待ちください」とわたし。「クラレンス・J・コワルスキーさんのお宅でありませんか?」「いいえ、主人の名前はスティーヴァンです」・・・「ああしまった、コワルスキーさん、こんな時間にお手間を取らせてしまって申し訳ありません。さぞかしお忙しい時間だったでしょうに」
しかし、ジラードは相手に電話を切らせない。話を続けて、釣り針に餌をつける。
「コワルスキーさん、もしかして新車のご購入などお考えではありませんか?」。もしこの夫婦が考えていたのなら、ここでイエスと答えるかもしれない。しかし、普通はこうだ。「いいえ、でも主人に聞いてみたらどうかしら」。そらきた、わたしが探していた言葉だ。「では、ご主人は何時頃お帰りですか?」「いつも六時前には帰宅するは」。よし、ほしかった情報は手に入った。「わかりました。コワルスキーさん。その頃にまたお電話します。でも夕食時でご迷惑になりませんか?」。夕食は六時半すぎだと聞き、私は感謝の言葉を伝える。
ここから、ジラードは次の段階に進む。
六時になったらどうするか、もうおわかりだろう。その通り。「もしもし、コワルスキーさん、メロリス・シボレーのジョー・ジラードです。今朝奥さんと話をしたとき、この時間ならお話できるとうかがいました。シボレーの新車をご購入を考えていらっしゃるようなことはありませんでしょうか?」。「いや」彼は答える。「今はまだ結構」。質問を続ける。「では、今度新車の購入を検討されるのは、いつ頃になるでしょうか?」。私が質問を率直に投げかけると、相手は考えてから答える。電話を終わらせたいだけかもしれないが、理由が何であれ、口に出したことはおそらく本心のはずだ。そのほうが、嘘をでっちあげるよりも簡単だからだ。「半年後に必要になるかもしれない」。その後、好意って電話を終える。「わかりました。コワルスキーさん。その頃にまたご連絡差し上げます。ああ、ところで、今乗っていらっしゃる車は?」。相手が答えたあと、お礼を言って電話を切る。
・アダム・グラント
内向的な担当者は外向的な担当者ほど成績を上げられなかった。一時間あたりの平均売上額は120ドルで、これに対して外向的な同僚は一時間あたり平均で125ドルだった。だが両者とも、第三グループである両向的な人たちほどの成績は上げられなかった。
両向的とは?
外交的にも内向的にも極端に偏ることがないタイプのことだ。先ほど紹介した、内向性・外向性の1~7までの尺度で表せば、両向的な人はだいたいその中間に位置する。1や2でないし、6や7でもない。グランドの研究では、コノゴルディロックス的性格――熱すぎず、冷たすぎず――の人は、一時間あたり平均で155ドルを稼ぎ、ほかのタイプの同僚の成績を軽々と超えた。実際、208ドルという最高平均金額をたたき出した担当者たちは、外向性の尺度が4.0で中間地点に位置した。
さらに、グランドが翌3か月間の総売上を、従業員の1から7までのスコアと照合したところ、ある顕著なパターンが明らかになった。何と、売上高は4~4.5のスコアえピークに達し、内向性や外向性の両極に近づくほど落ちているのだ。
・戦略的模倣のテクニックを会得するため
①観察する
②待つ
③控える
・ポジティブな感情とネガティブな感情の比率が同じ、つまり1:1だった人たちは、ネガティブな感情に圧倒的に支配されている人よりも、幸福度が高いわけでないとわかった。双方ともたいてい苦悩を抱えていた。さらに驚いたことに、比率が2:1の人たちもネガティブな感情が優勢な人たちより幸福度が高いという結果にはならなかった。だが、この2つの感情がある比率に達すると、すべてがうまくいく。その比率は2.9013で、小数点以下は不要な読者のためにフレドリクソンドは3に切り上げている。ひとたびポジティブな感情がネガティブな感情を上回り3:1に達する――すなわち、感謝の念、好奇心、満足感などの感情を三度味わうのに対して、怒り、罪悪感、困惑などを一度しか抱かないということ――と、一般的に人生を謳歌できるようになる。この比率を下回ると、そうならなかった。一方でフレドリクソンとロサダは、ポジティブの効果にも上限があることに気づいた。比率が高すぎる場合は、低すぎる場合と同様に非生産的になる。比率が11:1に達すると、ポジティブな感情は有益どころか有害な影響を及ぼすようになった。
・・・ネガティブな感情は、自分の行動に対するフィードバックや、機能することと機能しないことに関する情報、向上する術を教えてくれるのだ。
・何か悪いことが起こった際、次の三つの質問を自らに投げかけて、それぞれに「ノー」と言える懸命な見つけ出す。
①こんなことがずっと続くのだろうか?
②どこも同じ状況なのだろうか?
③自分のせいなのだろか?
・「列挙して甘受する」戦略を試す」
浮揚力を保つには、自分を沈ませるものが何かを、現実的に把握することも一つの手だ。
①列挙する
②甘受する
・ときおりネガティブになることも忘れないようにする
・明確性とは、見えていなかった様相を明らかにして、置かれた状況を理解できるようにする能力で、それまで存在に気づかなかった問題を突きとめる能力のことだ。
・解決すべき本当の問題を発見する
・自分のフレームを見つける
「今、季節は春なのに」
すると看板の全文はこうなった。
「今、季節は春なのに、私の目は見えていません」
・少ないというフレーム
24種類のジャムを並べたブースは訪れた客のうち、わずか3%しかジャムを買わなかった。一方、少ない種類のジャム(6種類)を並べたブースでは、30%の客がジャムを買った。
・体験のフレーム
体験で販売をフレーミングすることが顧客の満足度を高めて、リピート客につながりやすくなる。
・レッテルのフレーム
ポジティブなレッテルを貼りつける――自分たちをほかの生徒と比べてフレーミングする――だけで、生徒たちの行動の水準が上がったのだ。
・傷によるフレーム
大半の場合、難点についての情報をわずかに与えられた人のほうが、利点ばかり与えられた人よりもブーツを購入すると答える傾向が“強かった”。
・可能性のフレーム
達成よりも可能性のほうが、不確実な分だけ興味を引きやすいという。不確実だから、評価する人物について深く考えるようになる。
・出口ランプを見つける
どのように考えるか明確に示しても、どのように行動すべきか明確に示さなければ、人の心も行動も動かせない。
・仮に、あなたの娘がのらりくらりと先延ばししたり言い訳したりして、学年末の大事な代数の試験勉強に取りかかろうとしないとする。パンタロンのアプローチを用いるなら、娘に対して「さあ、勉強するんだ」とか「頼むから、勉強してくれ」とは言ってはならない。代わりに二つの質問を投げかける。
質問1「1が『これぽっちも勉強するつもりはない』で、10が『勉強する気持ち満々』だとしたら、1~10の間の数字で表すと、どのくらい勉強するつもりがある?」
娘がこれに答えたら、次の質問をする。
質問2「どうしてもっと低い数字を選ばなかったの?」
「これは誰もが不意打ちを食らう質問だ」と、パンタロンの著書『思い通りに相手を変える6つのステップ』で述べている。選んだ数字が“もっと低い”数字ではない理由を訊ねることが、変化のきっかけとなる。・・・
さらに重要なのは、あなたの娘が3ではなく4を選んだ理由を説明するとき、勉強する理由を告げ始めたことになるという点だ。
・なじみのない経験で衝撃を得る
・キュレターになる
①探す
②識別する
③共有する
・上手な質問の仕方を学ぶ
①質問を生み出す
②質問を改善する
③質問に優先順位をつける
・2つの問いをいつも投げかけて答えること
①自分緒売り込むものを相手が受け容れると承諾した場合、その人の人生は向上するだろうか?
②このやり取りを終えたとき、世界は当初よりよいところになるだろうか?
質問に対する答えがどちらか1つでも「ノー」ならば、あなたは間違いを犯しているのだ。
感想;
外交的な人の方が営業に向いていると思っていましたら、そうではなさそうです。外向的と内向的なバランス(3:1)が良いようです。
ネガティブな要素がないと反省して向上することもなくなるとのことです。
確かに甘みを強めるのに塩をほんの少し加えているようなものなのでしょう。
この本はセールスの視点でしたが、自分を高めていくことにも参考になるように思いました。
最後の自分への質問、売る/買ってもらうことが購入者にとってメリットがあることが前提なのでしょう。そしてそれが社会にとっても良いことにつながるかどうかも重要だと思いました。
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