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ダイハツ不正「奥平社長は辞任すべき」 自動車エンジンに長年携わった私が願う“自己チュー組織”再生への唯一道 ”良く理解できる記事です”

2023-12-24 10:23:45 | 社会

4月に発覚したドアトリム(ドアパネルを覆う部品)の認証不正事件を受けて5月に設置した第三者委員会の調査で、海外含めて64車種・3エンジンで、合計174件(国内142件)の不正行為が判明し、国土交通省に報告するとともに、全生産車の出荷を自主的に停止した。

東南アジアを中心とする海外での処置は、今後各国との調整で決まる、という。また「型式指定取り消し」について、ダイハツの奥平総一郎社長は、その可能性を否定しなかった。

第三者委員会の調査報告概要

報告書では、実務を担当する係長級までの関与はあったものの、部室長級(管理職)からの指示や黙認といった「組織的な不正」は認められず、「やむにやまれぬ状況に追い込まれたごく普通の従業員」が不正を行ったとし、直接的な原因として

●短期開発スケジュール(2011年のミラ・イースの成功体験が常態化)が生む極度のプレッシャー
・認証試験は合格して当たり前、不合格で販売計画を変更することはあり得ない
・不具合があっても、トップの決断がなければ、役員でさえ変えられない販売計画

●現場任せで管理職が関与しない態勢
・管理職が(管理スパンが広すぎて)多忙で、認証に関する問題解決能力もなく、相談しても「で、どうするの?」と問い返されて、結局担当者が抱え込む

●チェック体制の不備
・認証業務はブラックボックス化し、不正やごまかしが見つからない。担当者頼み

●法規の理解が不十分
・過去のグレーな方法の踏襲と、勝手な判断のまん延

●現場担当者の法令順守意識が希薄
・認証関連の研修はあったが、法規認証室の人員削減で、不十分だった

の五つを挙げている。

厳しい指摘と問題の根源

さらに、これらの原因を生み出した「真因」として、次のふたつが挙げた。

●不正対応の措置を講じることなく「短期開発」を推進した経営の問題
・不正行為に関与した従業員は経営の犠牲になったといえ、強く非難することはできない
・ダイハツの経営幹部のリスク感度は鈍かったといわざるを得ない
・経営幹部は認証業務の経験がなく、認証プロセスに対する関心も薄い

と厳しく糾弾し、

●ダイハツ開発部門の組織風土の問題
・実務者と管理者との乖離(かいり)、部署間の連係不足、失敗すると個人を責める、開発人員不足等の課題を産む背景には「自分や自部署(自工程)がよければ、他人がどうであっても構わない」という風土がある。

と指摘する。これは前工程と後工程にも気を配る、「品質は工程でつくり込む」という原則に基づくトヨタの「自工程完結」とは正反対だ、

以下は、第三者委員会が不正のあった部署の役職者を対象に実施したアンケートの自由意見の一例である。

「子会社化により新興国向け車両を任され(トヨタの遠心力と呼ばれる)(中略)失敗の挽回策と余裕のない日程が(中略)担当者や役職者に相当なプレッシャーをかけ(中略)身の丈に合わない開発を、リスクを考えずに進めたことが大きな要因だと思う」

不正が示す業界共通の脆弱性

ダイハツの奥平社長は「経営陣の責任」と明言したが、退陣やトヨタとの関係解消は否定した。

日野自動車の認証不正事件との類似性や、当時ダイハツは国土交通省の指示で同様の事例を調査していたはずだが、なぜそこで発覚しなかったのか――。説得力のある答えはなかった。

原因や真因はダイハツ固有のものではなく、他の自動車会社も似たような状況にある。では、なぜダイハツだけが長期かつ大規模な不正を行ったのか、という質問に対して第三者委員会は

「『管理者の現地現物』や『実務者との対話』がほとんどない」

ことがダイハツの特異性、だと回答した。しかし、報告書の法規認証業務や開発体制について正確に理解し、切り込む質問はなかった。

大手自動車会社でエンジンの企画・設計・開発に長年携わってきた筆者(大場徹、技術開発コンサルタント)は、主に米国中心ではあるが、乗用車エンジンの認証実務の経験がある。ここからは、第三者委員会の報告書をもとに本件を分析する。

なお、第三者委員会の調査にあたっては、専門性の高い認証関係について、ドイツの技術検査機関であり世界第7位の認証企業であるテュフ・ラインランド・グループの日本法人であるテュフ・ラインランド・ジャパン(TRJ、神奈川県横浜市)の協力を得た。

三種の認証違反の舞台裏解説

今回の不正174件について、報告書は

・試験時の不正な加工と調整(28件)
・試験成績書類への虚偽記載(143件)
・試験データの捏造(ねつぞう)や改ざん(3件)

の三種類に分類した。これらはすべて認証試験に関するもので、設計に関するものではない。具体的な事例を各1件紹介する。

まず「試験時の不正な加工と調整」について。認証試験用エンジンに、公差外の圧縮比設定、吸気通路径の拡大、エンジン制御コンピューターの書き換えなど、外観から判別できない加工や調整を行っていたと判断された。特に指定がなければ、設計公差内での部品の選別や調整(気筒間の圧縮比や運動部品重量のばらつきを低減する調整等)は可能だが、ダイハツの事例は許容範囲を完全に逸脱している。

次に「試験成績書類への虚偽記載」。これはダイハツでまん延していた。試験を実施した車両の重量が規定範囲より軽く、試験自体が無効だったにもかかわらず、再度試験を行うことなく、試験成績書には規定範囲の重量値を記載して合格させた事例があるが、法規上問題がないのに虚偽記載をした事例もあり、認証書類の意味を全く理解していない、といえる。

三つ目の「試験データの捏造や改ざん」は、ポール衝突試験で、試験結果を捏造(他の類似試験の結果を流用)して試験をせずに合格させた事例だ。日程も試験車もないため書類を偽造したのだが、それが社内を通りぬけたことも大きな問題である。

いずれも、法令順守の意識はないと筆者は考える。

ダイハツは国土交通省に対し、今回認定不正が確認された142件のうち141件について、TRJが基準適合性と諸元値の妥当性を確認したと説明している(1件は不適合の可能性あり)。つまり、設計は正しく「不正が故障や事故を招くことはない」ということなのだが、この説明を理解できない人も多いだろう。

例えば、米国の認証では、排ガス性能に影響するシステム、配管図、燃費ラベルなども提出するが、部品(設計)が正しくても、認証書類の記載内容に誤りがあれば、リコール対象となる。

つまり、型式認証制度では、認証書類は「試験車の代替物」なのだが、多くのダイハツ社員の多くにその認識はなかった。

経営陣の判断ミス

ダイハツは品質保証・認証業務の仕組みを整備していたのか。報告書によると、開発と法規認証業務における品質保証ついて、設計の各段階で「法規制に対する適合性確認」作業の実施が規定され、その有効性を検証する「品質監査」の実施も規定されている。

法規はどの国でも公開されており、日本では国土交通省が保安基準を、交通安全環境研究所が適合性を証明する新型自動車の試験方法「TRIAS」を公開しているが、明記されていない事項もある。例えば米国認証では、全般に

「good engineering judgment(適切な技術的判断)」

が要求される。しかし、何が「適切なのか」について明確な記述はなく、当局との調整が必要な場合もある。また、技術の進化や社会的要請(排ガス、燃費、衝突安全性)の高まりにともない、法規も進化する。最新情報を把握し、内容を正確に理解するためには、高度な専門知識と多大な労力が必要となる。

そのため、ダイハツでは法規認証室という専門部署を設け、全社的な研修や「eラーニング」と呼ばれる自習システムなどを提供している。しかし、コスト削減のため、2011(平成23)年以降、法規認証や衝突試験の担当者が削減され、研修が不十分な状況が続いていた。

一方、2015年以降はトヨタからの業務依頼が増えたため増員したものの、削減前の水準には戻っていない。これは経営陣の判断ミスである。

不正の歴史は古く、1989年から始まっている。当時は実務担当として自覚なく不正を行い、現在は管理職になっている社員もいるだろう。これも不正に気づかなかった土壌かもしれない。

具体的な再発防止策

報告書は、真因であるダイハツの「自分や自工程さえよければ、他人や他部署がどうなってもよい」という自己中心的な組織風土が、現場の問題を吸い上げて解決する「部門人事機能の弱体化」から生まれたと指摘した。具体的な再発防止策は次の9項目だ。

・経営幹部から従業員への反省と出直し決意表明
・硬直的な「短期開発」のうち、開発と認証プロセスの見直し
・開発と認証プロセスに対し相互牽制力のある組織への改正
・法令順守と自動車法規に関する教育の強化
・職場コミュニケーション促進と人材開発の強化
・内部通報制度の信頼性を向上させるための取り組み
・経営幹部のリスク感度を高める取り組み
・改善の本気度を示す経営幹部のメッセージの継続的な発信

そして、最も重要な再発防止策が

・再発防止策を立案・監視する特別な機関の設置


である。

奥平社長の重い経営責任

世の中には問題が起きると担当者に責任を転嫁する企業が多いなか、トヨタの指導だろうか、ダイハツが潔く経営責任を認めたことは評価できる。役職者のアンケートを読むと、短期開発とコスト削減という会社の方針を理解し、その実現に向けて真剣に努力していることがよくわかるし、自分たちだけでは解決できない泥沼にはまった苦しさも理解できる。

役職者が過剰な管理スパンで苦しめば、担当者を救う者はいないし、どうしようもない。それでも、大半の車が法規に適合しており、ほとんどのユーザーが故障や事故の危険にさらされることがないのは救いである。

信頼失墜、サプライヤー補償、販売減、型式認定再取得(?)など、ダイハツのダメージは大きい。 しかし、経営陣から担当者まで、全社的、多面的な変革のチャンスでもある。

ダイハツは、今後成長が見込まれる東南アジア市場に適した「コンパクト」で「廉価」な車づくりにかけては、トヨタよりも優れている。保有する人材や設備の規模も大きく、トヨタが手放すことは考えにくい。

もちろん、ダイハツはトヨタから再発防止を厳しく求められ、監査を受けることになるだろう。しかし、ようやく出口を見いだした社員は気力を取り戻すだろう。

一方、現経営陣、特に長年トヨタの車両開発全般を指揮してきたにもかかわらず、問題を顕在化させなかった奥平社長の責任は重い。奥平社長は、再発防止を円滑に進める体制を整えた上で辞任すべきだ。

トヨタの豊田章男会長は「ベストカーWeb」のインタビューで

「ダイハツにも、制度としてはそういう機能があると思うのですが、本当にアンドンを引っ張ってラインを止めると叱られてしまう、そんな環境にあったのではないかと想像します」

と語っていた。アンドンとは電光表示盤で、ラインを効率的に管理するためのツールである。異常が表示されれば、担当者が処置を行って原因究明と再発防止に努める。

ダイハツでアンドンを引けたのはトヨタ出身者だけだろうが、結果として誰も引かなかった。

感想
 経営再建で、奥平社長の続投はおかしいと思いました。
この記事の著者も同じ考えでした。

 今回の問題を引き起こした一番の責任者が、続投はありえないでしょう。
自己弁護がどうしても起きます。
 不祥事を起こして、それも安全という重要な項目で、トップが変わるのは必須であす。
 トヨタの姿勢も問われるでしょう。


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