英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『相棒season10』 第10話(元日SP) 「ピエロ」

2012-01-03 19:26:38 | ドラマ・映画
 新年早々から『相棒』が観られるのは嬉しいのですが、頭がドラマモードになっていないので、4日か5日ぐらいにして欲しいです。
 昨年の正月SPは個人的には最低だったのと、今シリーズはテーマが重く、右京の推理の見せ場も少なかったので、正直、期待はしていませんでしたが、面白かったと思います。尊君(及川光博)も頑張ったし、右京(水谷豊)もフル稼働でした。多少どこかの執事さんの妄想気味というほどでしたが。

序盤から「あれっ?」とか「何だろう」と思わせる謎や疑問が多く、それを後半から終盤にかけて、上手に回収して「ああ、そうだったのか」と感心することが多かった。
①草壁(吉田栄作)が警官を射殺した理由は?
 人質への接し方から、草壁はかなり優しい男。その彼が、警官を射殺した。その理由が分からず気になっていたが、警察無線を傍受するための基盤を得るためだったとは。
 しかも、それことを突き止め逆用してしまう右京は恐るべし。

②正月飾りの際、つけ忘れた飾りが……
 刑事部長と参事官の嫌がらせの単なる導入と思えたシーンだったが、人質と行動を共にするための小道具になろうとは。それにしても、正月飾りをコサージュと言い切る尊君は大したものである。

③劇場に残した半券から、草壁の身元が突き止められたが…
 チケットを使用したのはピエロ役の速水(斉藤工)のはずなのにと思ったら、草壁は毒殺されてしまうという意外な展開。犯行グループがテロリストと思わせるために利用されただけだった。

④「ニセモノの青空と白い雲」の謎など
 写真の裏に書かれた言葉であるが、これが速水の犯行の動機の根底にあるものだった。
 その他、手帳に書かれた謎の言葉から速水のターゲットを突きとめたり、古い「区便り」も犯行動機に関係していた。
 すぐに謎を回収するのではなく、後に核心に迫るというのが良かった。視聴者にもやっとした謎を残しておいて、あとから解明するという手法自体はよくあるが、ストーリーに緊迫感があるので、モヤモヤの霧が晴れていくような感じで面白かった。

⑤島村加奈(大橋のぞみ)の活躍 ちょっと活躍させ過ぎとも思うが、尊との関わり合いや暗闇の克服など見どころも多かった。子どもたちの扱いは尊ならではだと思った。

 社会風刺も織り交ぜる
・「ピエロ」について
 速水も自身をピエロに見立てていたのだろう。社会に矛盾を感じて犯行に及んだが、社会を変えることなどできはしないと思っていたようだ。
 草壁も同様で、本気で事が成せるとは思っていなかったようだ。本気でやるのなら、もっと、信頼のおける仲間を多数集めたはず。まあ、自決するようだったので、誘拐できればほとんど目的に到達したと考えたのかもしれない。
 もう一人、ピエロとして警察庁警備局の大友重雄課長(目黒祐樹)。草壁をマークしていたとして、警視庁の捜査を監督するという立場に立ったが、犯人に振り回されて、事件解決は右京(警視庁)によってなされ、嘲笑の拍手の中、退場させられてしまった。

 右京は犯人像を、「テロリストと言うより愉快犯のの手法で、おどけて人を笑わせ、その実悪意を込めた暗い内面を抱え込んでいる道化師のような」と推測している。

・現代の情報社会と風潮
 ツイッターが原因で、尊の身元や警察ぬ動きが犯人グループに知られてしまう。情報を発するという優越感は感じても、それがどういう結果に繋がるかを考えない世間の人々。情報過多社会の怖さを感じた。
 草壁の「この国は責任を負おうとしない」という指摘も、なかなかの風刺だった。

キャラも光っていた
 右京と尊の活躍はもちろん、米沢さん(六角精児)は役に立ったし、芹沢(山中崇史)は撃たれた上、最後は恋人とのツーショットのお馬鹿メールで笑わせてくれた。組対5課の刑事も台詞があった。
 それに、怖い顔の伊丹(川原和久)と右京のコンビもなかなかよかった。
 しかし、何と言っても内村刑事部長(片桐竜次)が大活躍
 大友課長に牛耳られ仰け反ったものの、警視庁のメンツを守るために右京を活用。特に、警察無線登頂を逆手に取る右京の進言を「いいだろう。失敗したら、俺は知らなかったことにしておけ」と了承。腰巾着の中園参事官(小野了)も大変だ。
 さらに、速水確保後「いやあ、あなたがたの捜査方針をそっちのけで、事件を解決してしまって恐縮の極みです。警視庁の刑事は優秀ですなあ」と拍手で大友課長を追い出す。なかなかやってくれる。

疑問と突っ込み
・デパートの売り上げを狙った速水たちはともかく、本気でテロを画策した草壁が夜が明けるのを待つというのは悠長過ぎる
「全然平気」という言い回しが気になった。
・平野亮太が妻の出産を気遣って仕事を休んだらどうなったのだろう?あまりにも不確定な計画のような気がした。
・上流階級を相手にするのに、キッズクラブは庶民的すぎる。担当する人員も少なく、保護力(防御力)も低そう。高野(比企理恵)も所長にしては、スキル低そう。
・犯行グループの尊に対する監視が甘い。バスで警察手帳を隠したり、メモを残すのを見逃す。監禁場所でも、わざわざ手錠を外し、放置状態。監視カメラもショボイ。コサージュをわざわざ持ち主を探して返してあげるのも優しすぎる。
・大河内(神保悟志)は「角田課長は草壁の資料を調べるのを手伝うはずだったんです」という絶妙の嫌み以外に、活躍の場がなかった。
・「蒲田のガレージで乗り換えた」……読唇術もすごい。「浜田」や「カナダ」かもしれないのに。
・検問を見て引き返す時、エンストって!
・警官の無線機の基盤を奪うため、警官を射殺。殺した方がその目的を悟られにくいとは言え、草壁の人間性を考えると、射殺は整合性がない。
・速水は草壁を殺す必要があったのか?これも、速水のキャラに合わない。
・加奈は、現金輸送車のナンバーをどうして知ったのか?私がその経緯を見逃したのか?
【補足・訂正】
尊が速水と話している時(尊が偽情報の電話を掛けさせられる直前)、一味の仲間が「早くしないとA467が出ちまうぜ」とか叫んでいた(かつぜつが悪く、よく聞き取れなかった)。それを尊が覚えていて、加奈に渡したメモに書いておいたようだ。




【ストーリー】(番組サイトより)
 刑事部長に命じられ、神戸尊(及川光博)が開演直前のオペラハウスに証拠品の返却に一人で向かうと、ロビーで子供たちを引き連れたピエロ(斎藤工)にぶつかる。不審に思い、子供たちが乗り込んだ送迎バスへと向かうと、車内にいた男が少女(大橋のぞみ)に拳銃を突きつけ「あなたも一緒にきてもらいましょう」と尊を強引にバスに引き込み、尊は子供たちととともに誘拐されてしまう!

 尊と連絡がつかないことを不審に思った右京(水谷豊)は独自に捜査を開始!

 現場に残されたわずかな証拠や防犯カメラの映像から尊や子供たちが何かしらの事件に巻き込まれたと推理。本部に連絡し、警視庁のみならず警察庁をも巻き込む一大事件捜査へと発展する!

 7人の子供たちと尊を誘拐した犯人グループの狙いとは?

 尊や子供たちを匿う犯人グループと右京の長い長い駆け引きが始まる。その果てに見えてきた真実とは?

ゲスト:斎藤工 遠藤雄弥 大橋のぞみ 目黒祐樹 吉田栄作

脚本:太田愛 監督:和泉聖治
コメント (10)
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