英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『ストロベリーナイト』 第2話、第3話「右では殴らない」

2012-01-25 19:40:41 | ドラマ・映画
 前後編モノだったので、記事をまとめます。
 玲子(竹内結子)自身が「テロだの暴力団同士の抗争だ複雑に考え過ぎで、真相はもっと稚拙な犯行だった」と語ったように、いろいろ紛れを絡め、ストーリーを広げ複雑にしたが、2週間の前後編ものの欠点が出てしまった。
 前編が終わった段階で、真犯人が見え見えだったので、玲子たちが真相に迫っていく段階も緊迫感を感じず、間延びした印象になってしまった。これは、前編で視聴者に情報を開示するフェアな姿勢が裏目に出てしまったとも言える。 間延び感をなくすため、ガンテツ(武田鉄矢)の部下の朝倉刑事(戸田昌宏)の殉職を盛り込んだが、これにもいろいろ感じることがあった(後述します)。
 そんな中、最後の最後でタイトルの「右では殴らない」の意味を判明させたのには「やられた」という感じで、ニヤリとさせられた。


 今回も気になる点が多かった。
①テロなの?
 違法ドラッグに劇症肝炎を引き起こす薬物(アセトアミノフェン)を混入する無差別?殺人をテロではないかと監察医の國奥定之助(津川雅彦)は示唆したが、(定義が一定ではないが)テロとは「社会への何らかの訴えかけが意図された、物理的被害よりも心理的衝撃を重視する暴力行為」という解釈が一般的で、政治的思想を実現する目的を伴うことが多い。
 なので、劇症肝炎で死亡した3人が全員、違法ドラッグ服用者と判明した段階で、テロと考えるのは、あまりにも短絡的である。
 テロを広義で「政治的思惑が絡まない大量無差別殺人」と解釈しても、被害者が3人では、テロと呼ぶには無理があり、せいぜい「連続殺人」か「愉快犯」ぐらいが妥当であろう。

②現場での対抗意識による情報の占有
 実際の警察もそうなのだろうか?
 「手柄を立てる」が第一目的だとしたら、嫌だな。実際、飲酒運転の取締りなんて、「悪質」と呼べるものが多いけれど。
 各班が得た情報を、その班だけで占有するのは、誤った捜査をしてしまう可能性が高くなり、実際、姫川班もその轍を踏んでしまった。

③捜査に関係なければ、売春を見逃す
 ガチャゲーで被害者たちと接触した女子高生たちは援助交際をしていた。しかし、刑事たちは事件の真相を追うことが第一で、女子高生たちを放免。
 最後に、玲子が真犯人の女子高生・美樹(大政絢)に売春について激昂しても、説得力がない。

④勘と勢いに任せて突っ走る玲子、パート1
 下坂勇一郎(北見敏之)を「任意」で取調べしたが、表題の「勘と勢いに任せて突っ走る」玲子の大失態。
 「勘」を重視するのは悪いことではない(将棋においては、第一感は重要な要素)が、あれだけの重要人物を裏づけなしで引っ張るなんて、迂闊としか言えない。玲子の手腕に大きな疑問符が!……「お姫様」と揶揄されても仕方がないぞ。
 ただ、これは玲子が悪いと言うよりも、これも前後編ものにした弊害と言っていいかもしれない。
 それに、取り調べの質問の順序も疑問。
 慎重に行わなければならないのだから、ガチャゲーの通信記録やクレジットカードの使われた記録など事実の確認の質問から入るべき。いきなり犯人扱いしなくても。この失敗も、このストーリー上の都合だが、これではノンキャリアでしかも女性でありながら、班長に抜擢されたほどの手腕だとは思えない。

⑤朝倉刑事(戸田昌宏)の殉職
 人の良さそうな人で、いつも何か玲子に言いたげなそぶりだったが、ほとんど活躍せずに殉職してしまった。もう少し活躍するか、何か重要な鍵を握っているのかと思っていたのに。
 彼の家族の話題が出た時点で、死亡フラグが立ってしまい。暴力団にガチコム直前のガンテツの様子で死亡が確定してしまった。
 それにしても、あの場面で暴力団の事務所に突入するのは、自殺行為としか思えず、不可解な行動だ。撃たれた際、階段から転げ落ちたが、その落ち方は壮絶。スタントマン?大丈夫だったのかな。
 彼の死は、美樹が間接的原因であったが、大きな要因としては、暴力団の抗争を煽ったガンテツである。ガンテツ自身、それを非常に悔いてはいたが。

⑥勘と勢いに任せて突っ走る玲子、パート2
 違法ドラッグ「ゼブラ」のデザイン、実はゼブラではなく牛(ホルンスタイン)だった!
 そこで、美樹のホルンスタイン柄のスリッパを連想する。さすがである(笑)。いえ、ゼブラではなくホルンスタインだったというオチは、けっこう好きである。
 美樹を取り調べる際の玲子の力説。その論理自体、かなり強引で説得力に欠ける。職業だからソープは良い(まあそうなんだけど)とか、結婚した先まで援助交際のことを教えたり、無関係ではないとは言え、朝倉刑事の死も「お前が殺した」と言うのは言い過ぎであろう。
 かなりの迫力ではあったが、あの切れ方は、オチ「右では殴らない」の伏線だったのね。

⑦劇症肝炎を引き起こすカプセルを作った張本人の意図が分からない
 美樹へのご機嫌取りだったとのことだが、美樹を殺すためでなかったのなら、なぜ毒を入れたのだろう。さっぱり分からない。(←ガリレオ・福山調で)



 凝った映像や見せ方などは良いし、姫川班のキャラも良いし、事件も興味深く、面白いと思うところも多いが、残念・疑問も多いドラマだ。



 
【ストーリー(第2話)】番組サイトより
覚醒剤使用の痕跡がある男性が劇症肝炎で死亡する症例が立て続けに発生した。本来は覚せい剤取締法違反の事件だが、姫川玲子(竹内結子)は監察医の國奥定之助(津川雅彦)のアドバイスから連続殺人ではないかと捜査を開始する。被害者の独身サラリーマン3名は、西ヶ原警察署、亀有西署、高円寺警察署、それぞれの管内で発見されていた。

今回の捜査の座組みは姫川班と三係の島班、遺体が発見された各所轄から生活安全課と刑組課の刑事が入るという。玲子のことが好きな井岡博満(生瀬勝久)も捜査に加わった。島班の島千秋(小木茂光)は菊田和男(西島秀俊)の師匠で、ひたすら足を使い、可能性を一つずつつぶしてホシにせまるタイプの手ごわい相手。玲子の気がかりはガンテツこと勝俣健作警部補(武田鉄矢)が介入してくること。しかし、ガンテツは暴力団構成員が殺害された事件に駆り出されていた。

玲子たちの捜査は薬物テロの線で進められる。被害者3名をあたっていた姫川班は、彼らがオンラインゲームサイト“ガチャゲー”に会員登録をしていて、ゲームの中で共通の相手と接触していたことを突き止める。玲子はホシがゲームの中で知り合った不特定多数の相手に毒入り麻薬を配っている可能性を疑う。

ゲームサイトの捜査協力で被害者全員がゲーム内でチャットしていた相手、4人が割れた。しかし、4人中3人は女子高校生。しかも、彼女たちは援助交際が目的で被害者と接触していたことが分かる。残る1名は、ゲーム内でシドと名乗る男。その男は医師で薬物を入手することも可能だ。玲子は捜査会議でこの男、下坂勇一郎(北見敏之)の任意同行を求める。だが、下坂は民間人ながら現総理大臣の政策ブレーンを務める大物。橋爪俊介管理官(渡辺いっけい)は玲子に自重を求めるのだが、今泉春男係長(高嶋政宏)は任意同行を許可する。


一方、暴力団構成員殺害事件を捜査していたガンテツは、玲子たちが追う違法薬物を入手していた。ガンテツは暴力団同士の抗争に薬物が関与していると考える。もちろん、手柄を自分のものにするため、玲子たちに報告などする気はない。

玲子たちは下坂を警視庁に連れてきた。早速聴取を始めるのだが、下坂はガチャゲーなどに心当たりはないと言う。それでも玲子が食い下がっていると、今泉に呼び出される。島がガンテツの動きに気づいて報告したのだ。また、今泉は下坂がゲーム内でシドと名乗る人物ではないという証拠が挙がったと告げて…。

【ストーリー(第3話)】番組サイトより
姫川玲子(竹内結子)は一連の違法薬物による死亡事件で、会員制ネットゲームでシドと名乗り毒入り麻薬、ゼブラをばらまいた疑いがあると下坂勇一郎(北見敏之)を任意同行する。しかし、シドが被害者と接触した時期に、下坂はゲームにアクセス出来ない状態だったことが判明。また、本人もネットゲームなどは知らないと証言した。

その頃、島千秋(小木茂光)は六本木署がゼブラを追っていることを知る。六本木署は、ガンテツこと勝俣健作(武田鉄矢)とともに暴力団組員の殺害事件を捜査していたのだが、そこからゼブラが浮かんでいたのだ。そんな時、新たな毒入り薬物の被害者が出てしまう。4人目の被害者もネットゲームの会員だったのだ。

勝俣は一人の部下を失いながらもゼブラを配布した犯人として暴力団組長を逮捕。だが、組長は模倣犯にすぎなかった。

特別捜査本部は勝俣班を吸収して続行される。ネットゲームのつながりから、もう一度捜査をやり直す姫川班。すると、シドという名で使われた下坂のカードは偽造されたものだと判明。薬物テロ、暴力団と否定されてきた事件。そして真犯人を想像する玲子の脳裏に浮かんだ人物とは…。
コメント (2)
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