漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0622

2021-07-13 19:46:27 | 古今和歌集

あきののに ささわけしあさの そでよりも あはでこしよぞ ひちまさりける

秋の野に 笹分けし朝の 袖よりも あはで来し夜ぞ ひちまさりける

 

在原業平

 

 秋の野の笹を分けて歩いた朝よりも、あなたに逢えずに帰ってきた夜の方が、涙で一層袖が濡れているのですよ。

 早朝に笹の間をかき分けて歩くと、笹に置いた朝露で袖が濡れる。でも、愛しい人に逢えずに帰ってきた夜には、涙でもっと袖が濡れるというわけです。これは女性に向けて贈った贈答歌。女性からの返し(0623)とともに、伊勢物語第二十五段にも載っています。