古今和歌集 0612 2021-07-03 19:58:47 | 古今和歌集 われのみぞ かなしかりける ひこぼしも あはですぐせる とししなければ われのみぞ かなしかりける 彦星も あはで過ごせる 年しなければ 凡河内躬恒 私だけが愛しい人に逢えずに悲しい思いをしているのだな。あの彦星でさえ、織姫に逢わずに過ごす年はないというのに。 年に一度しか逢うことができないというトーンで語られる彦星と織姫を、逢えない年はないという逆の観点で取り込むことで、逢瀬の叶わない恋に苦しむわが身の悲しさを歌うという機智。