みるめなき わがみをうらと しらねばや かれなであまの あしたゆくくる
みるめなき わが身をうらと しらねばや かれなで海人の 足たゆく来る
小野小町
いくら言い寄られても私の方は逢うつもりがないとは知らずに、あなたは縁を切ろうともせず、足がだるくなるほど通って来るのですね。まるで、海松布(みるめ)の生えない浦だとも知らずに、それを採ろうとやって来る海人のように。
0622 に対する返歌。掛詞を多用することにより、自然の情景(海松布も生えない荒涼とした浦)と作者の心情とを巧みに一体として詠み込んでいますね。