漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0734

2021-11-02 19:44:55 | 古今和歌集

いにしへに なほたちかへる こころかな こひしきことに ものわすれせで

いにしへに なほ立ち帰る 心かな 恋しきことに もの忘れせで

 

紀貫之

 

 昔の思い出の日々にやはり立ち帰ってしまう心であるよ。恋しいという気持ちを忘れることもなく。

 今は関係が壊れてしまって辛い日々だけれども、恋に満ちていた日々を繰り返し思い出してしまうという歌。たった二文字の「なほ」の一語がこの歌の深みを増させていますね。