漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0742

2021-11-10 19:14:17 | 古今和歌集

やまがつの かきほにはへる あをつづら ひとはくれども ことつてもなし

山がつの 垣ほにはへる 青つづら 人はくれども 言伝てもなし

 

 

 あの人は、私の住む里にやって来ることはあるのに、わたしへの言伝てすらも残してはくれない。

 第三句までが「くれ(繰れ)」を導く序詞。それが同音の「来れ」との掛詞になっていて、いとしい人が別件で近くにはやって来る機会があるのに、自分のところに寄るのはおろか、伝言さえも残してはくれないという、恨み言を詠んでいます。