漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0749

2021-11-17 19:46:36 | 古今和歌集

よそにのみ きかましものを おとはがは わたるとなしに みなれそめけむ

よそにのみ 聞かましものを 音羽川 渡るとなしに みなれそめけむ

 

藤原兼輔

 

 あの人の噂を、自分とか関わりのないものとして聞いていれば良かったのに、渡ったこともない音羽川の水に慣れるかのように、見慣れ始めてしまったのだろう。

 03910417 に続いて、藤原兼輔(ふじわら の かねすけ)の歌が3度目の登場。第五句の「みなれ」が「水慣れ」と「見慣れ」の掛詞になっていることに加え、「音羽川」の「音」が「噂」を連想させるという、なかなかに技巧的な歌です。一読しただけでそうした含みが理解できるようになったら、より深く和歌の世界を味わうことができるのだろうと思いますが、なかなかそこまでは行きつけないですね。 ^^;;