漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0756

2021-11-24 19:06:49 | 古今和歌集

あひにあひて ものおもふころの わがそでに やどるつきさへ ぬるるかおなる

あひにあひて もの思ふころの わが袖に 宿る月さへ 濡るる顔なる

 

伊勢

 

 逢瀬を重ねた頃を思い返し、もの思いにふけって流した涙に濡れた袖に映る月までもが、私と同じ涙顔になっていることよ。

 初句「あひにあひて」を「逢ひに逢ひて」と解釈しましたが、「合ひに合ひて」ととる説もあり、その場合は「月と自分が同じ切ない気持ちで同じ涙顔になっている」意となります。前者の方が自然な解釈に思えますが、それは現代語の感覚ゆえかもしれません。