うきめのみ おひてながるる うらなれば かりにのみこそ あまはよるらめ
うきめのみ 生ひて流るる 浦なれば かりにのみこそ あまは寄るらめ
よみ人知らず
浮き海布ばかりが育って流れている浦に狩りに来る漁師のように、憂き目ばかり見ているわたしのところにあなたは仮そめにしか来てくれないのでしょう。
「うきめ」が「浮き海布」と「憂き目」、「かり」が「狩り」と「仮」の掛詞になっていて、さらに「浦」を自身に、「あま」を思いを寄せる相手に準えての詠歌で、歌全体に巧みに二重の意味を持たせています。