おもひいでて こひしきときは はつかりの なきてわたると ひとしるらめや
思い出でて 恋しき時は 初雁の なきてわたると 人知るらめや
大伴黒主
あなたのことを思い出して恋しい時には、初雁が鳴いて渡るように私も泣き続けていると、あなたは知っているだろうか。
六歌仙の一人、大伴黒主の歌が 0088 以来久々の登場。「なきてわたる」に、「(雁が)鳴いて渡って行く」と「(わたしが)泣き続けている」の両方の意を持たせていますね。詞書には、「ひそかに知り合った相手となかなか逢えずにいるので、その人の家の近くに行ったとき、雁が鳴くのを聞いて詠んで送った」とあります。