漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0860

2022-03-08 04:37:30 | 古今和歌集

露をなど あだなるものと おもひけむ わがみもくさに おかぬばかりを

露をなど あだなるものと 思ひけむ わが身も草に 置かぬばかりを

 

藤原惟幹

 

 これまで、どうして露をはかないものと思っていたのだろうか。草に置かないというだけで、わが身も同じようにはかないものであったのに。

 詞書には「身まかりなむとてよめる」とあります。草に置く露をはかないものと思っていたけれども、なんのことはない、わが身も同じくはかないものであったとの、辞世の詠歌ですね。
 作者の藤原惟幹(ふじわら の これもと)は不詳の人物で、名前以外にわかっていることはほとんどありません。古今集への入集はこの一首のみです。