かぎりなき きみがためにと をるはなは ときしもわかぬ ものにぞありける
限りなき 君がためにと 折る花は 時しもわかぬ ものにぞありける
よみ人知らず
ある人のいはく、この歌は、さきのおほいまいうちぎみのなり
この上なくすばらしいお方であるあなたさまのために折って差し上げる花は、季節にかかわらずいつも咲いている花でした。
「限りなき」はここでは身分に限りがない意。「最高の身分」ということですから、時の天皇を指すのでしょう。
作者との説があるとされる「さきのおほいまうちぎみ(前大臣)」は、前太政大臣の藤原良房(ふじわら の よしふさ)のこととする説もある一方、それならば「おほきおほいまうちぎみ」と書かれるはずで、「前大臣」が誰のことを指すのかはわからない、とする見解もあるようです。