漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0900

2022-04-17 06:13:36 | 古今和歌集

おいぬれば さらぬわかれも ありといへば いよいよみまく ほしききみかな

老いぬれば さらぬ別れも ありといへば いよいよ見まく ほしき君かな

 

在原業平朝臣母

 

 老いてしまうと避けられない別れがあると言いますから、いよいよお会いした君でありますよ。

 詞書には、業平の母が長岡に住んでいた時、業平が宮仕えで忙しく時々も母の元を訪れずにいたところ、12月頃、母から急ぎのことと言って手紙が届けられたので見たところ、文章はなくて歌が書かれていた、とあります。年老いた母が、息子の出世を喜びつつも、老い先短いわが身を悟って、死が訪れる前に息子に会いたいと願う歌ということですね。
 作者の在原業平朝臣母(ありわら の なりひらあそんのはは)は、第50代桓武天皇の子で、第51代平城天皇の子阿保親王の后。古今集への入集はこの一首のみです。

 無事、900番目の歌のご紹介ができました。残り200首とちょっと。先が見えて来たかな?