おほあらきの もりのしたくさ おいぬれば こまもすさめず かるひともなし
大荒木の 森の下草 老いぬれば 駒もすさめず 刈る人もなし
よみ人知らず
大荒木の森の下草は盛りを過ぎてしまったので、馬も食べないし刈る人もいない。
左注によれば、上三句は「桜麻の 麻生(をふ)の下草 老いぬれば」とも伝わっているとのこと。初句の「大荒木」は、地名とする説と、「大殯(天皇などの遺体を葬儀まで安置しておく場所)」を指すとする説があるようです。「すさむ」は物事に興じる意。老いて他者から相手にされなくなった嘆きの歌ですね。