漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 615

2024-12-21 05:24:54 | 貫之集

おもひあまり こひしきときは やどかれて あくがれぬべき ここちこそすれ

思ひあまり 恋しきときは 宿離れて あくがれぬべき ここちこそすれ

 

思いあまるほどにあの人が恋しいときは、家を離れて身も心もどこかへ行ってしまいそうな心持ちがするよ。

 

 第三句の「あくがる」は「上の空になる」「どこともなくさまよう」意で、本来あうべき場所から離れること。身体にも心(魂)にも使われます。現代語の「あこがれる」はもともとそういう意味なのですね。