しづはたに みだれてぞおもふ こひしさは たてぬきにして おれるわがみか
倭文機に 乱れてぞ思ふ 恋しさは たてぬきにして 織れるわが身か
あれこれと乱れて思うこの恋しさは、倭文のたてよこの糸で織りなした乱れ縞模様に私の身がなってしまったのだろうか。
「倭文(しず)」とは、「カジノキや麻などを赤や青の色に染め、縞や乱れ模様を織り出した日本古代の織物」(コトバンク)とあり、「倭文機」は同じ意味にも、また倭文を織る機織機の意にも使われるようです。そのことから、「倭文機」は「乱る」にかかる枕詞ともなっていますね。