漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 617

2024-12-23 05:41:06 | 貫之集

いろもなき こころをひとに そめしより うつろはむとは おもはざりしを

色もなき 心を人に そめしより うつろはむとは 思はざりしを

 

色もない私の心をあの人の色に染めてからというもの、その色が褪せることがあろうとは思わなかったのに。

 

 愛しい人の色にそまった自分の心のその色が褪せる。褪せるのは、相手の心が離れて行ってしまったからでしょう。悲しい恋の歌ですね。
 この歌は古今和歌集(巻第十四「恋四」 第729番)、拾遺和歌集(巻第十三「恋三」 第842番)に入集しています。前者では第五句が「おもほえなくに」、後者では「わがおもはなくに」とされています。