かけりても なにをかたまの きてもみむ からはほのほと なりにしものを
かけりても 何をか魂の 来ても見む 殻は炎と なりにしものを
藤原勝臣
空を翔けてやって来ても、魂は何を見ることができるのだろうか。亡骸はすでに炎となってしまっているのに。
左注に「をがたまの木 友則下」とあります。「をがたまの木」を詠み込んだ物名歌、もともとの記載場所は「友則の次」すなわち 0431 の次に採録されていた歌ということになります。第二句から第三句にかけて、「なにをかたまの きてもみむ」と「をがたまのき」が詠み込まれていますね。「殻」は亡骸、「炎」は火葬の炎、近しい人の死を悼む歌ですが、物名歌ですので本当に人の死に際して詠まれたものかどうかはわからないですね。