たまほこの みちはつねにも まどはなむ ひとをとふとも われかとおもはむ
玉鉾の 道は常にも まどはなむ 人をとふとも われかと思はむ
藤原因香
愛しい相手のところに通う道々ではいつも迷ってほしいものです。他の人のところへ行くのだとしても、自分のところかと思えるように。
「玉鉾の」は「道」「里」にかかる枕詞ですが、なぜこれらの語に掛かるようになったのかは不明のようです。「なむ」には同音の助動詞、係助詞もありますが、ここでは他に対する願望を表す終助詞で、「道に迷ってほしい」の意ですね。