うめのはな さきてののちの みなればや すきものとのみ ひとのいふらむ
梅の花 咲きてののちの みなればや すきものとのみ 人の言ふらむ
よみ人知らず
私は、梅の花が咲いてその後にみのる実のような身だから、酸き物ならぬ好き者だとばかり、人は言うのだろうか。
第三句の「み」には「実」と「身」、第四句の「すきもの」には「酸き物」と「好き者」がかかっています。皆に賞美される梅の花に大してあまり目立たず、取り上げられることも少ない梅の身に準えて、あまり人から見向きもされないわが身を憂いての詠歌です。寂しい歌ですね。