漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 1067

2022-10-01 06:18:18 | 古今和歌集

わびしらに ましらななきそ あしひきの やまのかひある けふにやはあらぬ

わびしらに ましらな鳴きそ あしひきの 山のかひある 今日にやはあらぬ

 

凡河内躬恒

 

 猿よ、そんなに悲しそうに鳴かないでくれ。山に峡があるように、甲斐がある今日ではないか。

 詞書には「法皇、西川におはしましたりける日、『猿、山の峡に叫ぶ』ということを題にて、よませたまうける」とあります。「法皇」は第59代天皇であった宇多法皇のこと。
 「わびしら」の「ら」、「ましら」の「ら」はいずれも接尾語で、「ら」の反復で歌にリズムを添えています。「まし」は「猿」の意の歌語ですね。第四句の「かひ」は「峡」と「甲斐(効)」の掛詞。「甲斐」はここでは、法皇の行幸を迎えることができたことを指しています。

 

 今日から10月。ご紹介してきた巻第十九「雑躰」の歌も明日でおしまいです。墨滅歌まで含めて1,111首ある古今和歌集歌のご紹介もあと44首。読み切りの日が近づいてきて、なんだか少し寂しくなってきました。^^;;;

 



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