わがそでに まだきしぐれの ふりぬるは きみがこころに あきやきぬらむ
わが袖に まだき時雨の 降りぬるは 君が心に あきや来ぬらむ
よみ人知らず
私の袖に、まだ季節でもないのに涙という時雨が降ったのは、時雨の季節の秋ではありませんが、あなたの心に飽きが来てしまったのでしょうか。
「時雨」は涙の見立てで、「あき」は「秋」と「飽き」の掛詞。「まだき」は「早くも」「もう」の意で、百人一首の歌も思い出されますね。古今集の撰者の一人壬生忠岑の子、壬生忠見の詠歌です。
こひすてふ わがなはまだき たちにけり ひとしれずこそ おもひそめしか
恋すてふ わが名はまだき 立ちにけり 人知れずこそ 思ひそめしか
(拾遺和歌集 巻第十一 「恋歌一」 第621番)
今日から「まだき」12月。時の経過の早さにはいつも驚かされますね。
引き続きよろしくお願いいたします。