やまのゐの あさきこころも おもはぬに かげばかりのみ ひとのみゆらむ
山の井の 浅き心も 思はぬに 影ばかりのみ 人の見ゆらむ
よみ人知らず
私は、山の中の清水のように浅い心で思ってはいないのに、どうしてあの人はただ面影にしか姿が見えないのでしょうか。
第三句「おもはぬに」は、多くの写本では「おもはぬを」となっているようです。「山の井」を詠み込んだ歌は 0404 にも出てきました。どちらも、万葉集の作者不詳の歌を踏まえた詠歌とされています。
あさかやま かげさへみゆる やまのゐの あさきこころを わがおもはなくに
安積山 影さへ見ゆる 山の井の 浅き心を わが思はなくに
(万葉集 巻第十六 第3807番)