米連邦準備制度理事会(FRB)は14日景気見通しが改善しているとの認識を示し、来年は短期金利をさらに75bp(0.5%~0.7%の利上げ3回分)引き上げると予想した。これは、25bp(0.5%~0.7%)の利上げ3回分に相当する。今月の利上げは想定内でしたが、来年3回もの利上げは想定外。なんと117円台と円安が加速しています。わずか、1か月前トランプ勝利で円高が加速し100円を切るレベルまで買われたのがウソのようです。日本にとって円安は株高、貿易黒字拡大に繋がり基本歓迎ですが、ドルベースで債務を抱える新興国はたまらないでしょう。来年は波乱の年となるでしょう。
以下コピー
米連邦準備制度理事会(FRB)は14日、1年ぶりとなる政策金利の引き上げを決定し、向こう1年に従来予想以上の速さで利上げを実施するとの見通しを示した。
FRB当局者らは指標とするフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を25ベーシスポイント(bp)引き上げ、0.50%~0.75%にすると発表した。これを受けて家計や企業の借り入れコストも上昇する可能性がある。
また、米連邦公開市場委員会(FOMC)は声明で「金融政策のスタンスは引き続き緩和的で、それにより労働市場環境のさらにいくらかの改善と2%のインフレへの回復を下支えする」と述べた。
声明ではこのほか、新たに「実現したものと予想される労働市場環境とインフレを考慮して」利上げを決定したとの文言が盛り込まれた。FRB当局者が労働市場は完全雇用か、もしくはこれに近い状態にあるとみていることが示唆される。
その上で、「堅調な」雇用の伸び、インフレの上昇、そして個人消費の拡大が景気改善を表しており、米国経済は借り入れコストの上昇を受け入れる用意があると指摘した。
FRBは声明で引き続き「緩やかな」利上げを見込んでいるとしたが、当局者の予想からは金利が従来予想より急速に上昇するとの見方がうかがえた。
FOMC参加者17人による2017年末のFF金利の予想中央値は1.4%となった。18年末は2.1%、19年末は2.9%に達すると見込まれており、向こう3年間に25bpの利上げが各年3回ずつ行われることが示唆される。今年9月時点では来年の利上げが2回と予想されていたため、今回の予想で利上げペースは引き上げられたことになる。
声明では好調な労働市場に焦点が当てられたほか、「経済見通しに対する当面のリスクはほぼ均衡しているように見える」との文言が繰り返された。また、FRBは引き続きインフレ指標と海外の経済および金融動向を注視するとも記した。
次回の利上げ時期はさまざまな要因に左右される。ドナルド・トランプ氏が大統領選で勝利したことを受け、市場では次期政権が成長とインフレ促進につながる減税と歳出拡大を実施するとの期待が高まっている。これを受けて、米国の主要株価指数は選挙後に過去最高を更新し、10年物米国債利回りは今週12日に2年ぶりに2.5%を突破した。
向こう数年の経済見通しはさまざまな側面で9月の前回予想時点より明るくなったようだ。FRB当局者はインフレ率が16年の1.5%から17年には1.9%に上昇し、18年に目標の2%に到達するとの見通しを示した。
また、失業率は来年4.5%に低下し、19年までこの水準にとどまると予想した。
さらに、経済成長率の予想中央値は今年が1.9%、17年は2.1%と、9月からわずかに引き上げられた。これは、最近発表された経済指標や財政見通しの改善を反映していると考えられる。
利上げは全会一致で決まった。ジャネット・イエレンFRB議長は今年8回の会合のうち5回で反対票に直面し、金融政策の道筋をめぐりFRB内で意見の相違があることが浮き彫りになっていた。