7日のニューヨーク株式市場で、ダウ平均株価(30種)の終値は前日比630・15ドル安の2万9296・79ドルだった。値下がりは3営業日連続。インフレ(物価上昇)抑制のために米連邦準備制度理事会(FRB)がさらなる利上げに乗り出し、金利負担の増加で景気が冷え込むとの懸念から、半導体大手インテルやIT大手マイクロソフトなど幅広い銘柄が売られた。米長期金利の指標となる10年物米国債の利回りは一時、3・9%台に上昇した。 一方 ロンドン金融市場で、ここのところ英国債の利回りが急騰し、通貨ポンドも対ドルでの過去最安値を更新している。
通貨取引量と外貨準備高のシェアで世界第4位のポンドと、その国債が急激な売りを浴びるのは異例であり、世界の金融市場の新たな火種となりつつある。
トラス新政権が矢継ぎ早に打ち出した経済政策が、財政やインフレの悪化につながるとの警戒感を生んだためだ。市場では「財政の収支を合わせられないのではないか」との疑心暗鬼が広がっている。
トラス政権はまず最初に、半年分のエネルギー高騰抑制対策として600億ポンド(約9兆3000億円)の資金を投じる計画を発表した。家計や企業の光熱費負担に上限を設け、超える分は政府が肩代わりするというやり方だ。
さらに50年ぶりの規模とされる大規模減税の構想も明らかにしている。予定していた法人税率の19%から25%への引き上げの凍結や国民保険料の引き下げなどが柱だ。
だが、減税で需要を喚起する施策はインフレ圧力を一層高めるとの批判が出ているのだ。
米国債も、ドイツ国債も!
こうした資金需要に対応するため、英国政府は2022年度の国債発行額を624億ポンドを引き上げるとしており、その規模は当初案より5割以上増加する。
市場関係者は、英国政府とイングランド銀行(中央銀行)との間の政策の不一致も問題視している。
物価を抑えるために利上げを続けるイングランド銀行は、10月から量的緩和策として買い入れてきた国債の売却も開始するとしているのだから、英国政府の財政の急拡大で悪化する国債の需給状況が、さらに深刻になることが心配されている。
英国の金融市場の動揺は世界にも波及し始めている。
10年物の米国債利回りも10月7日、3.88%を突破し、2010年4月以来の高値を付けた。米国でも連邦制度準備理事会(FRB)がインフレ抑制のために9月から量的引き締めを加速しており、国債を始め債券市場の流動性が低下することが懸念されていた。
インフレに悩むドイツでも10年物の国債利回りも急上昇している。
世界各国で国債利回りが急上昇しているのは、投資家たちがこぞって世界の国債を売りに出していることのあらわれだ。
「73年ぶり」のマネー流出額になる…!
米バンク・オブ・アメリカ・グローバル・リサーチは9月23日に公表した調査報告書で「今年の世界の国債からの流出額が1949年以来、73年ぶりの大きさになる」との見通しを明らかにした。逆イーグルに成りっぱなしでいつ景気後退、株価のクラッシュが起こってもおかしくない状況です。
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