BPDの症状は 5つの調整不全に分類されます。
感情, 人間関係, 認知, アイデンティティ, 行動の調整不全です。
感情的なこと自体は 悪いことではありません。
問題なのは、 自分の感情に対処するため、
薬物を使ったり 自分を傷つけたりすることです。
感情的な気質がある場合、 それは症状というより
パーソナリティの一部と考えられるので、 大きく変化することはないでしょう。
それに対して、 自殺企図, 薬物, 自傷などの行動は 変化していきます。
これらの行動は性格ではなく、 一時的な問題対処に過ぎないからです。
ザナリニらの調査では、 80%の人が 行動上の問題を持っていましたが、
6年後には20%になったそうです。
薬物使用も 50%から25%に減りました。
一方、 感情的な症状は6年経っても それほど変化しませんでした。
感情は苦痛になることもありますが、 人生を狂わせるとは限りません。
感情的な問題が変わらないからといって、
自分自身や治療が悪いのだと 考えないでください。
衝動的な感情を抑制したり、 人間関係を上手に維持できるようなれば、
全てにおいて もっと良い気分でいられるようになると考えられます。
人間は生きている限り、 誰しもが 否定的な感情を持つものです。
生まれつき 人より感情が激しい人もいます。
従って、 特定のことを感じないようにしたり、
感情を避けることに エネルギーを費やすより、
自分の感情や問題に いかに対処するかを学ぶほうが、 より得るものがあるのです。
〔 「境界性パーソナリティ障害 サバイバル・ガイド」 (星和書店) より 〕
(次の記事に続く)