BPDの人のほとんどが、 少なくとももうひとつの 精神障害を持っています。
1. 物質(アルコールや薬物など)使用
BPDの人の3分の2が 物質使用に問題がある、 という調査結果が出ています。
また、 物質乱用している人の 約4分の1が、 BPDの基準を満たしています。
物質は感情的な苦痛から 逃れるのに役立ちます。
しかし苦痛を回避しても、
そもそも 感情を引き起こした問題に 対処できたわけではありません。
問題を直視して 解決することを妨げ、 そのあいだ問題は増え続け、
回避や逃避を繰り返すという 悪循環に巻き込まれてしまうのです。
BPDの人は 他の人より感情が強烈なので、
対処するための より強い方法が必要になり、 物質を乱用してしまいます。
ただしその効果は、 あくまでも 「一時的」 です。
しかも使用前より 状態を悪くしてしまいます。
使用しているうちに 「耐性」 ができ、 もっと多量の物質が 必要になります。
また 「禁断症状」 もあります。
身体が物質を強く要求し、
不快感 (動揺, 不安, 発汗, 吐き気など) を覚えます。
そのために物質を使用し、 生活が物質に 支配されてしまうのです。
激しい感情的な苦しみがあって、 他の対処法がないなら、
一時的にでも 苦痛から解放されたいという衝動は、 とても強烈なものです。
例え将来が悪くなるとしても、 わらをもつかむ思いで 求めてしまうのでしょう。
けれども幸いなことに、 弁証法的行動療法 (DBT) などは、
BPDと物質使用障害の 両方に治療効果があります。
感情的苦痛に対処するため、 物質よりもっと 効果的な方法を教えてくれます。
(弁証法的行動療法については後述します。)
〔 「境界性パーソナリティ障害 サバイバル・ガイド」 (星和書店) より 〕
(次の記事に続く)