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2. 摂食障害
BPDの人の50%に 摂食障害が見られます。
「神経性無食症」 (極端な食事制限で、 命に関わるほど体重減少する) と、
「神経性過食症」 (食べすぎて下剤を乱用したり、 過度の運動や嘔吐をする) が
あります。
過食と嘔吐の両方が、 精神的苦痛を和らげる手段になります。
食べるということは、 人を落ち着かせる 最も一般的な方法のひとつです。
糖分や油分の多い 食べ物を摂取すると、
脳の快感中枢が働き、 ドーパミンの放出を引き起こします。
また 嘔吐のあとには、 緊張の緩和や 安らぎを経験します。
しかし 同じ感情を和らげるためには、
次はもっと 沢山食べなければならなくなります。
それに 嘔吐はとても 危険な行為ですし、 重大な健康問題にも繋がります。
さらに、 嘔吐しても
摂取したカロリーの3分の1しか 取り出せないという人もいます。
過食と嘔吐の悪循環が、 生活に悪影響を及ぼします。
BPDの人は幼少期に、
容姿や人格を否定される 感情的虐待を受けていることが 少なくありません。
そのため、 痩せているのが良いとされる 現代社会で、
自分の身体に不満を感じ、 体形や体重を変えようとする 劇的な挑戦になり得ます。
それによって 体を悪くすることができるので、
自己嫌悪の表現にもなるかもしれません。
BPDの人は 自分をコントロールできないと 感じているので、
生活の一部でも コントロールしたいと思うでしょう。
食事制限していると、
自分は強くて、 人生をコントロールしているように 感じるのです。
でも摂食障害は 自分をコントロールできなくなるので、
このコントロール感は錯覚です。
〔 「境界性パーソナリティ障害 サバイバル・ガイド」 (星和書店) より 〕
(次の記事に続く)