「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

なぜ 自傷や自殺企図をするのか (2)

2011年10月15日 20時02分18秒 | 「BPDサバイバル・ガイド」より
 
(前の記事からの続き)

3. 自己罰

 BPDの人が 自分を傷つける もうひとつの理由は、

 悪いことをしたと思い込んで、 自らを罰するためです。

 自己罰は、 自殺企図の理由としても あり得ますが、

 意図的な自傷の理由のほうが 一般的です。

 なぜ 自己罰をするために 自傷 (自殺企図ではなく) を行なうのか、

 明らかではありませんが、 こう考えられます。

 怒りは とても活発な感情で、 怒りを感じると興奮し、 力がわき出るでしょう。

 怒りは人を奮い立たせ、 問題に対して 何か行動を起こさせます。

 一方、 自殺は 自分からの完全な逃避になります。

 自分が存在しなくなったら 自己罰も受けられず、

 自分を苦しめる機会も 失ってしまうのです。

 しかし 自己罰の問題点は、 問題解決に何も進展がないことです。

 罰を受けて当然だと 証明するために 自分を罰することになり、

 最終的には気分は さらに悪くなるだけです。

 なぜBPDの人にとって 自己罰が必要なのでしょうか。

 非承認的環境で育った人なら、

 自分の感情に苦しんでいるときに 叱られたり、 見捨てられたりしたでしょう。

 親からこういう仕打ちを受けると、

 自分に対しても 同じような扱いをしてしまうことがあります。

 また、 自分で自分に罰を与えれば、 親たちに放っておいてもらえたのでしょう。

〔 「境界性パーソナリティ障害  サバイバル・ガイド」 (星和書店) より 〕

(次の記事に続く)
 
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なぜ 自傷や自殺企図をするのか (1)

2011年10月13日 20時38分53秒 | 「BPDサバイバル・ガイド」より
 
1. 精神的苦痛の軽減、 または回避

 自傷をする 一番共通の理由は、 精神的苦痛からの 逃避または回避です。

 特に BPDの人に当てはまります。

 BPDの女性の大半が、

 感情を抑えるために 意図的な自傷や自殺企図を 起こしています。

 BPDの人は 耐えられない 激しい感情に襲われ、

 どうしようもなく苦悩しています。

 感情を抑える方法を 学んでおらず、

 何でもよいから 少しでも解消できる方法を 求めるでしょう。

 人によっては 意図的な自傷が解消法になります。

 BPDの人は 一般の人よりも、 自傷による解放感が 強いという調査もあります。

 過去に自傷を行なっている人が、

 自傷を想像するだけで 感情の高まりが低下するというのです。

 自傷による 短期間の利点よりも、 悪影響のほうが 遥かに大きいのですが、

 解放感が さらに自傷を促し、 自傷に頼ってしまいます。

 自殺企図は何故、 精神的苦痛から助けてくれるのでしょう。

 人は 苛立ちを鎮めることに執着するあまり、 他のことが手に付かず、

 あげくに気力が低下し、 最後には諦めてしまいます。

 将来に絶望を感じたら、

 苦痛を抑える 最後の手段として 自殺を考えてしまうでしょう。

2. 感覚を呼び覚ますこと

 BPDの中には、 空虚感や無感覚に 苦しんでいる人もいます。

 周りの環境を遮断したり 解離する人もいます。

 何かを感じたいという理由で、 意図的な自傷や自殺企図を する人もいるのです。

 虚無よりは痛みのほうがましだ ということです。

〔 「境界性パーソナリティ障害  サバイバル・ガイド」 (星和書店) より 〕

(次の記事に続く)
 
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自殺行動と自傷行動とは? (3)

2011年10月12日 19時42分52秒 | 「BPDサバイバル・ガイド」より
 
(前の記事からの続き)

3. 人を操作する

 誰かのことを 「操作的」 と言うと、

 その人に対して 同情したり共感したりできなくなります。

 その人の苦悩に 関心が持てなくなり、

 操られることに対して 自分を守ろうとするでしょう。

 また 「操作的」 と言うと、

 その人の行動の理由が 分かっているような言い方です。

 人の気を引こうと、 わざと自分を 傷つけていることになってしまいます。

 けれども何故 このような行動を取るのか、

 自分でも全く気付かないことが よくあります。

 例えばある女性が 自傷をするのは、 気分を良くするからだとします。

 結果的に 周りの人が 彼女に注目してくれて、

 彼女の気分が よくなっているのだとすればどうでしょう。

 彼女は 気分がよくなる理由を 知っているわけではありませんし、

 操作をしているわけでもありません。

 彼女は次に困ったとき、 また同じ行動をするでしょう。

 行動療法では、 その行動に利点があれば 同じ行動に没頭すると言われます。

 これを 「正の強化」 と言います。

 また、 「操作的」 という レッテルを貼ると、

 問題はその人の中にある ということなります。

 しかし 自傷行為によって 周りの人がその人に注目し、

 結果的に 本人の行動を促していることになるのです。

( 「イネイブリング」
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/61844059.html )

 自傷をしたとき、 周りの人は 気にかけないようにしないといけません。

 そうすれば 苦しくて助けてほしいとき、

 他の方法で 気付いてもらうようにするでしょう。

 自傷行為の一番の理由は、

 精神的苦痛から逃れるためだ ということを知っておいてください。

〔 「境界性パーソナリティ障害  サバイバル・ガイド」 (星和書店) より 〕
 
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自殺行動と自傷行動とは? (2)

2011年10月11日 20時59分43秒 | 「BPDサバイバル・ガイド」より
 
(前の記事からの続き)

 自殺に関して 不適切な言葉として、

 「自殺のそぶり」 「助けを求める叫び」 「操作的」 などがあります。

 いずれも 使ってほしくない言葉です。

1. 自殺のそぶり

 「そぶり」 という言葉で 行動の深刻さが 薄れてしまうだけでなく、

 本人の精神的苦痛も 軽く聞こえてしまいます。

 どんな意図的な自傷行動でも  (自殺企図であってもなくても)、

 深刻に受け止め、 放っておいてはいけません。

 「自殺のそぶり」 というのは、

 単に 人の気を引こうとしているだけという 意味になってしまいます。

 ほとんどの人は、 注意を引いたり 他の人に何かを伝えるために、

 自分を傷つけているのではありません。

2. 助けを求める叫び

 この言い回しも、

 他の人の注目を得るために 自殺行動をしているという 意味になってしまいます。

 他の原因を 基本的に無視し、 本人の精神的苦痛を 全く考慮していません。

 自分を傷つける行動の 深刻さを弱めてしまい、

 その行動によって 満たそうとしていることを 正しく評価できなくなります。

〔「境界性パーソナリティ障害 サバイバル・ガイド」(星和書店)より〕

(次の記事に続く)
 

 「境界に生きた心子」 にも、

 心子の自殺行動は 助けてほしいサインなのだと 書いています。

 心子は あまりにも苦しくて、 その苦しみを分かってほしくて、

 助けを求めていたのだと思います。

 この場合の言い回しは、 心子の深刻さを 弱めるものではありません。
 
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自殺行動と自傷行動とは? (1)

2011年10月10日 19時09分27秒 | 「BPDサバイバル・ガイド」より
 
 自殺行動と自傷行動は、

 BPDの人に ごく一般的であると同時に、 最も深刻な問題でもあります。

 これらに関する いくつかの言葉を説明します。

1. 自殺企図

 意図的に自分を傷つけ、 死に至らしめる行動です。

 死を目的とする 明白な意志があります。

 しかし 死ぬ意図が あったかどうかの問題は 簡単ではありません。

 気分をよくするために (死ぬつもりはなく)  リストカットをした人が、

 「自殺企図者」 として扱われ、 入院させられてしまうことがあります。

 けれども 死ぬつもりがない人に 入院は役に立ちません。

 逆に 本当に死にたいと思っている人が  「自傷者」 と呼ばれて、

 真剣に受け止めてもらえない 場合もあります。

 必死で 病院に援助を求めている人を 退院させて、

 本当に自殺してしまう例もあります。

 自殺するために傷つけることと、 気分を紛らわせるための自傷は 全く別のことです。

 死ぬつもりが あったのかどうかを知るのは、 とても重要です。

2. 既遂自殺

 実際に自分を 殺す行為のことです。

 多くの場合、 自殺企図は 死に至ることはありません。

3. 意図的な自傷

 死ぬつもりがなくて 自分を傷つけることは、 自殺行動ではありません。

 故意にとる行動なので、  「意図的な自傷」 という 言葉が適していると思います。

4. 両面性のある自殺企図

 自分を傷つけても、

 死にたいとまで考えているかどうか 定かでないこともあるでしょう。

 死にたいと死にたくないの 両方の方向へ、

 押したり引いたりしている状態を  「両面性」 と言います。

 自分を傷つけるとき 死に対する両面性があったら、

 それを  「両面性のある自殺企図」 と呼びます。

5. 自殺念慮

 故意に死にたいと 考えることであり、 自殺についても考えています。

〔 「境界性パーソナリティ障害  サバイバル・ガイド」 (星和書店) より 〕

(次の記事に続く)
 
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BPDと併存する精神障害 (5)

2011年10月09日 19時15分33秒 | 「BPDサバイバル・ガイド」より
 
(前の記事からの続き)

(3) パニック障害

 パニック障害は、 突発的で 繰り返し起こるパニック発作で、

 不安と死や、自制心を失うような 激しい恐怖が伴います。

 人間の体は 危険に直面すると (現実でも想像上でも)、

 闘うか逃げるか すばやく準備します。

 「闘争あるいは逃走」 反応と呼ばれ、 基本的には 生存のための仕組みです。

 鼓動が早くなる、 汗をかく、 視野狭窄 (ひとつのことに集中する),

 筋肉の硬直, 速い呼吸などです。

 しかしこの反応は 時々故障します。

 ストレスがあったり 調子が悪いと、

 危険な兆候が起きてないのに  「闘争あるいは逃走」 反応をしてしまいます。

 この 「パニック発作」 は ショッキングなもので、

 心臓発作に襲われた, 気が違ってしまった,

 気絶しそうだという 気になったりします。

 でも実際は、 ストレスがたまって、 不安を恐れているということなのです。

 これが度重なると、 不安でもない些細なことで、

 恐怖や覚醒の 連鎖反応を起こしてしまいます。

 パニック発作は予測不可能で、 非常に恐いので、

 発作に結びつく状況から 逃れようとする人もいます。

 外出を避けることもあり、 家の外に 一歩も出ない人もいます (広場恐怖症)。

 BPDの人も 感情コントロールが不能で、

 予測不可能だと感じているかもしれません。

 それがきっかけで  ストレスがたまり、日常的なストレスの 解消が難しくなります。

 その結果 「闘争あるいは逃走」 反応が故障し、

 パニック発作が起きることもあるでしょう。

 発作が一度起きると、 次の発作への 心配や恐怖を感じ、

 回避行動をする可能性が高まります。

 最初は 回避も効果があるかもしれませんが、

 最終的には長引いて 悪い結果をもたらしてしまうのです。

〔 「境界性パーソナリティ障害  サバイバル・ガイド」 (星和書店) より 〕
 
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BPDと併存する精神障害 (4)

2011年10月08日 20時24分09秒 | 「BPDサバイバル・ガイド」より
 
(前の記事からの続き)

5. 不安障害

 BPDによく見られる 不安障害は、

 社会不安障害, PTSD, パニック障害です。

 BPDの人が 併発する割合は、 順に、

 4分の1~2分の1, 約2分の1, 3分の2です。

(1) 社会不安障害

 社会的場面で 否定的に評価されることを 激しく恐れるのが、 社会不安障害です。

 BPDはストレスが多く、 困難で虐待的な 対人関係を受け、

 周りの人に対して 不安を抱き、 考えや感情の表現を 躊躇することがあります。

 その結果、 人間関係に 全く自信が持てなくなります。

 幼少期に非承認的環境を 経験していることもあり、

 自分を主張したり、 人を信頼することもできなくなり、

 社会的な場面にいる不安は 増していくばかりでしょう。


(2) PTSD

 幼少期に 虐待を受けた人は、

 BPDかPTSD、 または 両方になる可能性があります。

 BPDの人が トラウマを経験すると、 回避など 不健康な対応をしてしまうため、

 PTSDになる可能性は 高いと思われます。

 レイプや悲惨な事故などに遭うと、 その後遺症と闘うのに苦労し、

 物質使用や不適切な行動によって 苦痛を和らげようとします。

 しかし苦痛の回避は 一時的な効果しかなく、

 後遺症は長引いて PTSDに繋がり、 悪化させてしまうのです。

〔 「境界性パーソナリティ障害  サバイバル・ガイド」 (星和書店) より 〕

(次の記事に続く)
 
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BPDと併存する精神障害 (3)

2011年10月07日 19時22分13秒 | 「BPDサバイバル・ガイド」より
 
(前の記事からの続き)

3. うつ病

 うつ病は BPDの人に 最もよく見られる 障害のひとつで、

 41~87%が うつ病に苦しんでいるという 研究もあります。

 BPDの人は 否定的な感情を 激しく経験して、

 対処するすべがないと 思ってしまいます。

 人との諍いや 激しい人間関係が 果てしなく続くので、

 すっかり孤立し、 寂しい思いをするでしょう。

 BPDに付随する問題は、 うつ病に繋がりうる 充分な理由になるでしょう。

 うつ病がBPDの副作用ならば、 BPDから回復すれば うつ病も緩和されます。


4. 双極性障害 (躁うつ病)

 BPDの人の約10%が 双極性障害を抱えています。

 双極性障害には 幾つかのタイプがあり、

 感情の大きな変動が 長く続くタイプ

 (例えば、うつや躁の状態が 2週間かそれ以上続く) や、

 気分がもっと早く 切り替わるタイプもあります。

 BPDの気分変動と似ているので、 BPDと誤診されやすいのです。

 けれども両者には 決定的な違いがあります。

 双極性障害は数日間 気分が高まったあとに、 うつへと急降下します。

 でもBPDの人は ほんの数分、 もしくは数時間足らずで

 気持ちが次から次へと 切り替わっていきます。

 また、 双極性障害と診断したがる医者もいます。

 患者への偏見が 小さくなると思っているのです。

 しかし 診断が間違っていれば、

 患者は何に苦しんでいるのか 分からなくなりますし、

 治療方針も適切でなくなってしまいます。

〔 「境界性パーソナリティ障害  サバイバル・ガイド」 (星和書店) より 〕

(次の記事に続く)
 
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BPDと併存する精神障害 (2)

2011年10月06日 20時20分47秒 | 「BPDサバイバル・ガイド」より
 
(前の記事からの続き)

2. 摂食障害

 BPDの人の50%に 摂食障害が見られます。

 「神経性無食症」 (極端な食事制限で、 命に関わるほど体重減少する) と、

 「神経性過食症」 (食べすぎて下剤を乱用したり、 過度の運動や嘔吐をする) が

 あります。

 過食と嘔吐の両方が、 精神的苦痛を和らげる手段になります。

 食べるということは、 人を落ち着かせる 最も一般的な方法のひとつです。

 糖分や油分の多い 食べ物を摂取すると、

 脳の快感中枢が働き、 ドーパミンの放出を引き起こします。

 また 嘔吐のあとには、 緊張の緩和や 安らぎを経験します。

 しかし 同じ感情を和らげるためには、

 次はもっと 沢山食べなければならなくなります。

 それに 嘔吐はとても 危険な行為ですし、 重大な健康問題にも繋がります。

 さらに、 嘔吐しても

 摂取したカロリーの3分の1しか 取り出せないという人もいます。

 過食と嘔吐の悪循環が、 生活に悪影響を及ぼします。

 BPDの人は幼少期に、

 容姿や人格を否定される 感情的虐待を受けていることが 少なくありません。

 そのため、 痩せているのが良いとされる 現代社会で、

 自分の身体に不満を感じ、 体形や体重を変えようとする 劇的な挑戦になり得ます。

 それによって 体を悪くすることができるので、

 自己嫌悪の表現にもなるかもしれません。

 BPDの人は 自分をコントロールできないと 感じているので、

 生活の一部でも コントロールしたいと思うでしょう。

 食事制限していると、

 自分は強くて、 人生をコントロールしているように 感じるのです。

 でも摂食障害は 自分をコントロールできなくなるので、

 このコントロール感は錯覚です。

〔 「境界性パーソナリティ障害  サバイバル・ガイド」 (星和書店) より 〕

(次の記事に続く)
 
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BPDと併存する精神障害 (1)

2011年10月05日 20時46分12秒 | 「BPDサバイバル・ガイド」より
 
 BPDの人のほとんどが、 少なくとももうひとつの 精神障害を持っています。

1. 物質(アルコールや薬物など)使用

 BPDの人の3分の2が 物質使用に問題がある、 という調査結果が出ています。

 また、 物質乱用している人の 約4分の1が、 BPDの基準を満たしています。

 物質は感情的な苦痛から 逃れるのに役立ちます。

 しかし苦痛を回避しても、

 そもそも 感情を引き起こした問題に 対処できたわけではありません。

 問題を直視して 解決することを妨げ、 そのあいだ問題は増え続け、

 回避や逃避を繰り返すという 悪循環に巻き込まれてしまうのです。

 BPDの人は 他の人より感情が強烈なので、

 対処するための より強い方法が必要になり、 物質を乱用してしまいます。

 ただしその効果は、 あくまでも 「一時的」 です。

 しかも使用前より 状態を悪くしてしまいます。

 使用しているうちに  「耐性」 ができ、 もっと多量の物質が 必要になります。

 また 「禁断症状」 もあります。

 身体が物質を強く要求し、

 不快感 (動揺, 不安, 発汗, 吐き気など) を覚えます。

 そのために物質を使用し、 生活が物質に 支配されてしまうのです。

 激しい感情的な苦しみがあって、 他の対処法がないなら、

 一時的にでも 苦痛から解放されたいという衝動は、 とても強烈なものです。

 例え将来が悪くなるとしても、 わらをもつかむ思いで 求めてしまうのでしょう。

 けれども幸いなことに、 弁証法的行動療法 (DBT) などは、

 BPDと物質使用障害の 両方に治療効果があります。

 感情的苦痛に対処するため、 物質よりもっと 効果的な方法を教えてくれます。

 (弁証法的行動療法については後述します。)

〔 「境界性パーソナリティ障害  サバイバル・ガイド」 (星和書店) より 〕

(次の記事に続く)
 
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変化するBPDの症状 (2)

2011年10月04日 20時25分16秒 | 「BPDサバイバル・ガイド」より
 
(前の記事からの続き)

 認知や対人関係の 問題の変化は、 行動面の変化と 感情面の変化の中間です。

 かなり早く 変化するものもあれば、

 長引いて パーソナリティの一部になっているものもあります。

 認知面の症状で 最も変化したのは、 被害妄想観念でした。

 しかし、 「私はひどい人間だ」 とか  「誰にも好かれない」 といった、

 自分や世界に対する 否定的な認知や、 解離症状は多くが変わりませんでした。

 対人関係の症状で 最も早く変化したのは、 衝動的な行動です。

 人との深刻な諍い, 不安定で激しい人間関係,

 人に極端な依存をする 傾向なども含まれます。

 これらの症状は 生活の中で 多くの問題を起こしますが、

 それが早く変化するのは 望ましいことです。

 一方、 見捨てられる恐れや、 孤独に耐えられないといった 感情的なものは、

 長引いてしまう傾向があります。
 

 これらの症状は、 全て互いに繋がっていて 相互関係にあります。

 例えば、 大切な人の 自傷行為や自殺行動を見れば、

 動揺して怒鳴ったり、 しまいには離れたくなってしまうでしょう。

 従って、 自分を傷つけない 対処法を学めば、 対人関係はもっと良くなるはずです。

 対人関係の質が BPDの症状や経過に 大きな影響を与えると、

 考える研究者もいます。

 安定した 協力的な対人関係を築けば、 より早く 快方へ向かうということです。

 BPDの人は だんだん対人関係から 離脱したくなる傾向がありますが、

 人間は社会的な生き物であり、

 周りからのサポートや 社会との接触で 成長していくものです。

 対人関係を避けるのではなく、

 健全な対人関係を築いていくことが、 回復に最も役立つのです。

〔 「境界性パーソナリティ障害  サバイバル・ガイド」 (星和書店) より 〕
 
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変化するBPDの症状 (1)

2011年10月03日 19時29分49秒 | 「BPDサバイバル・ガイド」より
 
 BPDの症状は 5つの調整不全に分類されます。

 感情, 人間関係, 認知, アイデンティティ, 行動の調整不全です。

 感情的なこと自体は 悪いことではありません。

 問題なのは、 自分の感情に対処するため、

 薬物を使ったり 自分を傷つけたりすることです。

 感情的な気質がある場合、 それは症状というより

 パーソナリティの一部と考えられるので、 大きく変化することはないでしょう。

 それに対して、 自殺企図, 薬物, 自傷などの行動は 変化していきます。

 これらの行動は性格ではなく、 一時的な問題対処に過ぎないからです。

 ザナリニらの調査では、 80%の人が 行動上の問題を持っていましたが、

 6年後には20%になったそうです。

 薬物使用も 50%から25%に減りました。

 一方、 感情的な症状は6年経っても それほど変化しませんでした。

 感情は苦痛になることもありますが、 人生を狂わせるとは限りません。

 感情的な問題が変わらないからといって、

 自分自身や治療が悪いのだと 考えないでください。

 衝動的な感情を抑制したり、 人間関係を上手に維持できるようなれば、

 全てにおいて もっと良い気分でいられるようになると考えられます。

 人間は生きている限り、 誰しもが 否定的な感情を持つものです。

 生まれつき 人より感情が激しい人もいます。

 従って、 特定のことを感じないようにしたり、

 感情を避けることに エネルギーを費やすより、

 自分の感情や問題に いかに対処するかを学ぶほうが、 より得るものがあるのです。

〔 「境界性パーソナリティ障害  サバイバル・ガイド」 (星和書店) より 〕

(次の記事に続く)
 
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最後のゴーヤ

2011年10月02日 18時01分38秒 | Weblog
 
 葉っぱがだんだん 黄色く枯れてきて、 もう最後ですね。

 実(み)は 10センチくらいで黄色味が出てきてしまいます。

 5つのゴーヤを 下記の料理で楽しみました。  (^-,^)

 (3つは 大きくなりませんでした。)

・ゴーヤと豚肉のお好み焼き。

 ソースより、 醤油でいただくのがおいしかったです。

 ただ、 ゴーヤの存在が 薄くなってしまいました。

 お好み焼きは 時間をかけて焼くため、

 ゴーヤに火が通りすぎて、 歯ごたえや苦みが 消えてしまったのでしょうか。


・ ゴーヤ丼。

 豚肉と炒め、 醤油と砂糖と豆板醤の たれをかけて、 白髪ネギを添えました。

 辛いのが好きなので、 豆板醤を多めに入れ、

 こくがあって 非常にうまかったです。  (^-,^)

 ゴーヤを もやしや玉ねぎなどに変えても、 おいしい丼ができると思います。


・ ゴーヤと豚肉のみそ炒め。

 豚肉と厚揚げを炒め、 みそと醤油, ニンニク, 酒で調味、 これも美味でしたね。

 豆板醤も入れてみました。

 ご飯に合います。


・ ゴーヤチャーハン。

 ゴーヤは5ミリ角に切って、 ひき肉とネギを炒め、

 普通のチャーハンと 同じ作り方です。

 卵は半熟状態で ご飯を入れると、

 ご飯粒の周りに 卵でコーティングができ、 ぱらぱら感が出ます。

 中華だしと醤油で、 味はとても上出来でしたが、

 ゴーヤの 苦みと歯ごたえが今ひとつ。

 できるだけ 火を通さないようにしたのですが、

 取り入れる時期が遅くて 実が柔らかくなってしまったのかもしれません。


・ ゴーヤのペペロンチーノ

 意外な組み合わせですが、 シンプルで すこぶるうまかったです。  (^-,^)

 唐辛子とニンニクを たっぷり入れて炒め (人と会う前には食えない  (^^;))、

 スパゲティとゴーヤを加えて、 塩コショウ、 最後に醤油をたらします。

 「ペペロンチーノ」 は  「唐辛子」 という意味だそうですね。


・ ゴーヤとひき肉の炒めもの。

 ひき肉と炒め、 醤油, 砂糖, 豆板醤で味付け、 溶き卵を回し入れます。

 極力ゴーヤに 火を通さないようにし、

 ゴーヤの苦みと、 ひき肉・ 卵のふわふわ感がマッチして 甘露甘露。


 これで 今年のゴーヤはおしまいです。

 色々堪能させてもらいました。

 また来年を楽しみにします。  (^^)
 
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