感情からの唯一の出口は、 感情を経験することです。
しかしBPは感情を恐れ、 感情の経験から逃れようとするのです。
喪失への反応が 無感情という場合があるでしょう。
極度の感情の覚醒 (泣くなど) と、
極度の感情の回避 (全くの無表情) の間を 交互に揺れ動くのです。
飲酒, 自傷, 逃亡などの 衝動的行動をして、
感情から逃げようとするかもしれません。
止むことのない危機のパターンです。
あるいは 感情的にシャットダウンすることによって、 逃避するかもしれません。
抑圧された感情は 出てくるときには 「爆発」 してしまうので、
極端な感情の覚醒と 感情のシャットダウンの間で 循環が発生します。
これらの感情は 次第に回避が難しくなり、 他の感情的な経験を悪化させ、
その循環は膨らんでいきます。
○ ネガティブな感情が 決して終わらないという信念
BPは 苦痛な感情は 永遠に続くと信じているので、
感情を経験することに 抵抗するのかもしれません。
悲しみの中で溺死するような、 感情の津波に巻き込まれる 経験をしています。
悲嘆は際限がなく、 破壊的なものに見えるのです。
BPの内側は 感情の塊であるかのようです。
ネガティブな感情で溺れ死なないように、 感情を経験し始めることをしないのです。
悲しみと嘆きが BPには制御不能に感じられます。
感情恐怖症, 特に悲嘆恐怖症になる 可能性があります。
弁証法的行動療法ではこのシャットダウンを、 「悲嘆の抑制」 と呼んでいます。
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
(星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
[星和書店の許可のうえ掲載]